メッセージでご相談をいただいたとき、私はすぐに「こうした方がいい」と答えを出そうとはしていません。
具体的な答えや対応方法を求めて、相談してくださる方もいます。
ただ、同じように見える悩みであっても、その方が置かれている状況や、そこに至るまでの経緯、今の心身の状態、何を大切にしたいのかによって、必要な返信は変わります。
そのため、相談文に書かれている出来事だけを取り出して、一般的な解決策を当てはめるのではなく、
「今、何に困っているのか」
「どの部分で立ち止まっているのか」
「何を整理することが必要なのか」
を考えながら、ご相談を読んでいます。
書かれている出来事と、実際に困っていることを分けて考える
相談文には、起きた出来事や相手の言動、そのときに感じたことなど、さまざまな情報が書かれています。
ただ、相談のきっかけとなった出来事と、その方を最も苦しめていることが、必ずしも同じとは限りません。
例えば、パートナーとの言い争いについてのご相談でも、整理する必要があるのは、言い争いの原因だけではないかもしれません。
相手に気持ちを分かってもらえなかったことが苦しいのか。
自分の伝え方が悪かったのではないかと、繰り返し自分を責めているのか。
関係を続けたい気持ちと、離れたい気持ちの間で動けなくなっているのか。
相手との問題だけではなく、自分がどうしたいのか分からなくなっていることが、一番つらいのかもしれません。
同じ出来事について書かれていても、どの部分で立ち止まっているのかによって、必要な返信は変わります。
私は、最初から一つの原因や答えを決めるのではなく、いくつかの可能性を分けながら、今どのような整理が必要なのかを考えています。
書かれていないことも考える。ただし、事実としては扱わない
メッセージ相談で分かることには限りがあります。
そのため、文章を読みながら、
「この出来事だけではなく、これまでの積み重ねも影響しているのではないか」
「怒りの背景に、分かってもらえなかった寂しさがあるのではないか」
「相手への不満だけでなく、自分が悪いのではないかという不安もあるのではないか」
など、書かれていない背景について考えることがあります。
ただし、こちらが考えた可能性を、そのまま相談者の方の気持ちや、問題の原因として断定することはしません。
文章だけでは確認できないこともありますし、こちらの見立てが、ご本人の感覚と一致するとは限らないからです。
そのため返信では、
「このような可能性も考えられます」
「もし当てはまる部分があれば、ご自身の感覚と照らし合わせてみてください」
という形でお伝えするようにしています。
専門的な知識やこれまでの経験をもとに可能性を示しながらも、相談者の方が「自分の場合はどうだろう」と確かめられる余地を残すことを大切にしています。
今必要なのは、聞くことか、整理することか、具体策を考えることか
相談では、話を聞いてもらうこと自体が大切な目的になる場合があります。
これまで誰にも話せなかったことや、自分でもうまく言葉にできなかったことを、誰かに受け止めてもらうことが必要なときもあります。
そのようなときに、無理に問題点を探したり、すぐに解決策を示したりすることが、かえって負担になる場合もあります。
一方で、ただ話を聞くだけでは、同じことを何度も考え続けてしまったり、何をすればよいか分からない状態が続いたりすることもあります。
そのような場合には、
今起きていることを整理する
問題を複雑にしている要因を分ける
相談者の方が望んでいることを確認する
選択肢や判断基準を整理する
今できる対応を考える
といった内容を、返信の中に組み込んでいます。
私は、最初から「聞く」「助言する」と関わり方を決めているわけではありません。
今は、気持ちを受け止めてもらうことが必要なのか。
状況を整理し、何が起きているのかを理解することが必要なのか。
具体的な対応方法や、今後の方針を考える段階なのか。
相談文を読みながら、その方にとって今どのような関わりが必要なのかを考え、返信を組み立てています。
一般的に正しい助言が、その方にとって適切とは限らない
具体的な方法や行動をお伝えする場合にも、その方法が一般的に正しいかどうかだけで判断することはありません。
例えば、「相手に自分の気持ちを伝える」という方法は、関係を改善するための選択肢になることがあります。
しかし、相手が強く怒る人であったり、話し合いのたびに相談者の方が責められたり、すでに心身ともに疲れ切っていたりする場合には、すぐに話し合いを勧めることが、負担や危険につながる可能性もあります。
その場合は、伝え方を考えるより先に、
一時的に距離を取れるか
安全に話せる場所を用意できるか
信頼できる第三者に同席してもらえるか
今は話し合わず、まず心身を休ませる必要がないか
を検討することがあります。
また、相談者の方が本当は関係を続けるかどうか迷っているにもかかわらず、関係を改善する方法だけを提案してしまえば、その方が抱えている本来の迷いから離れてしまいます。
そのため私は、
「その方法は、今実行できるものなのか」
「負担が大きくなりすぎないか」
「安全性に問題はないか」
「その方が望んでいる方向と一致しているか」
を考えながら、どこまで具体的にお伝えするかを決めています。
助言を示すこと自体が目的なのではなく、その助言が今の相談者の方にとって本当に役立つものなのかを考えることが大切だと考えています。
できることと、できないことを曖昧にしない
メッセージ相談だけで、問題の原因をすべて明らかにしたり、診断を行ったり、相手の性格や意図を正確に判断したりすることはできません。
限られた文章だけでは確認できないこともあります。
複数回のやり取りや継続的な経過の確認が必要なこともあれば、医療機関などで専門的な評価を受けなければ分からないこともあります。
そのため、分からないことを分かったようにお伝えしたり、十分な根拠がないまま断定したりすることは避けています。
ただ、「ここでは分かりません」「それはできません」とお伝えして終わるだけでは、相談者の方が次にどうすればよいのか分からないままになってしまいます。
私は、できないことをお伝えするときにも、できる限り、
なぜ今の情報だけでは判断できないのか
判断するには、どのような情報や確認が必要なのか
この相談の中では、代わりにどこまで整理できるのか
次にどのような行動を取ることが考えられるのか
必要に応じて、どのような相談先を利用できるのか
までお伝えするようにしています。
例えば、メッセージだけで特定の病気や障害を診断することはできません。
しかし、
「どのような場面で症状が生じているのか」
「生活にどの程度影響が出ているのか」
「どのような状態になったら受診を優先した方がよいのか」
「受診時に何を伝えると状況が伝わりやすいのか」を一緒に整理することはできます。
また、相手の本心や性格を断定することはできません。
一方で、相手が実際に取っている行動、その行動によって相談者の方が受けている影響、安全性や関係の継続可能性を整理することはできます。
メッセージ相談だけでは十分に対応できない状態であれば、対面や継続的なカウンセリング、医療機関、公的な相談窓口など、より適した方法をご案内することもあります。
できないことを曖昧にしないことと、そこでできることを探すことは、どちらか一方ではありません。
なぜ難しいのかを説明したうえで、それでも今できることは何か、必要な支援につながるにはどうすればよいのかまで、できる限りお伝えしたいと考えています。
答えを決めるのではなく、自分で選べる状態をつくる
相談者の方に代わって、私が人生の答えを決めることはできません。
ただ、悩みが複雑になっているときには、何を基準に考えればよいのか分からなくなり、どの選択肢を考えることも苦しくなる場合があります。
また、気持ちが大きく揺れているときには、本当は何を望んでいるのか、どこまでなら受け入れられるのかが、自分でも見えにくくなることがあります。
そのようなときに、
何が起きているのか。
どの部分が負担になっているのか。
変えられることと、すぐには変えられないことは何か。
どのような選択肢があるのか。
何を判断基準にすればよいのか。
を一つずつ分けていくことで、自分が大切にしたいことが見えやすくなる場合があります。
私が目指しているのは、特定の答えへ導くことではありません。
専門的な視点から、必要な見立てや選択肢をお伝えしながら、相談者の方がご自身の状況と気持ちを踏まえて、納得できる選択を考えられる状態に近づくことです。
まとまっていない状態からでも相談できます
相談する内容を、あらかじめきれいに整理しておく必要はありません。
何が一番つらいのか分からない。
どうしたいのか、自分でも決められない。
出来事をどの順番で書けばよいか分からない。
相手が悪いのか、自分が悪いのか、それすら分からなくなっている。
そのような状態も含めて、一緒に整理していくことができます。
今起きていることや感じていることを、書ける範囲で送っていただければ大丈夫です。
いただいた文章を丁寧に読みながら、何を受け止めることが必要なのか、何を整理することが必要なのか、どこまで具体的にお伝えできるのかを考えます。
できることと、できないことを曖昧にせず、できない場合にも、その理由と次に考えられる方法まで、できる限りお伝えしながらお返しします。