暖房器具の火災|11月から増える、施設で多い5つの出火原因

暖房器具の火災|11月から増える、施設で多い5つの出火原因

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はじめに

介護施設・医療機関・学校の防災について書いています。

私は元消防職員で、現場に40年おりました。その後、市役所の危機管理監として5年間、施設の防災計画を審査する側に立ってきました。現在も自治体の危機管理部門で訓練指導などに携わっており、計画を「作る側」の苦労も、「見る側」が何を確認しているのかも、どちらも見てきたつもりです。

防災の書類づくりは、正解が分かりにくく、相談できる相手も少ない仕事です。できるだけ公的な資料の根拠を示しながら、実務でそのまま使える形でお伝えしていきます。

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毎年、11月に入って空気が乾き始めると、消防の出動件数がはっきり増えます。40年のあいだ、これを体感し続けてきました。

そして11月9日から15日は、秋の全国火災予防運動の期間です。施設にとっては、点検と訓練をまとめて動かしやすい週でもあります。

この記事では、医療・介護施設で実際に多い5つの出火原因と、それぞれで確認しておきたい点を整理します。最後に、火災予防運動の週にそのまま使える点検の進め方も添えています。

出火原因① 電気ストーブと、可燃物の距離

「ストーブ火災」と聞くと、多くの方が石油ストーブを思い浮かべます。しかし施設で多いのは、電気ストーブです。火が見えないため、危険という意識が薄れるのです。

実際には、布団、カーテン、衣類、タオルが接触すれば発火します。そして居室で最も起きやすいのが、就寝中に布団が触れるケースです。

・ストーブの周囲1m以内に、可燃物がない状態を保つ
・居室で使う場合、転倒時に自動で消える機能が働くか確認する
・洗濯物を、ストーブの前で乾かしていないか(これは非常に多い)
・就寝時に消す運用になっているか。夜勤者が確認して回るか

出火原因② コンセント周りのほこり(トラッキング)

長年差しっぱなしのプラグとコンセントのあいだにほこりがたまり、そこに湿気が加わると、放電して発火します。これがトラッキング火災です。

厄介なのは、誰も触っていない場所から出火することです。夜間、無人の部屋から火が出るのは、たいていこれです。

・ベッド裏、家具の裏、テレビ裏のコンセント
・冷蔵庫・電子レンジ・給湯ポットのプラグ
・たこ足配線と、束ねたままの延長コード

年に1回、家具を動かして掃除する日を決めてください。火災予防運動の週が、ちょうどよいタイミングです。

出火原因③ 加湿器と、電気毛布

加湿器は、水を扱う電気製品です。本体内部に水がかかったり、給水時にコンセント部を濡らしたりすると危険です。また、フィルターの汚れは火災だけでなく、レジオネラ属菌などの衛生上のリスクにもつながります。

電気毛布・電気あんかは、折りたたんだ状態で使うと内部の電熱線が断線し、その箇所が発熱します。

・折り目のついた古いものは、思い切って更新する
・就寝中の使用ルールを決める(低温やけどの防止にもなります)

出火原因④ 厨房の油と、換気扇のグリス

換気扇のフードやダクトにたまった油は、それ自体が燃料です。コンロの火が引火すると、ダクト内を火が走り、天井裏に回ります。こうなると消火は非常に困難です。

・換気設備の清掃を業者に依頼した記録が、残っているか
・調理中に、その場を離れない運用になっているか

出火原因⑤ 喫煙

施設内は禁煙でも、屋外の喫煙場所や、来訪者の持ち込みがあります。そして、認知症のある方の喫煙は、施設火災の重大な要因のひとつです。

・ライター・マッチの管理方法が決まっているか
・屋外喫煙場所の灰皿に、水が入っているか
・吸い殻を、ごみ袋に直接捨てていないか

火災予防運動の週に、やっていただきたいこと

大がかりなことは要りません。A4一枚の点検表をつくり、フロアごとに回るだけで十分です。

上の①から⑤を、そのまま項目にしてください。確認した人の名前と日付を書く欄をつけ、点検した結果を残します。この一枚が、そのまま記録になります。

消防訓練の記録と違い、こうした自主点検の記録に決まった様式はありません。ですが、残しておけば、消防署の立入検査や運営指導の際に「やっている」ことを示せます。何より、翌年に同じ表を使えます。

まとめ

・施設で多いのは、石油ストーブより電気ストーブ。布団との接触に注意
・トラッキング火災は、誰も触っていない場所から起きる。年1回は家具を動かす
・電気毛布は、折り目のついた古いものを更新する
・換気扇のダクトの油は、火が天井裏に回る原因になる
・11月9日〜15日の火災予防運動の週に、A4一枚の点検表で回る

空気が乾き始める前の、いまのうちです。

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【この記事を書いた人】

消防吏員として40年、火災と救助の最前線に。
その後、自治体の危機管理監として5年、
計画を審査・指導する側を務めました。

作る側と、通す側。その両方を経験しました。

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参考

- 消防庁「秋の全国火災予防運動」(毎年11月9日〜15日)


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