【施設長様へ】厨房から出火。夜勤2名で、初期消火はどこまでやるべきか

【施設長様へ】厨房から出火。夜勤2名で、初期消火はどこまでやるべきか

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ビジネス・マーケティング

皆様、こんにちは。スマート危機管理コンサルティングの久保です。
「消火器があるから、初期消火はできる。」
そう思っていませんか?
私は消防職員として約40年間、火災現場で消火にあたってきました。
その経験から、あえて申し上げます。初期消火で最も大切なのは「どこでやめるか」を決めておくことです。消し方より、やめ方なのです。
今回は、夜勤帯の初期消火について、その限界と判断基準をご紹介します。
まず、消火器で消せる火の大きさ
現場の感覚として、消火器で対応できるのは炎が天井に届く前までです。
炎が天井に達すると、熱が上部にたまり、部屋全体が一気に燃え上がる段階に入ります。こうなると、消火器を何本使っても止まりません。
そして、消火器1本の放射時間は、想像よりずっと短い。10数秒程度です。
「1本で消えなければ、もう1本」と考える方がいますが、その間に火は成長しています。
炎が天井に届いたら、消火はあきらめて逃げる。これを施設の基準として、はっきり決めてください。
厨房の火は、水をかけてはいけない
天ぷら油の火災に水をかけると、水が一瞬で沸騰し、燃えた油を吹き上げます。爆発的に燃え広がり、消そうとした人が大やけどを負います。
厨房には、油火災に対応した消火器が置かれているかを確認してください。粉末ABC消火器は油火災に使えますが、放射後に再び発火することがあります。
● 厨房内の消火器が、通路側からも取れる位置にあるか(火元の奥にあっては取りに行けません)
● 業務用のフライヤーがあるなら、自動消火装置の点検状況
● ガスの元栓・主電源の位置を、夜勤者が知っているか
夜間、厨房に人がいない時間帯の出火は、発見が遅れます。だからこそ、消火より先に「区画」なのです。
夜勤2名なら、役割はこう分けます
考える余地を残さないよう、事前に決めておきます。
1人目(発見者)
● 現場で消火を試みる(天井に届いたらやめる)
● やめたら、その部屋の扉を閉めて出る
2人目
● 119番通報(迷わず先に)
● 出火階と、その直上階の利用者から避難させる
ここで大切なのは、2人が同時に消火に向かわないことです。
2人とも消火に集中すると、通報も避難も止まります。40年の現場で、これが一番怖い状態でした。
「やめる」を決めておく3つの合図
判断を個人の勇気に任せてはいけません。合図を決めてください。
1. 炎が天井に届いたら、やめる
2. 煙で視界が悪くなり、出口が見えなくなったら、やめる
3. 消火器を1本使い切っても消えなければ、やめる
このどれか1つでも当てはまったら、その場を離れ、扉を閉める。
「もう少しで消えそうだ」という感覚が、最も危険です。
逃げるときは、必ず扉を閉める
繰り返しになりますが、これが最も命を救います。
扉1枚で、煙が回るまでの時間が数分から十数分伸びます。その時間が、寝ている利用者を動かす時間になります。
● 防火戸の前に物を置いていないか、今すぐ確認してください
● 常時開放されている防火戸が、煙感知で正しく閉まるか
● 居室の扉を閉めて回る担当を、決めてあるか
初期消火は「消すこと」がゴールではありません
本当の目的は、
職員が迷わず行動できること。
そして、
利用者・患者様の命を守ること。
そのためには、「やめる基準」を決めておくことが欠かせません。
最後に
私は、
消防職員として約40年
行政の危機管理部門で約5年
の経験を活かし、医療・介護施設を中心に、
消防計画
BCP
避難確保計画
の見直しや統合、実効性向上のお手伝いをしています。
「消火をどこでやめるべきか、職員に伝えられていない」
そんな不安がありましたら、お気軽にご相談ください。
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