皆様、こんにちは。スマート危機管理コンサルティングの久保です。
「ベルが鳴っても、たいてい誤報だから。」
そう思っていませんか?
私は消防職員として約40年間、火災現場に出動し続けてきました。
そして、被害が大きくなった現場で必ず耳にした言葉があります。
「最初は、誤報だと思ったんです」
今回は、火災報知設備が鳴ってからの最初の60秒に、何をすべきかをご紹介します。
誤報は「多い」。だからこそ危ない
正直に申し上げます。自動火災報知設備の作動は、実際に誤報が多い。
調理の湯気、たばこ、ほこり、虫、雨漏り。原因はさまざまです。
問題は、誤報が続くと「また誤報だろう」という前提ができてしまうことです。
そして、その前提のまま数分が過ぎる。火災の初期は、この数分が決定的です。
だから必要なのは、「誤報かどうかを考えない」ルールです。
鳴ったら、必ず同じ動作をする。判断は、現場を見てからでよいのです。
動作① 受信機を見る(15秒)
まず、受信機のところへ行き、どの警戒区域が発報したかを確認します。
ここで大切なのは、主音響のベルを止めても、地区音響(館内のベル)は止めないことです。
慌ててすべてを止めてしまう職員がいます。これをやると、他の職員に異常が伝わらなくなります。
● 受信機の前に、警戒区域と場所の対応表を貼っておく(「1F-3 = 厨房前廊下」のように)
● 夜勤者が暗い中でも読めるよう、大きな字で
● 受信機の場所そのものを、全職員が知っているか確認する
意外に思われるかもしれませんが、「受信機がどこにあるか分からない」という夜勤者は、実際にいます。
動作② 現場へ行く(30秒)
発報した区域へ、直接目で見に行きます。このとき、必ず持っていくものがあります。
● 消火器(現場で火が小さければ、その場で消せます)
● 携帯電話または内線(現場から連絡できます)
● 懐中電灯
そして、扉を開ける前に触る。これは消防の基本です。
扉が熱ければ、その向こうで燃えています。勢いよく開ければ、空気が入り一気に燃え広がります。熱ければ開けない。これだけで、命が助かります。
動作③ 「火事だ」と決めたら、迷わず通報(15秒)
火を確認したら、その場で決めます。119番通報を先にする。
「まず自分で消してみて、ダメだったら通報」——これが最も多い失敗です。
消防車が到着するまでには時間がかかります。その時間を、迷いで削ってはいけません。
● 通報しても、火が小さければ「消えました」と言えばよい。それで構いません
● 通報は、現場を離れずにできる体制にしておく(携帯を持って動く)
● 夜勤2名なら、1名が通報、1名が現場対応。これを事前に決めておく
私が40年で見てきた中で、最も悔やまれるのは「消せると思って、10分粘った」現場です。その10分で、煙は建物全体に回ります。
60秒の先にあるのは「消火」ではなく「避難」です
医療・介護施設の火災で命を落とす原因の多くは、炎ではなく煙です。
そして、夜間の少ない人数で、寝ている方を大勢動かすことはできません。
だからこそ、煙が広がる前に、扉を閉める。
防火戸、居室の扉、防火区画。これを閉めるだけで、避難できる時間が生まれます。
「消火」より「区画」。これは消防の現場で得た、私の確信です。
この3動作を、A4一枚にしてください
受信機の横に貼るのが最も効果的です。
1. 受信機で警戒区域を確認(地区音響は止めない)
2. 消火器と携帯を持って現場へ(扉は触ってから開ける)
3. 火を見たら、迷わず119番。そして扉を閉める
夜勤者が、暗い廊下でこれを読める。それが実効性です。
火災対応は「訓練をしたこと」がゴールではありません
本当の目的は、
職員が迷わず行動できること。
そして、
利用者・患者様の命を守ること。
そのためには、最初の60秒を決めておくことが欠かせません。
最後に
私は、
消防職員として約40年
行政の危機管理部門で約5年
の経験を活かし、医療・介護施設を中心に、
消防計画
BCP
避難確保計画
の見直しや統合、実効性向上のお手伝いをしています。
「夜勤の職員が、ベルが鳴った時に本当に動けるだろうか」
そんな不安がありましたら、お気軽にご相談ください。
"提出するための計画"ではなく、"現場で使える計画" を一緒に作り上げましょう。
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プロの目線で、貴施設の計画の以下のポイントを診断いたします。初動の実効性: 夜間の少ない職員(出勤率3%程度を想定)でも、本当にそのマニュアル通りに動けるか? 属人化リスク: 作成担当者が辞めても、他の職員が理解して引き継げる内容(個人名ではなく役職名での記載など)になっているか?
監査対策: 感染症と自然災害の違いを明確に切り分け、行政の厳しい監査をクリアできる整合性が取れているか? 診断後、「どこをどう修正すべきか」の具体的なフィードバックをお渡しします。
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