皆様、こんにちは。スマート危機管理コンサルティングの久保です。
「年に1回、避難訓練は実施しています。」
施設長から、このようなお話を伺うことは少なくありません。
もちろん、訓練を実施することは非常に重要です。
しかし、消防署が見ているのは「訓練を実施した」という事実だけではありません。
私は消防職員として約40年間、さらに行政の危機管理部門でも多くの施設の防災体制を見てきましたが、「訓練はしているのに、実際の災害では機能しない」と感じるケースが数多くありました。
今回は、消防署が避難訓練で特に注目している3つのポイントをご紹介します。
① 「実際の勤務体制」で訓練していますか?
最も多い課題がこれです。
訓練の日だけ職員がたくさん集まり、実際の災害時とは全く違う人数で避難訓練を行っていませんか?
例えば、
夜勤は職員2名
訓練当日は15名参加
これでは、本当に夜間に対応できるかは確認できません。
特に医療・介護施設では、
夜勤
土日
年末年始
など、職員数が少ない時間帯こそ最も危険です。
だからこそ、実際の勤務体制を想定した訓練が重要になります。
「少人数で何を優先するのか。」
これを職員全員が理解している施設は、災害対応力が大きく向上します。
② 訓練が「シナリオどおり」になっていませんか?
避難訓練では、
「○時に火災発生」
「初期消火開始」
「避難開始」
という流れが事前に決まっていることがほとんどです。
もちろん基本訓練としては必要ですが、毎年同じ内容では職員が流れを覚えてしまいます。
実際の災害は、シナリオどおりには進みません。
例えば、
消火器が使えなかった
非常口が煙で使えない
停電している
職員が1名負傷した
エレベーターが停止した
こうした想定を加えるだけで、訓練の質は大きく変わります。
「考える訓練」を取り入れることが、現場対応力を高めるポイントです。
③ 訓練後の振り返りをしていますか?
訓練が終わると、
「お疲れさまでした。」
で終わってしまう施設も少なくありません。
しかし、本当に重要なのはここからです。
訓練後には必ず職員同士で振り返りを行いましょう。
例えば、
困ったことは何だったか
判断に迷った場面はあったか
情報共有は十分だったか
避難誘導はスムーズだったか
改善すべき点は何か
こうした意見を記録し、次回の訓練や消防計画へ反映することで、訓練は毎年進化していきます。
「やりっぱなし」にしないことが、防災力向上の近道です。
消防署が評価するのは「改善している施設」
消防署は完璧な訓練を求めているわけではありません。
むしろ、
課題を見つける
改善策を考える
次回に反映する
このサイクルができている施設は、防災意識が高い施設として評価されます。
逆に、毎年同じ内容、同じ反省、同じ計画では、実効性はなかなか向上しません。
避難訓練は「命を守るためのリハーサル」
避難訓練は消防法上の義務だから実施するものではありません。
利用者様、患者様、そして職員の命を守るための大切なリハーサルです。
実際の災害では、「訓練でやったこと」しか行動できないと言われています。
だからこそ、現実に近い訓練を積み重ねることが重要なのです。
最後に
私は消防職員として約40年、さらに行政の危機管理部門で約5年、多くの医療機関・介護施設・事業所の防災体制づくりに携わってきました。
その経験から感じるのは、「訓練の回数」よりも「訓練の質」が、防災力を大きく左右するということです。
もし、
訓練が毎年マンネリ化している
消防計画と訓練内容が一致していない
夜間や休日を想定した訓練ができていない
と感じておられるなら、一度見直してみませんか。
現場で本当に役立つ消防計画や避難訓練のご提案・改善のお手伝いをしていますので、お気軽にご相談ください。
「訓練を実施した施設」ではなく、「災害時に行動できる施設」を一緒に目指しましょう。
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