Claude CodeでBCP(事業継続計画)の下地をつくる!中小企業のための緊急連絡網と事業継続の備えガイド

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IT・テクノロジー
2026年9月3日 ・ 読了目安 約9分
地震で事務所が使えなくなった朝、まず誰に連絡するか。仕入先が被災して材料が届かない週、どの仕事から守るか。社長が入院した月、支払いと納品は誰が回すか。中小企業の緊急事態は、準備した会社としていない会社の差が、そのまま再開までの日数の差になります。
9月は防災月間です。とはいえ「BCP(事業継続計画)をつくりましょう」と言われて、すぐ手が動く中小企業は多くありません。書式が大げさで、平時の仕事を止めてまで取り組む余裕がなく、どこから手を付ければよいか分からないまま毎年9月が過ぎていく。これが実情ではないでしょうか。
この記事では、Anthropic社の公式AIコーディングツール Claude Code を使って、社内に散らばっている情報からBCPの下地──緊急連絡網、守るべき業務の一覧、代わりの手段の候補──を短時間で組み立てる手順を、非エンジニアの方向けに整理します。立派な計画書ではなく、緊急の朝に実際に開ける一枚をつくるのが目的です。
BCPが後回しになる3つの理由
防災意識が低いから後回しになるのではありません。計画づくりという仕事の側に、進まなくなる構造があります。
1. 材料が社内のあちこちに散っている
従業員の名簿は事務の引き出し、取引先の窓口は担当者の頭の中、保険の証書は金庫、システムの復旧手順は業者との契約書類。BCPに必要な情報はすでに社内にあるのに、一か所にまとまっていません。集める作業の面倒さが、最初の一歩を止めます。
2. 書式が大げさで、自社に合わない
公開されているBCPの雛形は、部署がいくつもある会社を想定したものが多く、従業員数人の会社が埋めようとすると空欄だらけになります。自社の規模に合った形に直すところで力尽きるのが、よくある挫折の型です。
3. 完成しても、見直されずに古びる
一度つくった計画は、人の入れ替わりや取引先の変更を反映されないまま古びます。緊急の日に開いたら、辞めた人の名前と終わった取引先が載っていた。これでは作らなかったのと変わりません。
BCPが進まないのは、経営者の意識の問題ではありません。材料集めが面倒で、書式が合わず、更新の仕組みがないからです。この三つは、いずれも機械に任せて軽くできる種類の問題です。
機械に任せる範囲と、人が決める範囲
大前提として、緊急時に何を守り、何を後回しにするかは経営判断そのものです。機械が決めることではありません。機械に任せるのは、判断の材料をそろえ、決めた内容を整った形に書き起こし、古びていないかを確かめるところまでです。
工程担当内容材料の洗い出し機械名簿・契約書類・業務の記録から必要な情報を集めて一覧化連絡網の組み立て機械誰から誰へ伝えるかの流れを図と表に整理業務の棚卸し機械日々の業務を書き出し、止まったときの影響を並べる優先順位の決定人どの業務から守るかを決める代替手段の候補出し機械事務所が使えない・仕入が止まる場合の選択肢を列挙代替手段の選択人費用と現実性を見て、どの備えを持つかを決める訓練・声かけ人従業員への周知と年に一度の見直しの号令定期的な鮮度確認機械名簿や取引先の変更が反映されているかを照合
線引きはこれまでの記事と同じです。集めて、並べて、書き起こすのが機械。決めて、伝えるのが人。この順番を守ると、BCPづくりは「数か月がかりの一大事業」から「半日の整理仕事」に変わります。
実務5ステップ
ステップ1:緊急連絡網を最初につくる
BCPの全体像から入ると挫折します。まず緊急の朝に最初に必要になる一枚、連絡網からつくります。従業員の名簿、主要な取引先の窓口一覧、保険会社・銀行・ビルの管理会社などの緊急窓口をClaude Codeに渡し、「誰から誰へ、どの順で伝えるか」を一枚の表に整理させます。個人の情報を扱うので、作業は社内の管理者だけが行い、出来上がった一枚の保管場所も決めておきます。
ステップ2:業務を書き出し、止まったときの影響を並べさせる
次に、自社の業務を思いつく限り書き出して渡し、「一週間止まったら何が起きるか」を業務ごとに整理させます。売上が消える、信頼を失う、法令に触れる、実は何も起きない。影響の大きさで並べ替えた一覧ができると、守るべき業務がどれかが見えてきます。
ステップ3:守る業務を人が決める
一覧を見て、緊急時にも続ける業務と、いったん止める業務を人が決めます。全部を守ろうとする計画は、結局どれも守れません。「納品と支払いだけは止めない」のように、指を折って数えられる数まで絞るのがコツです。決めた結果は理由とともに書き起こさせます。理由が残っていると、次の見直しのときに議論をやり直さずに済みます。
ステップ4:代わりの手段の候補を出させ、選ぶ
守ると決めた業務について、「事務所が使えないとき」「仕入先が止まったとき」「担当者が動けないとき」の三つの場合ごとに、代わりの手段の候補を挙げさせます。自宅での作業、別の仕入先、外部への一時委託。候補ごとに費用の目安と準備しておくべきことを添えさせ、どれを備えとして持つかは人が選びます。
ステップ5:年に一度、鮮度を確かめさせる
出来上がった一式は、防災月間の9月を見直しの月と決めて、最新の名簿・取引先一覧と突き合わせさせます。変わった箇所だけを直せばよいので、二年目からの見直しは三十分で終わります。緊急連絡網は人の入れ替わりがあった月にも都度直します。
頼み方の3原則
1. 自社の規模に合わせた書式を先に決める
雛形をそのまま埋めさせるのではなく、「従業員○名・拠点一つの会社に合う形で」と最初に伝えます。ページ数の多い立派な計画書より、壁に貼れる一枚と引き出しの数枚のほうが、緊急の朝には役に立ちます。
2. 分からない項目は空欄のまま残させる
保険の補償範囲や契約の解除条件など、資料から読み取れないことを推測で埋めさせないようにします。「不明の項目は不明と書き、誰に確かめれば埋まるかを添えてください」と伝えます。もっともらしく埋まった計画がいちばん危険です。
3. 従業員の個人情報の扱いを決めてから渡す
連絡網づくりでは従業員の個人情報を扱います。作業する人を限定し、出来上がった連絡網の配り方(紙で誰に渡すか、社外に持ち出すか)を先に決めてから作業に入ります。
つまずきやすい5つの型
1. 完璧な計画書を目指して、着手できない
BCPは完成度を競う文書ではありません。連絡網一枚だけでも、無いよりはるかに強い。まず一枚、次に業務の一覧、と積み上げる順番にすると止まりません。
2. 社長の頭の中にだけ計画がある
計画を書き起こす最大の理由は、社長自身が動けない場合に備えるためです。頭の中の段取りは、その頭が使えない日には存在しないのと同じです。書いて、保管場所を従業員と共有して、初めて備えになります。
3. 連絡網をつくって、一度も試さない
連絡網は、一度も流したことがなければ緊急の日にも流れません。年に一度、訓練として一巡だけ回してみる。つながらなかった箇所が、直すべき箇所です。
4. データの控えを同じ場所に置く
顧客名簿や会計データの控えを事務所のパソコンの隣に置いていては、事務所ごと使えなくなったときに共倒れです。控えは別の場所に。この確認も一覧に一行入れておきます。
5. 取引先との約束を確かめていない
「緊急時は納期を延ばしてもらえるだろう」という見込みは、約束ではありません。主要な取引先とは、緊急時の連絡窓口と納期の扱いを平時のうちにひと言確かめておく。確認済みかどうかの欄を一覧に設けると、抜けが見えます。
業種別の効きどころ
飲食店 — 食材の仕入先が止まる事態が最も重い。仕入先ごとに代わりの候補を書き出しておくと、休業か縮小営業かの判断が早くなります。
製造業 — 設備と材料の両方に備えが要ります。守る受注先を先に決めておくと、限られた生産能力の振り向け先で迷いません。
建設・工務店 — 現場が複数あるぶん、従業員の安否確認の流れが要です。現場ごとの連絡網と、元請・施主への報告の順番を一枚にしておきます。
美容室・治療院 — 予約のお客様への連絡が最初の仕事になります。予約台帳の控えの置き場所と、お客様への連絡の文面の雛形を用意しておくと、当日の朝に迷いません。
士業・コンサルタント — 一人事業ほど、本人が動けない場合の備えが重くなります。進行中の案件の一覧と、家族や提携先に渡す引き継ぎの一枚が、信頼を守ります。
よくあるご質問
Q. BCPの専門家に頼むのと何が違いますか
専門家の支援は、リスクの評価や訓練の設計まで踏み込める点で優れています。この記事の手順は、その手前の材料集めと下地づくりを自社で済ませるものです。下地があれば、専門家に頼む場合も費用と期間を抑えられます。
Q. 従業員数人の会社でも必要ですか
人数が少ないほど、一人が動けなくなったときの影響は大きくなります。数人の会社なら、つくるべきものも連絡網一枚と業務の一覧一枚で足ります。半日の作業で、再開までの日数が変わります。
Q. 従業員の個人情報を渡して大丈夫ですか
扱いのルールを決めるのが先です。作業する人を限定し、控えの保管場所と配り方を決めてから着手してください。渡す情報は連絡網づくりに必要な最小限に絞ります。
Q. どのくらいの時間がかかりますか
材料が手元にそろっていれば、連絡網と業務の一覧までで半日ほどです。代わりの手段の検討まで含めても、週をまたぐ仕事ではありません。二年目からの見直しは三十分ほどで済みます。
まとめ
BCPづくりが進まないのは、材料が散らばり、書式が大げさで、更新の仕組みがないからです。裏を返せば、集めて、並べて、書き起こす作業を機械に任せてしまえば、残るのは「何を守るか」という経営判断だけになります。
連絡網を一枚つくる。業務を並べて、守るものを決める。代わりの手段を選んで、年に一度確かめる。この順番なら、防災月間の9月のうちに下地が整います。
集めて、並べて、書き起こすのは機械。決めて、伝えるのは人。緊急の朝に開ける一枚があるかどうかが、再開までの日数を決めます。
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