報告したら嫌味、報告しなければ叱責
― 看護師は何を求めているのか ―
どこの施設にも、現場には介護職員と看護職員がいます。
介護職の皆さん、看護師に利用者・入所者の相談・報告をしたら、
厳しい言葉が返ってきたことはありますか?
私が特別養護老人ホームに勤務している時、
先輩のベテラン看護師がよく言ってました。
「あれぐらいの事で電話してこないでほしい」
(夜勤帯は看護師は自宅に専用携帯を持って帰ります)
要は、
「何でもかんでも電話してこないで」
ということなのですが・・・。
介護職員からすれば、
「不安だから、確認・相談のために」
電話していると思います。
それに対応するのが看護師の役割では?と思う人も多いと感じます。
ごもっともです。
私たち看護師は、そのために電話を持って帰っています。
しかし、不安で相談したとき、
「あの程度の症状で連絡しないで」
という返しが来た。
だから、似たようなケースがあった時、連絡しなかったら、
「なんで、その時に言わないのか!」
と怒られた。
「翌日でもいい報告」
の認識は、微妙にズレていると感じます。
介護職員にとっては、どのようなケースであっても、相談はしたいですよね?
その気持ちはよくわかります。
ちょっとした発熱ひとつにしても、高齢者は、いつ・どんなことで
急変するか分からない。
その怖さを知っているからこそ、今、一報入れて
しっかりと指示を仰ぐ方が良いのではないか・・・
と思って看護師に連絡する。
しかし看護師からは、
「熱以外のバイタルも安定していて、活気・食欲も大きく変わらないなら
急いで報告することじゃない!」
と厳しい反応が返ってくる。
では、一体どうしたらいいのか。
まず一つ感じることは、観察項目(情報)が少なく、
状況がいまひとつ掴めない報告をしている介護職員には、
反応が厳しくなりがちだということです。
例えば、発熱した人がいる。
「〇〇さん、今38.7℃なんです。どうしたらいいですか?」
と報告した介護職員がいる。
電話してきたことをどうこう言っているのではなく、
「こちらが判断・指示できるだけの情報を収集してから電話してきて」
と言いたいのだと思います。
38.7℃という情報だけでは、その先の判断が難しいのです。
解熱剤を飲ませるにしても、内服できる状態か、血圧はどうか。
血圧が低すぎる場合は慎重に考える必要があります。
意外と元気なのが、それともグッタリしているのか。
他に症状はあるのか、いつから様子が変化したのか。
確認したいことは他にも山のようにあります。
介護職員の皆さんに知っていていただきたいことは、
看護師は、面倒だから
「電話するな」
と言っているわけではないということです。
本来は看護職員側も、
「可能な限り観察した情報をそろえてから連絡してください」
と具体的に伝える必要があると感じています。
しかし、そこが抜けてしまうことが多いのかもしれません。
看護は、とにかく観察第一・情報第一と教えられてきました。
報告・相談と情報はセットでなければいけないのです。
先ほどの発熱例、同じ電話をかけても、スムーズにやり取りできている
介護職員は、きっとこんな感じで報告していると思います。
「〇〇さん、日中は元気で夕食も完食したのですが、
22時に巡回に行くと、体が熱くて38.7℃ありました。
血圧129/70・脈は89回で、
本人は少しだるさはあるようですが、笑顔も見られます。
感冒症状や頭痛・吐き気はありません。
今、水分補給も出来ています。
他に注意すること・何かしておくことはありますか?」
巡回時に、発熱以外の情報もちゃんと観察し、それを報告しています。
まず、ここまでの情報があれば、緊急で動くことはないと判断できます。
この状態なら、解熱剤は、今飲んでもよいし、
本人のしんどさが増してからでも遅くないと判断できます。
第一段階で、ここまで観察できていれば、
看護師は、あとは足りない情報を見てもらうように依頼するだけです。
「明日の朝まで、排泄物の性状や量の変化、全身皮膚の発赤や腫脹がないか、
新たな症状が出てないかを見ておいてください。
水分も少しずつお願いします。
体熱感が強ければ、クーリングOKです。急な血圧低下や、
反応の鈍さ・呼吸が乱れるようなことがあれば、すぐに連絡ください」
と指示もできます。
では、タイトルにある、
「看護師は何を望んでいるのか」
ですが、私は、
「可能な限りの観察情報」
「それ以外に、見ておくことがあるか」
という視点であると考えています。
「この観察はしました。あと何か足りないものはありますか?
対応しておくことはありますか?
〇〇の他に、気を付けておくことはありますか?」
この視点まで考えることが出来たら、看護職員への報告・相談は
苦ではなくなるかもしれません。
大半の看護師は、意欲をもって聞けば何でも教えてくれます。
そして、もう一つ大切なこと。
私は、夜間の電話当番の際、
「もしもこんな症状が出たら、まずこれを観察して、
この対応をしてから電話してきてください」
と必ず伝えていました。
日中から少し体調が怪しい方に関しては、
「こんな危険があるので、注意しておいてください。
バイタルは〇時間おきに見てあげてください。
こんな状態の時はすぐ電話ください」
とお願いしていました。
こうしておけば、介護職員は、余裕をもって観察できます。
そして、余裕があると、ちゃんと他の観察もして報告してくれる。
介護も看護も、お互い「丸投げ」ではなく、
補い合うことが大切だと強く感じます。
職種間の連携がスムーズであることは、
利用者や入所者・その家族に良い支援をもたらすと感じます。
「何を見て、何を伝えるか」
がそろうだけで、職種間の空気は大きく変わるのかもしれません。