経営者の妻は、どこまで会社に関わればよいのか?

経営者の妻は、どこまで会社に関わればよいのか?

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経営者の妻は、夫の会社にどこまで関わればよいのでしょうか。

一緒に働いた方がよいのか?
家庭と仕事は分けた方がよいのか?
妻は、どこまで口を出してよいのか?

夫婦で会社を経営している方や、夫が起業したご家庭では、一度は考える問題ではないでしょうか。

私自身、夫と一緒に会社を立ち上げ、長い間、現場に関わってきました。

その経験から感じているのは、妻の関わり方に、一つの正解はないということです。

妻がどこまで会社に関わればよいのか。

それは、もともとの夫婦関係、家庭の状況、そして会社の成長段階によって変わるものだと、私は考えています。

♦会社への関わり方は、夫婦関係の延長にある♦

私と夫は、結婚当初から家計を一つにしてきました。

私は結婚後、長い間、専業主婦でした。

けれど夫は、収入を「自分一人で稼いだお金」とは考えない人でした。

私が家庭を守り、家事や子育てを担っているからこそ、夫は仕事に集中できる。

だから、自分が得た収入も、夫婦で一緒に稼いできたものだと考えてくれていました。

私は、家事や育児を自分の役割だと思い、必死にやってきました。

当時は、それを特別なことだとは思っていませんでした。

妻として、母親として、当たり前のことだと思いながら、一生懸命やってきました。

夫もまた、家事や子育てには協力的でした。

子育てを私一人の役割にするのではなく、できることには関わってくれていました。

夫婦として会話をし、家庭のことを共有し、子どもたちを一緒に育ててきた。

そして、夫婦で一緒に夢を追ってきました。

その土台があったからこそ、その後、会社でも一緒に働くことができたのだと思います。

♦ 今の私を、夫が認めてくれる理由♦

子どもたちが成長した今、私は、自分自身の新しい仕事や人生にも挑戦しています。

そんな私の今の状況を、夫が認めてくれているのは、これまでの積み重ねがあるからかもしれません。

私が家庭や子育てを大切にし、自分にできることを一生懸命やってきた姿を、夫は見てきました。

家族のお金についても、経済観念を持ちながら生活してきました。

もし私が、家庭や子どものことを顧みず、自分の好きなことだけをしていたら。

あるいは、経済観念もなく、自分のためだけにお金を使っていたら。

今のように、私の挑戦を認めてもらえる関係にはなっていなかったかもしれないと、私は思います。

夫婦関係は、ある日突然、出来上がるものではありません。

日々の生活の中で、お互いが役割を果たし、相手の姿を見て、信頼を積み重ねていくものです。

妻が会社にどこまで関わるかを考える前に、まずは、もともとの夫婦関係がどのようなものだったかが大切なのだと思います。

♦ 開局当初、私は家庭を優先しました♦

夫が薬局を開局した当初、私はすぐに一緒に働き始めたわけではありません。

子どもたちの転校があり、下の子どもは、まだ小学3年生でした。

新しい学校、新しい生活、新しい人間関係。

子どもたちが新しい環境に慣れることを優先し、開局から約1年間、私は専業主婦として家庭にいました。

当時の私にとっては、会社で働くことよりも、家庭にいることが必要な時期だったと思っています。

もちろん、夫が大変であることは分かっていました。

開局したばかりで、夫は毎日、疲れ切って夜遅く帰宅していました。

帰宅が遅いことに不満を感じていたわけではありません。

ただ、夫が帰ってくる頃にはすでに疲れているため、夫婦でゆっくり話をする時間は、なかなか持てませんでした。

私は、子どもたちのことや家庭で起きたことを話したい。

夫も、仕事でさまざまな出来事を抱えている。

けれど、お互いの一日を共有する時間が十分に取れない状態でした。

夫が大変だということは、頭では理解していました。

しかし、実際にどのような仕事をし、どれほど多くの責任を背負っているのかまでは、十分には分かっていなかったと思います。

♦ 一緒に働いて、初めて分かった夫の大変さ♦

その後、私も薬局で働くようになりました。

実際に現場に入ることで、夫が何に追われ、何を考え、どのような責任を背負っているのかが、身近に分かるようになりました。

患者さんへの対応。

スタッフとの関係。

日々起こるさまざまな問題。

会社のお金のこと。

これからの経営のこと。

経営者は、自分の仕事だけを終えれば帰れるわけではありません。

何かあれば、最後に責任を負うのは経営者です。

外から見て「大変そうだ」と想像することと、実際に同じ現場で働き、その大変さを感じることには、大きな違いがありました。

だから私は、結果として夫と一緒に働いてよかったと思っています。

♦ 同じ状況と景色を見ることで、会話が増えた♦

夫婦で一緒に働く利点は、同じ状況や景色を見られることです。

会社で何が起きているのか。

今、どのような問題があるのか。

夫が何を考えているのか。

同じ現場にいることで、夫が家庭で一から説明しなくても、理解できることが増えます。

仕事上の共通の話題が増えるため、自然と夫婦の会話も増えました。

私たちの場合は、車で一緒に出勤していました。

その移動時間も、貴重な共有の時間でした。

その日の予定を確認したり、仕事のことを話したり、家庭や子どもたちのことを相談したりすることができました。

家に帰ってから、改めて話す時間が取れなくても、移動中に話すことができます。

夫が疲れ切って帰宅する生活の中で、一緒に働くことは、夫婦で過ごす時間や会話の時間を増やすことにもつながりました。

♦夫の状態を身近に理解できる♦

一緒に働いていると、夫の様子もよく分かります。

今日は疲れているのか。

何か心配事を抱えているのか。

仕事が順調に進んでいるのか。

言葉で説明されなくても、表情や行動から分かることが増えました。

夫の大変さが分かれば、

「私にできることは何だろう」

と考えることもできます。

夫だけに任せるのではなく、自分にもできることを探す。

その積み重ねが、夫婦で会社をつくるということだったように思います。

♦子どもたちにも、両親の姿が見える♦

夫婦で一緒に働く姿は、子どもたちにも見えていました。

両親が一緒に会社をつくり、協力しながら頑張っている。

大変なときには、お互いを補い合っている。

その姿を、子どもたちも見ていたと思います。

もちろん、親が忙しくなれば、子どもに我慢をさせてしまうこともあります。

だからこそ、子どもの年齢や性格、家庭の状況を見ながら、妻が会社に関わる時期を考える必要があります。

一方で、夫婦で同じ会社に関わっていることで、子どもの急病や学校からの連絡など、緊急時には融通を利かせやすい面もありました。

どちらかが仕事を調整し、子どもの対応をする。

家族全体の状況を見ながら、夫婦で補い合うことができました。

♦ 起業当初は、妻も巻き込んだ方がよい♦

私は、起業したら妻も必ず一緒に働くべきだとは思っていません。

子どもが小さい場合もあります。

親の介護や、妻自身の仕事がある場合もあります。

家庭を優先すべき時期もあります。

ただし、一緒に働かないとしても、起業当初から妻を巻き込んだ方がよいと、私は思っています。

ここでいう「巻き込む」とは、妻に仕事や責任を押しつけることではありません。

会社が今、どのような状況なのか。

何を目指しているのか。

どのような問題があるのか。

夫は、何に悩んでいるのか。

家族の生活に、どのような影響があるのか。

そうしたことを、夫婦で共有しておくということです。

会社のことを何も知らされていない妻が、夫の大変さを理解することは難しいと思います。

夫は、

「こんなに大変なのに、妻は分かってくれない」

と思うかもしれません。

しかし、何も話していないのに、妻がすべてを理解することはできません。

起業は、経営者本人だけの問題ではありません。

家族の時間やお金、生活にも影響します。

だからこそ、妻が会社で働くかどうかに関係なく、夫婦で同じ方向を見られるようにしておくことが大切だと思います。

♦一緒に働くことのデメリット♦

もちろん、一緒に働くことには、よいことばかりではありません。

仕事でも一緒。

移動中も一緒。

家庭に帰っても一緒。

四六時中、一緒にいることになります。

一緒にいる時間が長くなると、一緒にいることが当たり前になります。

感謝を伝えることを忘れたり、相手の存在や働きを当然だと思ってしまったりすることもあります。

また、仕事で起きた問題を家庭まで引きずってしまうこともあります。

職場で意見が合わなかった。

相手の仕事の進め方に不満を感じた。

会社で言われた言葉が心に残っている。

そうした気持ちを切り替えられなければ、家庭の空気も悪くなります。

反対に、家庭での不満を職場に持ち込めば、仕事にも影響します。

夫婦で一緒に働く場合には、

「仕事上の意見の違い」と「夫婦関係の問題」を分けることが必要です。

♦ わが家でうまくいった理由♦

わが家の場合、夫が仕事と家庭をすっきり分けるタイプだったことは、とても大きかったと思います。

仕事中は、仕事を前に進めることを第一に考える。

けれど、仕事が終われば、仕事のことはほとんど話しません。

仕事上の問題や感情を、家庭に持ち込み続ける人ではありません。

夫は、もともと楽観的な性格でもあります。

何か問題があっても、いつまでも引きずるタイプではありません。

そのため、仕事で何かあっても、家庭まで仕事一色になることを防げていたのだと思います。

そして私は、もともと夫を尊敬していました。

夫の仕事に対する姿勢や、物事の考え方、人としての在り方を信頼していました。

もちろん、すべての意見が一致するわけではありません。

仕事上で意見が違うこともあります。

それでも、根底に尊敬と信頼があるため、仕事上の違いが、夫婦関係そのものを壊すことにはなりませんでした。

夫婦で一緒に働くうえで大切なのは、いつも意見が同じであることではありません。

意見が違ったときに、相手を否定せず話し合えるか。

仕事上の立場を、家庭での上下関係に持ち込まないか。

相手がこれまでやってきたことを、認められるか。

そこが重要なのだと思います。

♦妻がどこまで関わるかは、変化してよい♦

では、経営者の妻は、どこまで会社に関わればよいのでしょうか。

私の答えは、

「関わり方は、変化してよい」

ということです。

起業当初は、会社の状況を夫婦で共有する。

家庭の状況が整えば、現場に入り、一緒に働く。

会社が成長し、人が増えたら、人材育成や採用に関わる。

仕組みが整ってきたら、妻が現場から少しずつ離れる。

そして、会社全体を見渡しながら、必要な部分に関わる。

妻が最初から最後まで、同じ仕事を続ける必要はありません。

会社の成長段階によって、必要とされる役割は変わります。

子どもの年齢や家庭の状況によっても、妻ができることは変わります。

私自身も、開局当初は家庭を優先しました。

その後、現場に入り、夫と一緒に働きました。

そして今は、現場ですべての実務を担うのではなく、人や仕組みを整え、会社全体を見る役割へと変化しています。

現場から離れることは、会社を見捨てることではありません。

会社との関係を終わらせることでもありません。

会社の成長に合わせて、妻自身の役割を進化させるということです。

♦大切なのは、夫婦で納得できる関わり方♦

経営者の妻が、夫の会社にどこまで関わればよいのか。

その答えは、夫婦によって違います。

一緒に働くことが合う夫婦もいれば、家庭と仕事を分けた方がうまくいく夫婦もいます。

しかし、どちらを選ぶとしても、会社のことを夫だけの問題にしないことは大切だと思います。

妻が会社で働くかどうか以上に大切なのは、

お互いを信頼できているか。

相手の努力を認めているか。

家庭や子育てを一緒に担ってきたか。

お金や将来について話し合えているか。

仕事と家庭の境界線をどうするのか。

そして、会社や家庭の変化に合わせて、役割を変えることができるか。

ということです。

夫だけが成功し、妻だけが我慢する関係では、長く続きません。

妻だけが家庭と会社のすべてを抱え、夫がそれを当たり前だと思う関係も、健全ではありません。

夫婦として築いてきた信頼を土台に、その時々で最もよい関わり方を選んでいく。

経営者の妻の役割は、一つに決まっているものではありません。

家庭の状況、会社の成長、そして妻自身の人生に合わせて、変化してよいものなのです。

それが、夫と一緒に家庭と会社を育ててきた私が考える、

「経営者の妻の、会社への関わり方」です。

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