専業主婦から、経営者の妻へ
16年間の経験からたどり着いた「役割進化」という考え方
専業主婦から始まった、私の経営者人生
16年前、私は専業主婦でした。
夫と共に調剤薬局を経営することになり、私たち家族は岩手県から横浜市へ引っ越しました。
県をまたぐ転居に加え、子どもたちにとっては転校も伴います。
当時、長男は中学1年生、次男は小学3年生でした。
特に次男にとっては、慣れ親しんだ学校や友人、生活環境をすべて変えることになります。だからこそ私は、まず子どもたちの生活を整えることを最優先にしました。
最初から会社に入ったわけではありません。
家族が新しい土地で安心して生活できるように、専業主婦として家庭を支える。それが、当時の私にできる一番大切な役割だと考えたからです。
そして起業から1年ほどが経った頃、私は調剤薬局で働き始めました。
最初の仕事は、掃除と雑用でした
華やかなポジションから始まったわけではありません。
調剤事務の経験はゼロ。
最初の仕事は、掃除をはじめとした雑用でした。
周りのスタッフに教えてもらい、一つひとつ仕事を覚えていきました。
開局したばかりの会社には、十分な資金があるわけではありません。
清掃業者に依頼すれば、当然お金がかかります。少しでも経費を抑えるため、起業してからの数年間は、私が一人で薬局の床にワックスをかけることもありました。
目立つ仕事ではありません。
誰かに評価される仕事でもありません。
それでも、会社を続けていくために必要なことなら、何でもやりました。
そうして私は、受付、調剤事務、スタッフとの関係づくり、業務の流れ、採用、人材育成、職場環境の整備など、薬局運営に必要な仕事を長い時間をかけて経験してきました。
今振り返れば、掃除をしていた時間も、床にワックスをかけていた日々も、すべてが今の私につながっています。
経営者の妻は、ただ夫を支える人ではない
薬局で積み重ねてきたものは、単なる業務経験ではありませんでした。
家庭では妻として、母として家族を守る。
会社では、経営者である夫を支え、スタッフが働きやすい環境を整え、会社が継続できる仕組みをつくる。
家庭と会社の両方を見ながら、その時々に必要な役割を引き受けてきました。
ただし、経営者の妻が、いつまでも同じ役割を続ければよいわけではありません。
会社が成長すれば、必要とされる役割も変わります。
起業当初は、自分が現場に立ち、手を動かすことが必要でした。
しかし、会社が次の段階へ進むためには、自分が何でも抱えるのではなく、人を育て、仕組みを整え、現場を任せていくことが必要になります。
私はこの変化を、
「経営者の妻の役割進化」
と呼んでいます。
実務で夫を支える妻から、人と会社の未来を育てる妻へ。
現場から離れることは、会社を見捨てることではありません。
自分にしかできない仕事に、役割を移していくことです。
同じ立場で悩む人に、経験を還元したい
経営者の妻という立場には、外からは見えにくい悩みがあります。
夫婦だからこそ、仕事の話と家庭の話を切り離せない。
妻として伝えたいことと、会社の役員として伝えなければならないことが違う。
従業員には話せず、友人にも理解してもらいにくい。
会社のことを考えれば、簡単には弱音を吐けない。
そんな状況の中で、一人で悩みを抱えている方も少なくありません。
私も、最初から正解が分かっていたわけではありません。
迷い、悩み、夫と意見がぶつかり、人との関係に苦労しながら、16年間かけて自分なりの答えを見つけてきました。
この経験を、自分たちの会社だけで終わらせたくない。
同じような立場で悩んでいる人に還元したい。
そう考え、3年前に自分の会社を立ち上げました。
なぜ、夫婦経営の中小企業を支援するのか?
私が支援したいのは、主に従業員10名以下で、夫婦や家族を中心に経営されている中小企業です。
規模の小さな会社では、社長夫婦の関係性が、会社の状態に影響を与えやすくなります。
夫婦の会話が減れば、大切な情報が共有されなくなることがあります。
意見の違いを放置すれば、経営判断にも迷いが生まれます。
夫婦の間に緊張があれば、その空気は従業員にも伝わります。
反対に、夫婦がそれぞれの役割を理解し、同じ方向を向いていれば、会社は強くなります。
大企業であれば、経営と家庭をある程度分けることができるかもしれません。
しかし、夫婦・家族経営の中小企業では、仕事と家庭は完全には切り離せません。
会社の未来は、夫婦関係の未来とも深くつながっています。
だからこそ私は、経営者の妻を、
「夫を陰で支えるだけの存在」
で終わらせるのではなく、
「夫婦で会社の未来をつくる存在」
へと進化させることに意味があると考えています。
それは、夫婦二人のためだけではありません。
会社で働く従業員、そのご家族、取引先、地域の方々の暮らしを守ることにもつながっています。
孤独を知っているからこそ、寄り添える
私自身の人生も、孤独と無縁だったわけではありません。
高校時代に感じた孤独。
2年間の浪人生活。
その後、看護師となり、大学病院で経験を積みました。
結婚後は専業主婦として家庭を守り、夫と共にゼロから会社をつくり、現在に至ります。
人生の中で、うまく言葉にできない苦しさや、誰にも理解してもらえないと感じる時間を経験してきました。
だからこそ、立場のある人が抱える孤独にも寄り添えると思っています。
また、看護師として、そして調剤薬局という医療に関わる仕事を通して、守秘義務の重要性も深く理解しています。
会社や夫婦の悩みは、誰にでも話せるものではありません。
安心して本音を話していただける環境をつくることを、何よりも大切にしています。
私が受けてきた恩を、次の人へ
私がここまで歩んでこられたのは、決して自分一人の力ではありません。
家族、スタッフ、お客様、地域の方々をはじめ、多くの人に支えていただきました。
私が受けてきた恩を、今度は同じ立場で悩んでいる方に返していきたい。
困っている経営者ご夫婦が、もう一度落ち着いて話し合い、それぞれの役割を見直し、会社の未来を考えられるように支援したい。
それが、私がこの仕事をしている理由です。
これから
中小企業が発展し、そこで働く人たちが安心して仕事を続けられるように。
夫だけが頑張るのでも、妻だけが我慢するのでもなく、夫婦がお互いを尊重しながら、それぞれの力を発揮できるように。
私はこれからも、経営者ご夫婦に寄り添い、家庭と会社の両方を整える支援を続けていきます。
経営者の妻は、会社の中でも家庭の中でも、簡単には弱音を吐けないことがあります。けれど、一人ですべてを抱える必要はありません。
頭の中にある思いや問題を言葉にし、整理するだけでも、次に進む道が見えてくることがあります。
一人で整理することが難しいと感じている方は、初回相談をご利用ください。