結論から言う。2026年10月、最低賃金は全国加重平均で1,177円(前年比56円・5.0%増)に引き上げられる。中央審議会の目安(55円・4.9%増)を上回る、賃上げ幅としては過去最大級の水準だ。東京は1,280円、最も低い地域でも1,085円まで上がり、47都道府県すべてで54〜65円の引き上げになる。発効日は都道府県ごとにばらつきがあり、東京など15都道府県は10月1日、最も遅い沖縄は12月2日と段階的に施行される(出典:randstad「中小企業にのしかかる人件費の重石」、hrm-co.jp最低賃金一覧まとめ)。
このニュースを見て「うちは従業員を雇っていないから関係ない」と読み飛ばした一人社長は、実は一番見落としてはいけない数字を見落としている。
最低賃金制度が対象にしているのは雇用関係にある労働者だけで、個人事業主である一人社長自身の報酬にはそもそも適用されない。つまり一人社長は、最低賃金という下限ラインで守られない唯一の立場にいる。従業員を雇う企業には「賃上げ原資をどう確保するか」という形でこのニュースが届くのに対し、雇われていない一人社長には、自分の労働の対価が最低賃金を下回っていても、誰からも指摘されない構造になっている。
多くの一人社長は、売上から経費・外注費を差し引いた「残り」を自分の取り分として受け取る発想で経営しており、その金額を自分の実働時間で割って時給換算したことがない。これは精神論ではなく、単に計算する場面がこれまで一度もなかったという手続きの不在にすぎない。
今日、30分でできる確認作業を提示する。
①直近1ヶ月の自分の手取り(売上-経費-外注費)を出す
②同じ1ヶ月の自分の実働時間を、ざっくりでいいので足し合わせる
③手取り÷時間で、自分の実質時給を算出する
④その数字を、自分の事業所がある都道府県の2026年10月の最低賃金(東京なら1,280円)と比べる
もし実質時給が最低賃金を下回っていたら、それは「忙しいのに儲かっていない」という感覚を裏付ける具体的な数字だ。値付けが安すぎるのか、単価の低い仕事に時間を取られすぎているのか、外注すべき作業を自分で抱え込んでいるのか——どこに手を打つべきかは、この時給の数字を出して初めて特定できる。
検証方法:10月中に一度この計算をし、11月にもう一度同じ計算をして、実質時給が上がったかどうかを比較する。下がっていた、あるいは変わっていなかった場合は、値付けか受注内容そのものを見直すタイミングだと判断する。
ちなみに、今回のような論点を1,000円・当日中に整理する壁打ちサービスもやっています。→
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