アップルウォッチが医療機器とできる訳

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Apple Watch、利用されてますか?

心拍数や睡眠を測る便利ガジェットですが、他の多くのスマートウォッチと違い、心電図や心房細動の通知機能は日本で正式に「医療機器」として承認されています。
想像に難しくないと思いますが、日本で医療機器として承認されるのはとても大変なんです。けれど毎年新モデルが出るのに、この厳しい日本の法律をどうやってクリアしているのでしょうか?

まず日本の薬機法(医薬品医療機器等法)について。
日本では、人の健康に影響するものは「医療機器」と見なされ、厚生労働省・PMDAの承認が必須です。「安全性と有効性を科学的に証明」「製造販売業許可」「選任製造販売業者(日本代理店)が必要」「何か変更があれば基本的に再申請」と医療機器開発者がドキュメント作業に忙殺されている姿が予想できるのではないでしょうか?

ソフトウェアも2014年から「プログラム医療機器(SaMD)」として規制対象になりました。普通の家電なら「新機能追加→即アップデート」でOKですが、医療機器だと1回の変更で何ヶ月も国の審査待ちになるケースがザラです。

では、Appleのように毎年ハードもソフトも劇的に進化する製品はどうやってんのか? Appleは、アップルウォッチ本体ではなく搭載する「アプリだけ」を医療機器としてるのがポイントです。
正確にはApple Watch本体は医療機器ではなく、アプリ(プログラム)だけ医療機器なんです。

作戦としてはこうです。Appleは、日本企業を「選任製造販売業者」に立てて、ソフトウェア部分だけを「家庭用医療機器プログラム」として切り分けて製造販売責任を分離しているんです。毎年のバージョンアップ、ソフトウェアの更新は、「軽微変更手続き」という特例範囲で対応しています。

またAI・プログラム医療機器向けの「変更計画確認申請制度」も活用していて、迅速にアップデートをリリースできる仕組みを活用しているわけです。
日本の医療機器メーカーが経験する長い承認期間を、Appleは「医療機器なのに消費者ガジェット並みのスピード」で実現しているんです。かなりの薬事(本当は薬機といいます)の手練れが、国と話し合ってスピード感を実現させているんじゃないでしょうか。

ちなみに、承認された医療機能(心電図で心房細動の兆候を検出など)は、テレビCMや公式広告では一切強調されないません。これは薬機法の広告規制が超厳しいからです。ですので例えば某国の格安スマートウォッチが「正確なセンサーで心臓の危険を早期発見!」なんて書いてあったら、まず疑ってくださいね。エビデンス(根拠)がない場合が多いんで。

アップルウォッチが、世界最速レベルの進化を続けながら、日本の厚労省の安全基準もクリアしているのは大きな付加価値だと思います。Apple社の信頼を得るための創意工夫には、参ります。

…ただ個人的には、日本企業が真似するのは大変かもしれません。海外のアジャイル開発(スピード重視、完成度は徐々にUP)と、日本のV字型開発(石橋を叩いて全て取りこぼしなく検証を繰り返しながら高信頼、高品質の完成品を目指す)は、スタイルが違いますから…
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