英語学習では、
「読解はこの参考書をやっています」
「構文はこの問題集をやっています」
「語彙は単語帳をやっています」
「文法は別の問題集をやっています」
という人がよくいます。
もちろん、それぞれの教材自体が悪いわけではありません。
しかし、本当にそれだけ多くの教材を並行して進める必要があるのでしょうか。
むしろ、教材を細分化しすぎることが英語力向上の妨げになる場合もあるのではないでしょうか。特に時間的な制約のある社会人や学生の場合には。
実際の英語では、語彙だけを使う場面も、文法だけを使う場面も、構文だけを使う場面もありません。
英文を読むときには、
・単語の意味を理解する
・文法を処理する
・構文を把握する
・前後関係を読む
・筆者の主張を理解する
これらを同時に行っています。
英語を聞く・書く・話すときは、それ以上に総合的な力が問われます。
ところが教材を細かく分けすぎると、
「今日は構文の日」
「今日は語彙の日」
というように、本来一体であるはずの英語を人工的に分解して学ぶことになります。
もう一つの問題は、問題集を終わらせること自体が目的になってしまうことです。
「この参考書を3周した」
「この問題集を終わらせた」
という達成感はあります。
しかし重要なのは、教材を何冊終わらせたかではなく、英語が読めるようになったかです。
もちろん、英検やTOEICなどの試験対策では、そのレベルに応じた単語帳や問題集を使うことは必要です。私も教材の利用そのものを否定しているわけではありません。
ただし、教材を増やし続けることと英語力が伸びることは別問題です。
実際には、語彙や読解に特化した問題集を次々と解くよりも、良質な英文を丁寧に理解し、繰り返し音読する方が、語彙・文法・読解を統合的に鍛えられる場合が多いと思います。
音読は、主にライティングやスピーキングに効果があると思われていますが、実は副次的にリスニングにも効果があります。自分が口頭で覚えた表現は、リスニングでも聞き漏らすことがなくなります。
一つの英文を終えたら、次の英文へ、そしてまた次へ。
そのサイクルを大量の英文で回すことで英語の本質的な力は伸びていくのです。
反対に、問題集ばかり解いていると、問題集の問題は解けるのに初見の英文になると急に読めなくなることがあります。英語力とは、問題集の解法を覚えることではなく、英語を大量に処理できる能力だからです。
私自身も、最初からこのような学習をしていたわけではありません。単語帳や文法書、問題集にも取り組みました。
しかし振り返ってみると、最終的に英語力を伸ばしてくれたのは、多くの英文を読み込み、理解し、音読し続けた経験だったように思います。
この時に留意していた点は、
・単語帳は補助的に使う。丸ごと暗記を目指すのではなく、まずは顔見知り程度にしておく。
・文法書はできるだけ薄いものを使う。英文を読んで分からないものはその場で調べる。
・構文集は必要最低限にする。英文で出会う回数を意識的に増やし、わからないものはその場で調べる。
・英文を読む際は、できるだけ辞書を傍らに置く。
・ただし、なければ構わずに読む。完璧主義を目指さない。
学習の中心となるのは、自分にとって少し背伸びをすれば理解できるレベルの英文です。そうした英文を、精読し、速読し、そして音読する。この反復が重要です。
いまではネットのおかげで、海外の新聞やニュースサイト、さらには専門的な論文まで容易に手に入ります。あるいは、書店で見つけた長文読解用の問題集でも構いません。
一つの英文を読む中で、
・語彙
・文法
・構文
・内容理解
をまとめて学びます。
実際の英語は統合されたものです。
だから学習も、できるだけ統合された形で行った方が自然なのです。
教材を増やすことと、英語力が伸びることは必ずしも同じではありません。むしろ、良質な英文を通して語彙・文法・構文・内容理解を統合的に学ぶ方が、本質的な英語力につながる場合が多いでしょう。
現在はAIがあります。AIに英文を放り込み、「重要な単語や構文を整理してほしい」と頼めば、瞬時にリスト化してくれます。辞書を何度も引く手間も、以前より大幅に減りました。学習効率という意味では、これほど恵まれた時代はありません。
ただし、AIは補助ツールにすぎません。実際に英文を読み、理解し、音読する作業は、今も昔も学習者自身が行う必要があります。
英語学習は積み上げです。一朝一夕では伸びません。しかし、教材を増やすことよりも、一つひとつの英文と丁寧に向き合うことを続ければ、英語力は確実に積み上がっていきます。
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