博士号を取るのに10年かかった理由

博士号を取るのに10年かかった理由

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博士号を取るまでに、10年かかりました。
「なぜ、そんなにかかったのか?」
今振り返ると、10年という時間は、最初から「10年かかる」と分かっていたわけではありませんでした。
博士課程に進んだときは、仕事をしながらでも、少しずつ研究を進めていけばいいと思っていました。
ところが、そう簡単にはいきませんでした。

希望していなかった転勤で、また困難校へ
毎日の仕事に追われ、研究のために時間を取ることが難しくなりました。
研究データも、思うように集まりません。
「このままで、本当に研究を続けられるのだろうか。」
そんな不安を抱えながら、仕事をしていました。

そんな中、父が亡くなりました。
そして、母が認知症になりました。
母が徘徊するようになり、あるときは、竹やぶの中で母を見つけました。

研究だけを考えていられる状況ではありませんでした。
それでも、博士課程に在籍している以上、研究を進めなければなりません。
でも、今度は別の問題がありました。

研究テーマが見つからない
何を研究したらいいのか。
自分は何を明らかにしたいのか。
考えても、なかなか答えが出ませんでした。

とうとう私は、アドバイザーのところへ行きました。
「もう、やめたいです。」
そう伝えました。

アドバイザーから、いくつかヒントをいただきました。
でも、どうしてもピンときませんでした。
「これを研究したい」とは思えなかったのです。
そこで、また考えました。

そして、あるとき、
「これならいけるかもしれない!」
と思えるテーマが見つかりました。
自分が教えている生徒たちのスピーキング力とモチベーションの関係
それを研究してみたいと思ったのです。
そこからは、研究が少しずつ動き始めました。

アドバイザーの指導を受けながら、プロポーザルを書きました。
書いては直し、直してはまた書く。
完成するまでに、1年かかりました。

そして、プロポーザル・ディフェンスの日。
「ここまでやってきたのだから、今度こそ。」
そう思っていました。
ところが、結果は却下でした

その後、新しい研究を提案されました。
その日、私は大阪駅までどうやってたどり着いたのか覚えていません
駅に着くまでの記憶がないのです。
それほど、頭の中が真っ白になっていたのだと思います。

でも、そこで終わりにはなりませんでした。
新しい研究を、いちから始めました。
データを集めました。
夏休みには、先行研究を読みました。
一つの論文を読み終えると、また次の論文を読む。
読んだものを整理し、自分の研究と照らし合わせる。
そんなことを繰り返しました。

そして、博士論文のディフェンスが近づいてきました。
ところが、その時期、私は高校の担任でした。
沖縄への修学旅行の引率もありました。
生徒たちと一緒に沖縄へ行きました。
昼間は、生徒たちの引率。

そして夜。
生徒たちが寝静まったホテルの部屋で、私は博士論文のディフェンスの練習をしていました。
発表資料を何度も声を出して読む。
「この質問をされたら、どう答える?」
一人で考えながら、何度も練習しました。

昼間は教師。
夜は博士課程の学生。
そんな日々でした。

そして、10年かかって、私は博士号を取得しました。
振り返ると、決して楽な10年ではありませんでした。
でも、不思議なことに、研究そのものは楽しかったのです。
特に、生徒のスピーキング力をどうすれば伸ばせるのか。
そのことを考えながら研究するのは、とても楽しかった。

そして、その経験が、その後の大学での英語教育へとつながっていきました。

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