「英語を聴いているだけで、話せるようになる」
「3か月で英語が話せるようになる」
そんな言葉を目にすることがあります。
もちろん、英語をたくさん聴くことは大切です。短期間に集中して学習することで、大きく力を伸ばす人もいるでしょう。
でも、長年英語を教えてきた私は、すべての人に同じ学習方法が当てはまるのかな?と疑問に思っています。
同じTOEICの授業でも
最近、大学で担当しているTOEICの授業の評価アンケートを見て、改めてそう感じました。
昨年と同じテキストを使い、授業の進め方も大きく変えていません。
それでも、学生の受け止め方は同じではありませんでした。
同じ教材を使い、同じ教師が、同じように教えても、学生によって反応は違います。
考えてみれば、当然のことなのかもしれません。
学生には、それぞれ違った英語学習の経験があります。
語彙が不足している学生もいれば、文法は分かっていてもリスニングが苦手な学生もいます。
問題を解くことで力をつける学生もいれば、人と英語でやり取りすることで学びやすい学生もいます。
第二言語習得研究から考えると
第二言語習得研究を見ても、英語学習を一つの方法だけで説明することはできません。
例えば、Krashenは、理解可能なインプット(Comprehensible Input)の重要性を説いています。
学習者が理解できる英語を聞いたり読んだりすることは、第二言語の習得にとって重要です。
一方、Michael Longは、相互作用(Interaction)に注目しました。
教師や他の学習者と英語でやり取りすることにも、学習上の意味があります。
そして、Swainは、Output(アウトプット)の重要性を指摘しました。
実際に英語を話したり書いたりすることで、自分が言いたいことをどのように表現するかを考えることになります。
そして、ここが私には面白いところです。
英語を話してみる。
すると、「この表現はどう言えばいいのだろう」と疑問が生まれる。
その疑問を調べたり、聞いたり、学んだりする。
それが次のInputになる。
つまり、Outputが新たなInputを生み出すこともあるのです。
Input、Interaction、Output。
それぞれの考え方から、英語学習について違った側面を見ることができます。
「こうすればいい」だけではない
だから私は、
「英語は聴いているだけでいい」
とも、
「とにかく話せばいい」
とも、
「3か月で話せるようになる」
とも、一律には言えないと思っています。
もちろん、効果的な学習方法はあります。
でも、効果的な方法と、誰にでも合う方法は同じではありません。
学習者によって、英語力も、目標も、これまでの学習経験も違います。
その人に合う方法を一緒に探したい
私は、英語を教えるときに、「こうすべき」と一つの方法を押しつけるのではなく、その人に合った学び方を一緒に探したいと思っています。
今の英語力はどのくらいなのか。
何を目標にしているのか。
これまでどんな勉強をしてきたのか。
何が得意で、何が苦手なのか。
そして、どんな方法なら続けられるのか。
そうしたことを一緒に考えながら、その人に合う方法を見つけていく。
47年間、英語を教えてきた今、私はそれが大切なのではないかと思っています。
英語学習に、ひとつの正解はない。
だからこそ、その人に合った学び方を、一緒に探していきたいのです。