1 はじめに
今回は、大島義則弁護士の著書である『憲法ガール』シリーズについて、書評をお届けします。
評価93点 かなりおすすめできます。
私も受験生時代に『憲法ガール』シリーズを使用していました。
覚えている限りでも、7回は読んでいます。
司法試験の憲法でA答案を取ることができたのは、このシリーズを徹底的に読み込んだことも大きな理由だったと思います。
2 本書の強み
本書の最大の強みは、
①司法試験の過去問を題材としていること、
②実務家による答案があること、
③出題趣旨・採点実感を理解するための補助線になることです。
①について
多くの司法試験過去問は良質な問題です。
そのため、司法試験過去問を題材にした書籍は、それだけで極めて有用であるといえます。
②について
すべての科目に通じることなのですが、まずは答案の「型」を身につけることが肝要であるところ、『憲法ガール』シリーズには大島先生の答案が付いています。
この答案例を何度も何度も読み込んで「型」をつかむことを私はおすすめします。
③について
出題趣旨・採点実感を読むことにより、どのような答案を書けば評価されるのかを知ることができます。
そして、出題趣旨・採点実感で求められている通りに答案を書くことができれば、合格に近づきます。
ところが、出題趣旨・採点実感を理解することはかなり難しいです。
そのため、出題趣旨・採点実感を理解するための補助線となる『憲法ガール』シリーズは、極めて有用になります。
3 『憲法ガール』シリーズを使用したおすすめの勉強法
私は『憲法ガール』シリーズを過去問学習の柱に据えて、以下のように勉強していました。おすすめの勉強法です。
① 過去問を解く。なお、初学者等で過去問を解くことが難しい方は過去問を「解く」のではなく「読む」のでも大丈夫です。
② 出題趣旨・採点実感を読む。また、出現趣旨・採点実感において参照すべき条文・判例などが登場する場合、適宜それらにも目を通する。
③ 『憲法ガール』シリーズを読む。
④適宜、条文・判例・基本書・予備校教材などに目を通す。
⑤ もう一度、出題趣旨・採点実感を読む。
⑥もう一度、『憲法ガール』シリーズを読む。
⑦もう一度、条文・判例・基本書・参考答案・予備校教材を読む。
憲法ガールと出現趣旨・採点実感を何度も往復していくうちに、難解な出現趣旨・採点実感についてもだんだんと理解することができるはずです。
4 本書の注意点
もっとも、本書にも注意点もあります。
第一に、初学者向けではありません。
司法試験を題材としているため、当然のことながら問題のレベルが高いです。
また、解説のレベルも極めて高いです。
私が『憲法ガール』を初めて読んだのは、たしか20歳か21歳のときでした。
大学3年生か4年生のころだったと思います。
そのとき、友人に「この本いいよ」と言われて読んだのですが、当時はさっぱ
り分かりませんでした。
私のレベルが低かっただけなのかもしれません。しかし、少なくとも20歳、2
1歳のときの私には読解不能でした。
その後、ロースクール1年目の終わり頃に、再度『憲法ガール』シリーズを読
みました。
すると、今度は書いてある内容が「ストン」と頭に入ってきました。
それ以降、『憲法ガール』を主軸に学習をするようになりました。
この経験からすると、憲法の基礎知識が不十分な段階で読むのは、かなり
厳しいです。
一定程度、憲法の基礎知識があり、論文問題にも触れたことがある人が対象に
なる本だと思います。
第二に、対話形式・小説形式が苦手な人には、とっつきにくいかもしれませ
ん。
本書は、いわゆるライトノベル調なのですが、私はライトノベルがあまり好き
ではありませんでした。
そのため、私はややとっつきにくかったです。
もっとも、それだけで敬遠するのは、あまりにも惜しいです。
それほどまでに、レベルが高い書籍です。
5 まとめ
私の評価は、93点/100点です。
かなりの良書です。
司法試験憲法の論文対策において、過去問を素材にしながら、答案に至る思考
過程を対話形式で学べる点は大きな強みです。
一方で、初学者向けではありません。問題のレベルも解説のレベルも高いの
で、憲法を学び始めたばかりの人がいきなり読むには厳しいと思います。
また、小説形式・ライトノベル調の雰囲気は好みが分かれます。私自身も、最
初はそこが苦手でした。
しかし、それだけで避けるには、あまりにも惜しい本です。
ぜひ手に取って読んでいただきたい書籍です。