司法試験や予備試験の受験生の間では、複数人で答案を検討し合う「自主ゼミ」が広く行われています。
ロースクールに入学すると、周囲が次々と自主ゼミを組み始め、「自分も参加しなければ取り残されるのではないか」と不安になる人も少なくありません。
自主ゼミについては、
「他人の答案を読むことで視野が広がる」
「勉強のペースメーカーになる」
と積極的に評価する意見がある一方で、
「受験生同士で議論しても正解が分からない」
「時間がかかるだけで非効率である」
という否定的な意見もあります。
ここで私自身のお話をしますと、記憶している限りで言うと、常時2~3個の自主ゼミに参加していました。
感想にはなりますが、この自主ゼミが短期合格かつ上位合格に寄与してくれたと思っています。
しかし、当時から思っていたことですが、自主ゼミが効果的に機能するには、条件があります。
したがって、私自身は、自主ゼミについて、全面的な肯定派でも、全面的な否定派でもありません。
条件付き肯定派です。
そして、その条件は極めて明確です。
学者又は実務家などによる指導を受けられること。
これが、自主ゼミを有益な学習の場とするための絶対的な条件であると考えています。
1 自主ゼミのメリット
私の考える自主ゼミのメリットは、強制的に答案を書く機会を確保することができる点だと思います。
他にもいろいろあるのですが、私が自主ゼミから得られる効用として期待していたのは、答案を書くためのペースメーカーです。
ところで、私が参加した自主ゼミはほぼすべて過去問検討ゼミでした。
したがって、常時2~3個の自主ゼミに参加していた私は、1週間で最低でも過去問を題材に1~2通の答案を書いていました。
これを1年間継続すれば、過去問を50通~100通程度解くことができます。
まさに継続は力なりというわけです。
2 自主ゼミのデメリット
もっとも、自主ゼミには、構造的な危険があります。
それは、受験生同士で議論しても、その議論が正しいかどうかを最終的に判断することができないという点です。
なぜなら、受験生はまだ司法試験に合格していないからです。
言葉は悪いですが、合格をしていない一受験生同士がいくら議論をしたところで、迷走してしまう可能性のほうが高いです。
3 自主ゼミに指導者が必要な理由
そこで必要になるのが、学者又は実務家などによる指導です。
司法試験合格者についても、その能力如何によっては、これに準じる役割を担うことがあるでしょう。
研究者乃至実務家が指導者として存在していれば、自主ゼミに存する構造的な危険を除去し、自主ゼミのメリットだけを享受することができます。
4 おすすめする自主ゼミの方法
・3人から4人程度の少人数で実施します。
・題材は、原則として司法試験又は予備試験の過去問です。
・自身よりもレベルが高い人とゼミを組むことを推奨します(それが難しいようでしたら、同レベルでも可)。
・ゼミ参加者は事前に必ず答案を書いた上でゼミに参加します。
・指導者とともに各答案を検討します。
5 指導者不在の自主ゼミを勧めない理由
学者又は実務家による指導を受けられない場合、私は、自主ゼミを積極的には勧めません。
むしろ、やめるべきだと思います。
もちろん、文章表現をお互いに確認するくらいならば、専門家の指導がなくても一定の意味があるかもしれません。
しかし、法律論などについて本格的に議論するのであれば、専門家による指導の機会が必要です。
6 まとめ
自主ゼミには、一定の有用性があると思います。
しかし、受験生同士の議論だけでは、正確性を担保できません。
誤った理解が共有され、強化される危険すらあります。
だからこそ、自主ゼミを有益なものにするためには、学者又は実務家などによる指導が必要不可欠です。
この仕組みを確保できるのであれば、自主ゼミは試験対策として非常に有効な手段になります。