過去問分析が合格を左右する理由

過去問分析が合格を左右する理由

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学び
第1 はじめに

 私は、司法試験に一度の受験で合格し、総合順位は300位前後でした。

 この程度の順位であれば、裁判官への任官や、いわゆる名門法律事務所への就職も、十分に視野に入る水準であると考えています。

 他方で、私自身が特別に優秀な受験生であったかといえば、決してそうではありません。

 そのような私が、他の受験生と比べて相対的に秀でていた点は何かと問われれば、過去問分析を極めて深く、かつ徹底して行っていたことにあったのではないかと思います

 当時の私は、どの年度にどの論点が出題され、その年度の出題趣旨・採点実感にどのような指摘がなされていたのかを、ほとんど即座に答えることができました。

 もっとも、これらを意識的に暗記していたわけではありません。何度も繰り返し過去問に取り組むうちに、その内容が自然と身に付いていったのです。

 それほどまでに過去問を反復し、徹底して分析していたことが、最終的な司法試験の結果にも結びついたのだと思っています。

第2 過去問対策の効用
 1 再度の出題可能性に備える。

 過去問対策の意義の一つは、過去に出題された論点が再び問われる可能性に備えることにあります。

 例えば、刑事訴訟法であれば強制捜査と任意捜査の区別や伝聞法則、刑法であれば共犯や正当防衛、憲法であれば表現の自由やプライバシー権、会社法であれば会社法831条や423条1項、民事訴訟法であれば既判力などは、過去に複数回にわたって出題されてきた論点の例として挙げることができます。

 したがって、過去問を繰り返し検討し、そこで問われた論点について理解を深めておくことは、司法試験本番における得点力の向上に直結する重要な対策であると考えています。

 2 評価される答案の書き方を知ることができる
 出題趣旨・採点実感を読むことにより、どのような答案を書けば評価されるのかを知ることができます。
 特に近年は、出題趣旨・採点実感の内容が非常に充実しています。
 出題趣旨・採点実感には、
「このように書いてほしい」
「このように書いてはいけない」
といったメッセージが明確に示されています。

 したがって、出題趣旨・採点実感で求められているとおりに答案を書くことが出来れば、合格に近づきます。

 ゆえに、出題趣旨・採点実感を徹底的に分析することは、司法試験合格に直結します。

 3 問題の質が高い
 司法試験の問題は、複数の司法試験委員による検討を経て作成されるものであり、その質は極めて高いといえます。
 したがって、司法試験の過去問は、単に本番形式に慣れるための教材にとどまらず、法的思考力や答案作成力を養うための問題演習教材としても、非常に優れていると考えています。

 4 過去問演習に必要な『ガイドブック』
 過去問演習をする際には、古い過去問の取扱いに注意をする必要がありますし、出題趣旨・採点実感の内容を理解することは決して容易ではないため、過去問を解説した書籍を、いわば「ガイドブック」として活用することをおすすめします。

 もっとも、過去問演習を行うに当たっては、古い年度の問題について、法改正や判例変更等を踏まえて取り扱う必要があります。
 また、出題趣旨・採点実感は、司法試験委員から受験生に向けて示された極めて重要な資料ではあるものの、その記述を正確に読み解き、答案作成にまで落とし込むことは、決して容易ではありません。

 そこで私は、過去問を解説した良質な書籍を、過去問演習のための「ガイドブック」として併用することをおすすめしています。

 例えば、憲法であれば、大島義則弁護士著『憲法ガール』シリーズをおすすめしています。
 同シリーズは、司法試験の過去問を題材として、答案作成に至る思考過程や出題趣旨・採点実感の読み解き方を学ぶ上で、非常に有益な教材です。

 また、会社法であれば、上田純子・松嶋隆弘・大久保拓也編『論文演習会社法 第3版』をおすすめしています。
 同書は、司法試験・予備試験の過去問等を素材として、実務家による答案例と研究者による解説の双方を確認できる点に大きな特徴があります。

 過去問そのものを中心に据えつつ、こうした書籍を「ガイドブック」として適宜参照することで、出題趣旨・採点実感の理解を深め、過去問から得られる学習効果を一層高めることができると考えています。

第3  まとめ
 以上の通り、過去問は、司法試験対策における最良の教材の一つです。

 何度も解き、何度も読み返し、過去問から学べることを徹底的に吸収する。

 その姿勢を、ぜひ大切にしていただければと思います。
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