第5話「当日、忙しさの中ですれ違う」

第5話「当日、忙しさの中ですれ違う」

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占い
文化祭当日。

朝から教室は、いつもと違う空気に包まれていた。

準備は完璧じゃない。
まだ足りないものもある。

それでも、みんなが動いている。

飾り付け、受付、出し物の確認。

バタバタとした音の中で、時間だけが進んでいく。

(忙しい…はずなのに)

なぜか、気持ちは落ち着かなかった。

理由は分かっている。

あの人と、ちゃんと話せていない。

朝からすれ違いばかりだった。

目が合っても、すぐに逸れてしまう。

(気のせいじゃないよね)

距離がある。

でも、完全に離れたわけじゃない。

それが、余計に落ち着かない。

「これ、こっち持っていって!」

誰かの声に反応して動く。

気づけば、
あっという間に時間が過ぎていた。

昼前。

少しだけ手が空いた瞬間。

教室の隅に、あの人がいた。

一瞬、視線が合う。

でも。

すぐに逸れる。

(…なんでよ)

胸の奥がざわつく。

近づきたいのに、近づけない。

話したいのに、言葉が出ない。

そんな時間が続く。

午後になると、さらに忙しくなった。

人も増え、教室は騒がしくなる。

その中で、
ふとした瞬間。

すれ違う。

ほんの一瞬。

肩が近くを通る。

「……」

言葉はない。

でも、確かにそこに“何か”があった。

(今、話せばよかったのに)

後になって気づく。

でもそのときは、
ただ流れていってしまう。

気持ちだけが、取り残される。

文化祭は進んでいく。

楽しいはずの時間。

なのに。

どこか落ち着かないまま、
一日が終わりに近づいていく。

(このまま終わるのかな)

そんな不安が、少しだけ頭をよぎった。

続く。
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