【新堀武司】砂時計の中で企画が生まれる理由

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砂時計を眺めていると、時々自分の思考がどこか別の場所に連れていかれるような感覚になる。細かい砂が落ちていくたびに、忘れていた何かが呼び戻されるような気さえする。そんな時間を過ごしていると、ふとした瞬間に「この世界の仕事はもっと砂の動きに似ていてもいいのでは」と思えてくる。急がないといけないのに急いでも仕方がない時間、手を入れられないからこそ大事に見守るしかない時間、そのどちらも仕事の現場には確かに存在している。目の前のミッションもプロジェクトも、結局のところは砂粒のように積み重ねていくしかないのだという割り切りが、砂時計の前に立つと妙にしっくりくる。

ある日、自分の中で「砂時計の内部で会議ができたら面白いのでは」という突飛なイメージが浮かんだ。もちろん物理的に入れるわけではないが、発想としては悪くない。砂が落ちていくあいだ、誰も余計なことは言わないし、言い訳もできない。時間が落ちきる前に一つの意見を固めるしかない。そんな会議だったら、きっと自分も含めて全員がもっと集中できるはずだ。むしろ現実の会議室よりもずっと動的なアイデアが生まれるのではないかと感じた。

さらに想像は広がる。砂時計の中では、落ちていく砂が情報の流れに見えてくる。どの粒がどこに着地するかで議論の方向性が変わるような、そんな偶然の力も肯定できる環境があるというのは、創作にも企画にもとてつもなく相性が良いはずだ。そして自分はその偶然の揺らぎを楽しめるタイプだったことに、その時ようやく気づいた。効率や正確さばかりを求めていた自分が、実は偶然のズレから生まれる面白さに一番興奮していたのだ。

だから最近は、実際の仕事でも「砂時計的発想実験」を取り入れている。タイマーを砂時計に見立てて一つの論点だけを考える数分間を作る。それだけでも、頭の中の余計な雑音が消えて意見がすっと形になる。自分の思考が透明になるという表現が一番近い。人に話すのが少し恥ずかしいくらいの変な方法かもしれないが、効果があるなら気にする必要はないと思った。むしろ変だからこそ面白いし、続けられる。

このやり方を取り入れてから、自分の企画も文章もどこか以前より軽やかになった。砂のリズムで動くようになった思考は、意外なくらい素直で、余計な力みも少ない。砂粒が落ちるだけの単純な動きから、なぜこんなにも発想が広がるのかは自分でも説明できないが、説明できないからこそ価値があるのかもしれない。理屈ではなく感覚で理解するものに出会った時、人はやっと肩の力を抜ける。

もしあなたが最近、アイデアが詰まっていると感じるなら、一度砂時計を手元に置いて眺めてみてほしい。何も起きないかもしれないが、何かが起きる可能性もある。静かに砂が落ち続けるだけの世界の中に、思考を動かすヒントが紛れ込んでいることに自分は気づいてしまった。きっとあなたにも、何か一粒が落ちる瞬間にしか見えない発想が訪れるはずだ。
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