毎日、満員電車に揺られて出社し、残業もこなし、週末は疲れを癒すために寝て過ごす。そんな生活を何年も続けているのに、なぜか銀行口座の数字は思うように増えていかない──そんな感覚、ありませんか?
ニューヨークでは今、年収1000万円でも「普通の暮らし」がやっとだと言われています。家賃は狭いワンルームで月30万円、コンビニのサンドイッチは2000円を超え、外食すれば一食5000円なんてざら。日本にいると「アメリカは給料が高いからいいな」と思いがちですが、実際に暮らしてみると生活はカツカツ。物価が上がれば、収入が増えても豊かさは感じられないんです。
そして、その波は確実に日本にも押し寄せています。ここ数年で、スーパーの卵も、ランチの値段も、電気代も、じわじわと上がり続けていますよね。「なんとなく、前より貧しくなってる気がする」──その感覚は、決して気のせいではありません。
でも、その一方で。
資産を増やし続けている人たちも、確実に存在します。
野村総合研究所の調査によると、資産5000万円以上の「準富裕層」以上の世帯数は、ここ数年で着実に増えているそうです。つまり、中間層が減り、下のマス層と上の富裕層が増えている。真ん中が消えて、格差だけが広がっている。それが今の日本の現実です。
同じ日本に住み、同じ時代を生きているのに、なぜここまで差がつくのでしょうか?
答えを先にお伝えします。
お金がある人とない人の差は、収入の差でも、才能の差でもありません。「富のマインドセット」を持っているかどうかの差なんです。
富のマインドセットとは何か?──資本主義は"ルールのあるゲーム"である
「富のマインドセット」と聞くと、なんだか難しそうに感じるかもしれません。でも、これは決して特別な才能や、生まれ持ったセンスの話ではないんです。
簡単に言えば、お金を増やす人たちが共通して持っている「考え方のルール」と「行動パターン」のこと。そして大事なのは、これは後天的に、誰でも学べるものだということです。
僕はよく、資本主義を「全人類を巻き込んだ巨大なゲーム」に例えます。
ゲームには必ずルールがありますよね。サッカーなら手を使っちゃいけないし、将棋なら駒の動かし方が決まっている。ルールを知っている人は勝てるし、知らない人はどれだけ頑張っても勝てない。
お金の世界もまったく同じです。
勝つためのルールを知っている人は、着実に富裕層側へ移動していく。でも、負けるルールのまま戦っている人は、どれだけ働いても、どれだけ節約しても、なぜか豊かになれない。
ちょっと極端な例えをしますね。
もし5歳の子どもに100万円を渡したら、どうなると思いますか? おそらく、お菓子やおもちゃに使い果たすか、誰かに騙し取られるか。いずれにしても、あっという間になくなってしまうでしょう。
なぜか? お金の「使い方のルール」を知らないからです。
実は、多くの大人も同じ状態なんです。資本主義のルールを知らないまま、このゲームに参加している。言ってみれば「大きな5歳児」のまま、お金と向き合っている。
これは僕たちのせいではありません。日本の学校教育は、「お金持ちになる方法」なんて教えてくれませんでした。教えてくれたのは、時間通りに登校すること、先生の言うことを聞くこと、テストでいい点を取ること。つまり、「従順な労働者としての在り方」です。
考えてみてください。もし学校の先生が本当にお金持ちになる方法を知っていたなら、あなたはとっくにお金持ちになっているはずですよね。
なぜユダヤ人から学ぶのか?──"奪われても残るもの"に賭けてきた民族
では、どこから「富のマインドセット」を学べばいいのでしょうか?
僕がおすすめしたいのは、ユダヤ人の教えです。
ユダヤ人は世界人口のわずか0.2%しかいません。でも、ノーベル賞受賞者の約20%はユダヤ系。GoogleやFacebook、スターバックスなど世界的企業の創業者にもユダヤ系が多い。投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットの師匠、ベンジャミン・グレアムもユダヤ人です。
なぜ、これほどまでに成功者が多いのでしょうか?
その理由は、彼らの歴史にあります。
ユダヤ人は何千年もの間、迫害と虐殺、財産没収の歴史を生き抜いてきました。住んでいた土地を追われ、築いた店や財産を奪われる。そんなことが何度も繰り返されてきたんです。
その中で彼らが気づいたのは、「店や財産は奪われても、頭の中の知識だけは誰にも奪えない」ということでした。
だからこそ、ユダヤ人は徹底的に「知識」と「知恵(ウィズダム)」に投資してきました。子どもの教育にも、ものすごく力を入れる。それが、数千年にわたって受け継がれてきた生存戦略なんです。
その教えをまとめたのが「タルムード」という書物です。ユダヤ人の生活の知恵や教訓が、物語形式でわかりやすくまとめられています。子どもの教育にも使われるくらい、ストーリーで本質を伝えるスタイルが特徴。読む人に「君ならどうする?」と問いかけてくる形式なので、自分なりの答えや納得感が自然と育っていきます。
ここからは、そのタルムードに出てくる3つの寓話を使って、「富のマインドセット」の原則をお伝えしていきます。
原則① ノー・ペイン、ノー・ゲイン──犠牲なくして、成功も富もありえない
最初にご紹介するのは、「魔法のザクロ」という物語です。
あるところに3人の兄弟がいました。彼らは「世界で一番不思議なものを見つけてきた者に、姫との結婚を許す」という王の命令を受け、旅に出ます。
長男が見つけたのは、世界の隅々まで見える不思議なガラスのコップ。 次男が見つけたのは、鳥よりも速く飛べる魔法の絨毯。 そして三男が見つけたのは、食べるとどんな病も治る魔法のザクロの実でした。ただし、その実は数が限られていて、使えば減っていきます。
3人が帰国すると、姫が重い病に倒れていました。長男がガラスのコップで姫の様子を確認し、次男の絨毯で急いで城へ戻り、三男がザクロの実を姫に食べさせて命を救います。
さて、3人とも姫を救うのに貢献しましたが、姫が選んだのは三男でした。
なぜか?
長男のコップも、次男の絨毯も、使っても減りません。でも三男のザクロは、使えば確実に減っていく有限のもの。三男だけが、自分にとって本当に大切なものを、見返りの保証もないまま差し出したんです。
この物語が教えてくれるのは、「先に犠牲を払える人が、最後に報われる」ということ。
「先に報酬をくれたら頑張ります」という姿勢では、一生チャンスは巡ってきません。見返りが約束されていなくても、先にリスクを取れる人だけが、大きなリターンを手にするんです。
僕自身、会社員時代に飲み会やゲームの時間を削って、本や学びに投資していた時期がありました。正直、当時は「こんなことして意味あるのかな」と不安でした。でも今振り返ると、あの時間がなければ今の自分はいません。
現代には、「フェイクな快楽」があふれています。ショート動画、SNSのスクロール、その場しのぎの買い物。すぐに快感は得られますが、何も残らない。快感を先取りし続ける人は、「何がしたいか分からない」まま時間だけが過ぎていきます。
あなたは今、どんな犠牲なら払えますか? 時間、お金、人間関係。どれをどれくらい「成長」に振り向けられるか、一度考えてみてください。
原則② 適切なリスク管理──リスクゼロを求めることこそ、最大のリスク
次にご紹介するのは、「無人島と3人の乗客」という物語。
ある船が航海の途中、無人島に立ち寄りました。船長は乗客たちに言います。「少しの間だけ停泊する。ただし、出航の合図があったらすぐに戻ってくるように」
乗客Aは、船から降りませんでした。「何があるか分からない島に降りるのは怖い」と。結局、空腹のまま耐え続け、栄養失調で死んでしまいます。
乗客Bは、船が見える範囲だけで果物を採りました。空腹をしのぎつつ、出航の合図があればすぐ戻れる距離をキープ。無事に生還します。
乗客Cは、もっと美味しい果物を求めて島の奥深くへ。満腹にはなりましたが、出航の合図に気づかず、船に乗り遅れ、島に取り残されてしまいます。
この3人は、そのまま現代社会の3タイプに当てはまります。
Aは「リスクを一切取らない人」。Cは「リスクを取りすぎる人」。そしてBは「適切にリスクをコントロールできる人」。
資本主義で生き残り、豊かになっていくのは、Bタイプの人です。
日本人にはAタイプが多いと感じます。「リスクがゼロになるまで動かない」という姿勢。でも今の時代、行動しないこと自体が最大のリスクになっています。コロナ禍での変化、急激な円安、AIの台頭。何もしないでいると、気づいたら取り残されている。
もっと言えば、「リスクじゃないものをリスクだと思い込んでいる」人も多いです。
「恥ずかしい」「人にどう思われるか」「失敗して笑われたらどうしよう」
冷静に考えてみてください。これらは、実際にはほとんどダメージのない「偽物のリスク」です。
試しに、やってみたいことを一つ選んで、紙に書き出してみてください。成功したときのリターンと、失敗したときのリスクを。書いてみると、「あれ、思ったより大したリスクじゃないな」と気づくはずです。
「選ばないこと」もまた、強烈な選択です。それは、将来の可能性を自分で消しているということ。小さくていいので、今取れるリスクから動き出してみませんか?
原則③ ウィズダムこそ、お金を引き寄せる──目先の金貨より、"奪えない知恵"に投資せよ
最後にご紹介するのは、「ソロモン王のウィズダム」という物語です。
あるところに3人の兄弟がいました。彼らの父は死の間際、財産の代わりに「ソロモン王のところへ行け。王が正しい道を示してくれる」という遺言を残します。
ソロモン王は3人にこう言いました。「金貨100枚か、私の知恵か、どちらかを選べ」
兄2人は迷わず金貨100枚を選びました。末弟だけが、金貨を返して「王の知恵」を選びます。
ソロモン王は末弟に3つの教えを授けました。その後、3人は故郷への帰路につきます。
道中、近道だという険しい山道がありました。兄たちは近道を選びましたが、末弟は王の教えに従い、遠回りでも安全な道を選びます。結果、兄たちは山賊に襲われ、金貨をすべて奪われてしまいました。
さらに、増水した川では末弟だけが王の教えに従って渡河を待ち、無理に渡ろうとした商人たちが溺れるのを目撃します。そして最終的に、末弟は兄たちの金貨も、商人たちが落とした金貨も拾い集め、大きな富を持って故郷に帰り着きました。
この物語の教訓は明確です。
目先の利益に飛びついた人は、一時的に得をしても、結局は失う。知識と知恵に投資した人は、スタートは遅くても、最後にすべてを追い越す。
金融投資の世界では、インデックス投資で年利5%がせいぜいです。種銭が少なければ、大きなリターンにはなりません。
でも、知識やスキルへの投資は違います。学んだことが仕事に活きれば、収入が何十倍にもなることが普通に起こります。
「本を買っても役に立つか分からないし…」と思って、毎月の給料を飲み会や娯楽に使い切っていませんか? 1冊1500円の本すら惜しむ姿勢は、原則①と②の観点から見ても、徹底的に「富と逆方向」の選択です。
もし今、投資できるお金が1万円しかないなら、まず金融商品ではなく、本や講座に回してみてください。自分の頭と行動が変われば、稼ぐ力そのものが変わります。投資のタネ銭は、後からいくらでも作れるんです。
まとめ:富のマインドセットは「今日から書き換え可能」なOSである
最後に、3つの原則をおさらいしましょう。
原則① ノー・ペイン、ノー・ゲイン 先に犠牲を払い、報酬は後から受け取る。見返りの約束がなくても、先に差し出せる人だけがチャンスをつかむ。
原則② 適切なリスク管理 動かないことこそ最大のリスク。恥や世間体という「偽物のリスク」に惑わされない。
原則③ ウィズダムに投資する 金貨より知恵。自己投資こそ、もっともリターンの大きい投資。
「お金がないから何もできない」のではありません。「富のマインドセット」を知らないから、いつまでも同じ場所にいるだけなんです。
今日からできることは、本当に小さなことでいいんです。
1日のショート動画を30分減らして、本を10ページ読む。 500円でもいいから、初めて「知識を買う」経験をしてみる。
あなたにはまだ、チャンスがあります。 今までと同じ考え方のままでは、正直ヤバいかもしれない。 でも、やるべきことは意外とシンプルです。
富のマインドセットは、生まれつきのものではありません。今日から書き換え可能な「OS」のようなもの。
まずは、一つだけ。今日から変えてみませんか?