ストーリーってそんなに重要?

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今、身近な所でストーリーという言葉が頻繁にささやかれるようになってきました。
そもそもは“物語”を意味する、この言葉は小説や映画、テレビ番組など娯楽作品の表現として用いられ、次第にビジネスの中でも重要視されるようになっています。

ストーリーテリングの重要性

ストーリーとは受け取る人たちの感情と感心の方向に沿って物事の過去、現在、未来をつなぎ、想像力を搔き立てるものです。その為、商品やサービスの紹介をストーリー化することで人は心地よさを伴いながら内容を理解しやすくなり、結果、印象に残るものとすることができます。そして幸いなことにストーリーテリングは、複雑な幾つもの要素を組み立て、「物語」として構築できる応用の幅の広さがあるのです。
特に昨今、ビジネスにおいては顧客が思わず嬉しくなる「自分たちらしさ」を提案することが求められています。
一方で弊社にご依頼をいただく会社の方々からよく伺うのは「当たり前すぎて自分たちでは“自分たちらしさ”が分からない」という声です。
そこで今回は映像制作におけるストーリーテリングテクニックの一部をご紹介。
視聴者の心に響く映像作りの方法をご紹介します。

とにかく書き出すこと

とてもシンプルな最初の準備です。ストーリーとして紹介したい会社や商品、サービスの特徴、形、色、ターゲット層、値段、開発年数、お客様の声、なんでもかまいません。とにかく思いつくままに箇条書きでいいので書き出していきます。
この作業を行う意味は「頭の中から外に出すこと」にあります。そうすることで何が起こるか。
客観的に、その要素を見ることができるようになるのです。とはいえ、言葉だけではイメージしづらいかもしれませんので、事例に沿ってご紹介していきます。
こちらは以前、ある窯元の方からの御依頼で制作させていただいた「究極のご飯鍋」という商品のショートPVです。
こちらはその簡単な企画書。PVの目的やターゲット層などを記入しています。※事例参照用として情報は一部変更して公開。
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企画書の目的や狙いに沿って、どうストーリーを作っていけばいいのか。その手始めに行うのが「要素の書き出し」です。
難しく考える必要はありません。書き出すのは紛れもない事実。※事例参照用として情報は一部変更して公開。
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あらかた紹介の為に関係がありそうな要素が書き出し終わったら、次の段階に移ります。それはこの企画で作るストーリーによって視聴者に伝えたいこと。言い換えると「狙い」です。
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今回のPV作成の意図を考えると、このような狙いが考えられました。ここまでくれば、あとは情報を整理していくだけ。
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これからの作業がストーリーテリングとなります。
左の黄色の「狙い」と右の緑の「要素」を関連付けながら並べていくのです。例えば・・・。
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「手軽に~」という黄色の「狙い」に関しては、右の「要素」としてはこのようなものが関連付けられると考えてみました。
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その後は、これらを並べ替えてみます。
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ここでわざわざ書き出したことが役立ちます。このように並べ替えてみると、要素を書き出したことで、客観的に見ることができ、初見の人に「理解できるかどうか」を検討できるようになるのです。頭の中でだけ考えているとこのようにはいきません。
※赤の部分は「分かりやすさ」の観点から追加した要素です。これも書き出したことで分かりにくさの原因が分かったため、追加を検討できるようになります。
さらに書き出して並べたことで、自分以外のPV制作者や社員などにも見てもらうことができるため、多角的でより客観性の高い俯瞰の視点での議論ができるのです。PVが公開後、不特定多数の人に見てもらうことを考えると非常に理に叶った手法ともいえます。
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この時点で非常に要素が多くなってしまいました。そのことが全体のボリューム感で分かります。ここで必須なのは企画に立ち返ること。今回は商品を紹介する目的の企画であることを確認し、検討の末、時代背景に関しては省略することに決めました。この判断も要素を書き出し、並べてみて初めてできるのです。
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この緑の要素を伝えるため、映像はどんなものが必要かを考えていくとこのように。これでPVストーリーの設計図が完成です。
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あとはこの設計図のストーリーに沿って撮影と編集を行っていくとPVが完成するのです。
この方法の利点は大きく3つ。
①書き出し、客観的に文字を見ることで自分の頭が整理できること。
②PV企画の狙いの沿って視聴者に「伝わる」内容になっているかどうかを検討・修正ができること。
③設計図を共有しやすいため、複数のメンバーで内容について検討でき、コンテンツの質をよりブラッシュアップできること。
ご紹介したのはストーリーテリングの方法の一部ですが、これを応用すれば設計図は紹介する商品やサービスの内容や方向によって変幻自在。動画以外にも㏋の文章など、他の様々な情報発信コンテンツ作成でも行かせるのです。

小説執筆経験を活かしたストーリーテリング

映像制作は「雰囲気が重要」と言われることが多いですが、映像はただ記録するだけではありません。視覚や聴覚に訴える表面的な情報だけでなく、無意識に人々が感じ取る要素がたくさんあります。時間や感情の流れ、興味を引き込むベクトル、そして明確な狙いがなければ、映像はただの記録になってしまいます。
そのため、映像は細かく構築されるべきです。その方法については上述させていただきました。
しかし、一方で視聴者の感情を引き込むストーリーを作り上げていくためには無意識の認知プロセスも丁寧にたどる必要がある場合もあります。この点は私の小説執筆の経験が、大いに役に立っています。
例えば、佐賀市三瀬村のブルーベリー園について書いたコラム「夏の三瀬村 ブルーベリーの実り」では、取材で得た感覚や風景を要素として書き出し、時系列や読者の感情曲線などを考慮したストーリーテリングを行い、次のような記事を執筆しました。

「参考記事」

夏の三瀬村 ブルーベリーの実り

 一年ぶりに来たという、その小学生の兄弟は、たわわに実ったブルーベリーの畑の中を元気よく駆け回っていました。

 七月末の週末、三瀬村にあるブルーベリーの観光農園で見かけた光景でした。
 小学四年生くらいの兄が自分の背丈ほどの細木の鉢の林をはしゃいですり抜け、時折、立ち止まって、しゃがみこみます。何度も枝に手を伸ばし、何かを掴んだかと思ったら、くるりと後ろを振り向き、後ろでソワソワして待っている小学一年生くらいの小さな妹に何かを言って手のひらを広げさせ、黒く光る粒をそっと掴ませていました。
 僕の隣で共にその様子を眺めていた農園の女性が「採れたね〜?」と叫ぶと、二人は笑顔でこちらを振り向き、自分たちの獲物を誇りたい一心で私たちの所まで駆け寄って来て、僕らにめいいっぱい掲げた両手の平に溢れるブルーベリーを披露してくれました。
 真夏の強い日差しの中で、豊かな水気にほどよく膨らんだ果実は、その一粒一粒が黒い真珠のように光っていました。
「いっぺんに口に放り込むといいよ」
 農園の女性の大胆なアドバイスに背中を押され、その顔つきから意を決したらしい少年は、妹の右手いっぱいの実を左手で雑に掴み取り、いっぺんに口に放り込みました。
 クルミで頬を膨らませたリスみたいな顔で、少年は「むふふ」と笑い、それを見た妹も慌てて残り半分を乗せた手のひらを、小さな口より高く上げて、たどたどしく転がり落としていきました。もぐもぐと頬を動かす兄弟の顔は、感想など聞くまでもない喜色満面な様子でした。
 長年、三瀬村を取材してきた僕にとって、ブルーベリーといえば三瀬村の夏に欠かせない果物です。
 毎年、七月中旬から八月下旬にかけては、村にある観光農園がオープンし、採れたての実を使ったブラマンジェなどのスイーツが味わえます。村のある宿でも、この時期、宿泊すれば畑のブルーベリーを収穫し放題というもてなしを行っています。さらに幾つかの喫茶店や食堂ではブルーベリーを使ったパフェなども楽しめます。どこも隣県、福岡からの常連客が多く、農園に至っては少し早い時期から、「今年のオープンは何日からですか」と問い合わせの電話も少なくないのだとか。
 人気の秘密は?作り手の農家さんのやりがいは?そんな取材の果てに僕が見つけたのはブルーベリーに象徴される、村のある魅力でした。
「実りある人生」
 それはブルーベリーの花言葉でもあります。
 福岡からの常連客は一年のうち、この時期を狙って、毎週のように家族連れで通ってきます。そして収穫だけであっても自ら体験し、その味をその場で感じる「自然に触れる体験」を得ます。農園の人々は土造りに枝の剪定、肥料の調整に草刈りなどの苦労を積み重ね、一年間で二ヶ月足らずの開園期間を迎えます。そんな商売の先に農園の人々が得るのは、常連客がその場で直に表す喜びの感情です。
 僕は夏の三瀬で交わり、喜びを分かち合う人々の姿を見つめていると、互いが今、その場で様々なものを得ながらも、一方で各々が普段、求めながらも得られないものへの渇望を抱えている姿もまた想像してしまうのです。
 笑顔でブルーベリー園を駆け回っていた兄弟は十年後、どんな感情と共に三瀬の記憶を思い出すのでしょうか。
 そんな常連客の喜びの姿を年々、確実に年老いていく村の農園の人々は、どんな思いで見つめ、これから三瀬村で生きていくのでしょうか。
 ここで実っているのは果実ばかりではないのかもしれません。

視聴者の心をつかむポイント

この記事で大切にしたのは、ブルーベリー園の「雰囲気」を読者にも感じてもらうこと。
その為、最初から「ここは魅力的です」と書き手が断じるのではなく、あくまでも取材にいった時に見た光景や感じたことを一つ一つ、丁寧に拾い上げ、重ねていくことです。
ありがたいことに記事は読まれた方々から「情景が浮かぶようで魅力的」と評価していただき、間接的にブルーベリー園の売り上げにも貢献することができました。
このようにストーリーテリングを使うと文章であっても、「言外」の空気を感じてもらえるコンテンツを作ることができるのです。
さいごに
私は、これまでに行ってきた映像制作や小説執筆の中で、視聴者や読者が映像や文章のコンテンツに接した時、どのような感情や関心を抱くか、ということをいつも念頭に置いてきました。その経験が今、弊社の「ストーリーテリング」に生きています。
この技術を生かし、皆さま1人1人が生み出す社会的価値を物語として形にし、皆様がより活躍する社会を実現するためのお手伝いが出来ればと思っています。
お気軽にご相談ください。
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