五月の最初の朝、
窓を開けると空気がやわらかく変わっているのがわかる。
あの独特の、春が完全に地に着いたような感覚。
今日はスズランの話をしようと思う。
スズランという花は、知っている人も多いだろう。
細い茎からぶら下がるように咲く、小さな白い釣り鐘型の花。あの形が
なんとも愛らしくて、でも触れたら壊れてしまいそうな儚さを持っている。
香りはさわやかで甘く、部屋に一束あるだけでふわっと空間が変わる。
スズランの花言葉は
「希望」「幸福の再来」「純愛」そして「あふれ出る美しさ」。
ヨーロッパでは長いあいだ、聖母マリアの象徴として扱われてきた花で、その清らかな白さと甘い香りが、純粋さや幸福を表す言葉につながっていったと言われている。五月一日はフランスでスズランを贈り合う風習が
ある日でもあって、受け取った人に幸福が訪れると信じられてきた。
幸福の再来、という言葉をしばらく眺めていた。「再来」という字が
引っかかる。また来る、ということは、一度は去った、ということだから。
あなたにも、そういう時期があっただろうか。うまくいっていた頃のことを「あれはもう戻らない」と感じながら過ごしている時間。
仕事でも、恋愛でも、家族との関係でも、かつて感じていた幸せや自信や、
あのあたたかさが、どこかで途切れてしまったような感覚。
以前、こんな方から相談をいただいたことがある。三十代の女性で、数年前に好きだった仕事を離れてから、ずっと「あのときに戻りたい」という気持ちを引きずっていた。転職もしたし、環境も変えたのに、何をやっても手応えが
薄い。霊視をしてみると、その方の周りにはまだ動ける流れがちゃんと
見えていた。ただ、過去の自分のエネルギーへの執着が、新しいものを
受け取る回路を細くしてしまっていた。「再来」というのは、まったく同じものが戻ってくるわけじゃない。新しい形で、もっとふさわしいものが
やってくる前兆を、手放せずにいると見えにくくなってしまう。そのことを
伝えたとき、その方が長い沈黙の後に「そうか、同じものを探していたん
ですね」とつぶやいた言葉を、今でも覚えている。
スズランが毎年同じ場所から芽を出すように、幸せというのも、あなたの中の根っこから何度でも芽吹いてくるものだと思う。それがどこに向かおうと
しているのか、何が邪魔をしているのか、霊視ではそういう見えない部分を
読んでいく。
仕事の流れ、人間関係の縁、転機の時期、心の底にある本音、
そういったものを12000文字超の鑑定文にまとめて届けている。
即日対応もしているので、気になっていることがあれば、気軽に声を
かけてみてほしい。
今日という日が、
あなたにとって小さな転機の始まりであることを願っている。
白神龍玄