介護現場における「生産性向上」

介護現場における「生産性向上」

記事
コラム

はじめに


近年、高齢者人口の増加と介護人材の確保の難しさから、介護業界においても「生産性向上」という言葉がしきりに聞かれるようになりました。  

はじめて耳にしたとき、私はこう思いました。  
「なんと温かみのない言葉でしょう。私たちが扱うのは“人の生活”であって、物じゃないのに」と。  

一方で、介護業界が他産業に比べて新しいものを取り入れるのが苦手であることも事実です。  
交代制勤務による情報伝達の難しさ、職員の高齢化、既存の仕組みを変える余裕のなさ——。  
こうした背景が、変化を阻む要因になっています。

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「生産性向上」の本当の意味


以前の記事でも触れましたが、介護現場における「生産性向上」とは、決して「少ない人数で効率よく働く」ということではありません。  

むしろ、業務を整理し、効率化することで生まれた時間を、利用者のために使うという考え方です。  

一見すると詭弁のように聞こえるかもしれません。  
しかし、実際に取り組んでみると、そこには確かに好循環が生まれるのです。

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業務の見直しから始まる好循環


取り組みの第一歩は、自分たちの業務をすべて洗い出し、見直し、整理することから始まります。

一つ例を挙げると、介護現場には介護福祉士や看護師でなくてもできる業務が多く含まれています。  
(例:洗濯物をたたむ、コップを洗う、水回りの掃除など)  

こうした業務を資格を持たない方に担っていただくことで、有資格者はより専門的な業務に専念できるようになります。  

すると、不思議なことに利用者さんたちが元気になるのです。  

- 水分摂取が難しかった方が、少しずつ飲めるようになる  
- 定期的に入院していた方の入院頻度が減る  
- 転倒が減る  
- 利用者さん同士のトラブルが減る  

その結果、職員の業務にもゆとりが生まれます。  
そして、そのゆとりを活かしてADL維持・向上につながる活動を行う。  
さらに利用者さんは元気になり、さらにゆとりが生まれる——。  
こうした好循環が広がっていくのです。

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介護の歴史を振り返ると


介護のあり方を振り返ると、次のような流れを辿ってきました。

- 多世代世帯による家族介護  
  ↓  
- 収容主義による「最低保証」の効率的な介護  
  ↓  
- 個別性を重視した「寄り添う介護」  
  ↓  
- 住み慣れた地域で暮らし続けることを重視する介護 ← 現在  
  ↓  
- 生産性向上を要とした「質と効率」を求められる介護 ← 現在からこれから  

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おわりに


「生産性向上」という言葉は、一見すると冷たく響きます。  
けれど、その本質は「効率化によって生まれた時間を、利用者のために、そして職員のために使う」こと。  

それは、介護の質を下げるのではなく、むしろ介護を受ける側も提供する側も、相互の満足感を高めていくための取り組みです。  
これからの介護現場に求められるのは、時代に合わせた一歩を踏み出していくことだと思うのです。

人と人との関わりが大切な介護や福祉。これから先はどんな姿を描いていくのでしょうか。私たちはどのように育てていくことができるのでしょうか。皆さんはどんな未来を思い描きますか?


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