私が20回の転職で学んだ「情熱の使い方」

私が20回の転職で学んだ「情熱の使い方」

記事
コラム

「御社の理念に共感し、私の情熱を全て注ぎます!」
「この事業で、自分の夢を実現したいです!」

就職・転職活動において、「熱意」や「情熱」を伝えることは非常に重視され、美徳とさえ考えられています。 

あなたも今、どうすれば自分の熱い想いが伝わるか、言葉を尽くして志望動機を練り上げている最中かもしれません。

その努力は本当に素晴らしいものです。
 しかし、もしその「熱意」そのものが、かえってあなたを不利にし、苦しめる可能性があるとしたら…?

これは情熱を否定する話ではありません。
私自身、人生で一度も熱量無しで仕事に向き合ったことがない人間です。
そして、その熱意ゆえに無自覚に逆境を作り出し、苦しんだ経験も数多くしてきました。

だからこそお伝えしたいのです。 
「情熱」は、あなたのキャリアを切り拓く最強の武器であると同時に、使い方を間違えれば、あなた自身を傷つける両刃の剣にもなり得るということを。

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落とし穴①:企業は「夢」ではなく「貢献」を求めている



まず残酷なほどシンプルな前提があります。 (例外的な企業もありますが)
基本的に企業は「自社の事業発展に貢献してくれる人材」を求めています。
社員個人の将来設計や夢の実現に、給与という対価「以上」の配慮をしてくれる場所では本質的にありません。

ここで、内情をまだ知らない応募者から、
**一方的な「情熱」や「私の夢」**を強く伝えられたら、採用担当者はどう感じるでしょうか?

「熱い人だな」と好意的に受け取られることもありますが、同時に
**「扱いづらいかもしれない」
「自分のやりたいことと会社のニーズがズレたらすぐに辞めてしまうのでは?」**
という警戒心を抱かれる可能性も非常に高いのです。

あなたの情熱があなたの「夢」にしか向いていないと見なされた瞬間、それは企業にとって「貢献」ではなく「リスク」に映ってしまうのです。

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落とし穴②:「経営層」と「現場」の、深くて暗い溝



二つ目の落とし穴は非常に厄介です。
 運良くあなたの熱意が経営層に届いたとしましょう。 
「彼(彼女)のような、新しい風を求めていたんだ!」と、社長や役員があなたの情熱を買ってくれ、採用が決まる。これは一見すると最高のスタートです。

しかし本当の戦場は「現場」にあります。

経営層が「新しい風」を求めていても、実際にあなたと働く現場のチームは、全くそれを求めていないケースが驚くほど多いのです。
 現場にはすでに最適化された独自の段取りや、長年培われた人間関係の暗黙のルールが存在します。

そこに経営層のお墨付きを得た「情熱あふれる新人」がやってきたら、どうなるか。 
残念ながら彼らは「救世主」ではなく「秩序を乱す厄介者」として扱われがちです。あなたの熱意が強ければ強いほど、本来受ける必要のなかった風当たりが、さらに強くなってしまうことさえあるのです。
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落とし穴③:燃え尽きる人ほど、情熱家だったという事実



最後のリスクは、あなた自身の心に関するものです。 
偉大な経営者の多くが「情熱の重要性」を説きますし、もちろん情熱が大きな成果を生むことも事実です。

しかしその光の裏には、深刻な影があります。
 それは、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」に陥ってしまう人の多くが、もともとは非常に情熱を持って仕事に取り組んでいたという、紛れもない事実です。

なぜ、情熱が燃え尽きに繋がるのか? それは、「間違った環境」で「方向性の合わない情熱」を燃やし続けてしまうからです。

現場のニーズとズレたまま、経営層の期待だけに(あるいは自分の理想だけに)応えようと空回りし続ける。
情熱があるからこそ、人一倍努力してしまう。しかし方向性がズレているため、なかなか結果に結びつかない。 
結果、心の方が先に限界を迎え、ぼんやりと仕事に取り組むよりも、むしろ大きな損失を生み出し、最後には「もう何も感じない」という状態になってしまうのです。

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情熱は「捨てる」のではない。「注ぎ方」を変えるのだ



ここまで読んで、情熱を持つことが怖くなってしまったかもしれません。 
ですが、私が伝えたいのは「情熱を捨てろ」ということでは、決してありません。

私がお伝えしたいのは、その貴重な情熱を、
**空回りさせたり、燃え尽きさせたりしないための「賢い使い方」**をしませんか?という提案です。

私自身、かつては自分の「こうあるべきだ」という情熱だけで突っ走り、何度も壁にぶつかり、苦しみました。
その試行錯誤の末にたどり着いたのは、
**「情熱は、事実(ファクト)を起点にして初めて、正しく機能する」**
ということでした。

それは、決して難しいことではありません。


・とにかく現場の声に、耳を傾ける。(彼らが本当に困っていることは何か?)

・会社が関わる「市場」の動向を追ってみる。(顧客は何を求めているか?)

・社長が本当に頭を抱えている「課題」を考察する。(経営層の言葉の裏にある本音は何か?)

・少しでも関連する技術や、別業界のビジネスモデルにアンテナを張る。(この現場に応用できるものはないか?)


これらは全て、「事実ベース」の情報収集です。 
自分の「やりたい」という情熱からスタートするのではなく、「ここに課題がある」という事実を見つけ出す。
そして、その課題を解決することに対して、自分の情熱を注ぐのです。

事実を起点にした情熱は、「筋違い」になりません。 
それは、経営層にも、現場にも、そして何よりあなた自身にも、確かな成果と納得感をもたらしてくれるはずです。

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あなたの「熱意」、どこに向けますか?



志望動機を考える時、あるいは、今の仕事との向き合い方に悩む時。
 あなたのその素晴らしい「熱意」を、どこに向けるか。 
それは、あなたのキャリアを左右する、非常に重要な問いです。

ただ「やりたい!」と叫ぶだけの盲目的な情熱から、 
「ここに課題があるから、私の情熱をこう活かしたい」と語る、地に足のついた、本物の情熱へ。

あなたの熱意が空回りせず、未来への推進力となることを、心から願っています。

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