街を歩いていると、ショーウィンドウに飾られた、涼しげな麻の服や、軽やかなワンピースが目に入ります。この時期になると、衣替えをしたり、お気に入りの服をクリーニングに出したりする方も多いのではないでしょうか。その姿を見ていると、僕が携わっているシステムの「お直し」について、改めて考えさせられます。
SIer時代、僕が担当していたのは、まるで仕立てたばかりの高級スーツのような、完璧なシステムでした。一度作ったら、大きな手直しは不要。ただひたすらに、その形を保ち、美しく着こなすことが求められました。それはそれで、設計の美しさや安定性を追求する面白さがありました。
しかし、フリーランスとして活動するようになってからは、全く違うタイプの「お直し」の依頼が増えました。
「以前作ったシステムが、使い勝手が悪くて…」
「新しい機能を追加したいけど、どうすればいいか分からなくて…」
まるで、お気に入りの服に穴が開いてしまったり、サイズが合わなくなってしまったりしたときに、「この服、まだ着たいんです」とお店に持ち込むようなイメージです。
先日、ある中小企業から依頼されたのは、数年前に別のベンダーが作った勤怠管理システムの改修でした。ソースコードを覗いてみると、まるで何枚もの布を継ぎ接ぎして作ったかのように、複雑で読みにくいものでした。
当初は「これは一度捨てて、新しく作った方が早いのでは…」とも思いました。しかし、クライアントの「このシステムに愛着があるんです。できれば、これからも使い続けたい」という言葉を聞いて、考えが変わりました。
僕はまるで、腕のいい仕立て屋さんのように、そのシステムに真摯に向き合うことにしました。どこに穴が開いているのか、どこがほつれているのか。一つ一つ丁寧に原因を特定し、新しい布(コード)を足したり、古くなった布(機能)を取り除いたり。
そして、ただ直すだけでなく、クライアントが「もっと着やすく」なるように、インターフェースを改善したり、新しい機能を提案したりしました。
改修が終わり、新しいシステムをクライアントにお渡ししたとき、「前嶋さんのおかげで、またこのシステムが着られるようになりました!」と、とても喜んでいただけました。
この仕事のやりがいは、ただ完璧なものを作るだけではありません。すでに存在する、誰かの想いが詰まったシステムを、その想いごと大切にして、新しい命を吹き込むことにあるのだと、改めて実感しました。
ココナラで出品されているサービスも、きっと誰かの「お気に入り」を大切にしたいという想いから生まれたものが多いのではないでしょうか。
これからも、一つ一つのシステムに込められた想いを汲み取り、クライアントのビジネスに寄り添った「お直し」を提供していきたいと思っています。