「で、どうしたいの?」と聞かれるのが、いちばん苦しいときがある

「で、どうしたいの?」と聞かれるのが、いちばん苦しいときがある

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コラム

職場の悩みを誰かに話したとき、こう返されたことはありませんか。
「で、結局どうしたいの?」

「辞めたいの?続けたいの?」

「はっきりさせた方がいいよ」
言っている側に、悪気はないことが多いです。

あなたのためを思って、整理させようとしてくれている。
それはわかっている。
でも、聞かれた瞬間、胸の奥がぎゅっと苦しくなる。
答えられない自分が、ダメな人間に思えてくる。
そんな経験はないでしょうか。
私は精神科の看護師として、長く現場で働いてきました。
病院では、人生の大きな選択について、ご本人やご家族に気持ちを伺う場面があります。
「これからどうしていきたいですか」
丁寧に作られた質問でも、すぐに答えられる人ばかりではありません。
「まだ、わからないんです」

「考えたくない気持ちもあって」
そう言葉にされる方を、たくさん見てきました。
そして現場で学んだのは、これです。
すぐに答えられないのは、不真面目だからでも、逃げているからでもない。
むしろ、その問題が自分にとって大事だからこそ、簡単に答えが出せないのです。
どうでもいいことなら、人はすぐ決められます。
辞めるか、続けるか。

我慢するか、伝えるか。

あの人と、どう距離を取るか。
迷いが長引くのは、そこにあなたの生活や、人間関係や、これまで積み上げてきたものが、全部つながっているからです。
それから、もうひとつ。
気持ちは、変わっていいものです。
朝は「もう辞めよう」と思っていたのに、夜には「もう少し頑張れるかも」と思う。

先週は許せなかったのに、今週は少しだけ冷静に考えられる。
それは優柔不断ではなく、自然なことです。
人の気持ちは、体調や状況と一緒に揺れ動きます。
揺れている途中で「どうしたいの?」と結論を求められると、人は苦しくなります。
まだ固まっていないものを、無理に固めようとするからです。
だから私は、話を聴くとき、答えを急がせないことを大切にしています。
「まだわからない」も、立派な気持ちです。

「今は決めたくない」も、その人の今の答えです。
話しているうちに、自分でも気づいていなかった本音がぽろっと出てくることがあります。
「本当は、辞めたいんじゃなくて、わかってほしかっただけかもしれない」
そういう言葉は、結論を急かされる場では、出てきません。
安心して迷える場所でだけ、出てくるものです。
もしあなたが今、職場の人間関係で疲れていて、でも「どうしたいのか」自分でもわからないなら。
それは、おかしいことではありません。
答えが出ていなくても、話すことはできます。
むしろ、答えが出ていない今だからこそ、誰かに話すことに意味があるのかもしれません。
結論を急がせず、まとまっていない気持ちのまま、お聴きします。
迷っている途中のあなたの話を、聴かせてください。
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