#20 インスタの投稿、ChatGPTにどこまで任せる?個人店が任せる3つと、自分で決める3つ

#20 インスタの投稿、ChatGPTにどこまで任せる?個人店が任せる3つと、自分で決める3つ

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ビジネス・マーケティング
インスタの投稿文を、ChatGPTに書かせてみた。返ってきたのは、きれいだけれど、どのお店でも言えそうな文章。個人店のインスタにAIを使ってみて、そこで手が止まったことはありませんか。

うまくいかないのは、AIの性能のせいでも、あなたの頼み方が下手だからでもありません。AIは、あなたのお店のことを何も知らないまま書いている。それだけです。

この記事で分かることは、3つです。

・AIに任せやすい3つの仕事 
・任せずに、自分で決める3つのこと 
・AIに渡す「お店メモ」の作り方と、入力しないもの

任せるところと決めるところを分けておくと、AIは「使えない道具」から「手が足りないときの手伝い」に変わります。まずは、なぜ似たような文章になるのかから見ていきます。

【ChatGPTに書かせると「どのお店でも言えそうな文章」になる理由】

たとえば、あなたがカフェを営んでいて、ChatGPTなどのAI(文章を作ってくれるツール)に「新しい焼き菓子の投稿文を書いて」とだけ頼んだとします。

返ってくるのは、こんな調子の文章になりがちです。

「こだわりの素材で丁寧に焼き上げた、絶品スイーツが新登場。ぜひお立ち寄りください。」

間違ったことは書いてありません。ただ、これはあなたのお店の話ではありません。となりの駅のお店が載せても、そのまま通じてしまいます。

理由は単純です。AIは、あなたのお店に来たことがありません。

・その焼き菓子を、なぜ焼くことにしたのか 
・いくらで、いつまで出すのか 
・どんな人に食べてほしいのか

どれも知らないまま、文章の形だけを整えています。知らない部分は、よくある言い回しで埋めるしかありません。

ネイルサロンなら「トレンド感のある上品なデザイン」、パーソナルジムなら「理想の体へ、一緒に頑張りましょう」。業種が変わっても、起きていることは同じです。

個人店のインスタで伝えたいのは、そのお店にしかない理由のはずです。そこだけが抜けた文章になるので、読んで「違う」と感じる。その感覚は正しいと思います。

覚えておきたいのは、AIの性質です。材料を渡せば、整えるのは速い。材料がなければ、それらしく埋める。

ですから、先に考えるのは、凝った頼み方ではありません。何を渡して、何を任せて、何を自分で決めるか。次は、その全体像を見ていきます。

【インスタの投稿で、AIは「書く人」ではなく「手伝う人」】

投稿1本ができるまでの作業は、撮る・選ぶ・書く・出すの4つに分けられます。このうち、AIが役に立つのは、おもに「書く」の前後です。

ここで、AIの立ち位置を決めておきます。AIは、お店の代わりに書く人ではありません。あなたが書くのを手伝う人です。

分け方は、次のとおりです。

AIに任せやすいこと 
・聞き役:質問してもらう 
・下書き:メモを文章の形にしてもらう 
・点検:初めてのお客さまの役で読んでもらう

自分で決めること 
・事実:値段、時間、期間などの数字と条件 
・お店の言葉:こだわりの理由と、ふだんの言い方 
・出すかどうか:投稿する、しないの判断

お店に新しく入ったスタッフを思い浮かべると、分かりやすいかもしれません。

入ったばかりの人に、いきなりメニューの説明文を任せることはないはずです。まずお店のことを伝える。書いてもらったら、目を通してから出す。AIにも、同じ順番で接すれば十分です。

違うのは、AIは聞き返してくれないこと。新しいスタッフなら「これ、いくらですか」と確認してくれますが、AIは確認せずに書き進めます。だから、材料を先に渡すことと、最後に見ることが、あなたの仕事として残ります。

この分け方にしておくと、「全部任せたのに使えない」と「怖いから一切使わない」の、どちらにも寄らずに済みます。では、任せやすい3つの仕事から順に見ていきます。

【AIに任せやすい3つの仕事。聞き役・下書き・点検】

① 聞き役:質問してもらう
「このメニューのこだわりを書いてください」と白紙を渡されると、手が止まります。でも、人から聞かれれば答えられる。そういうことは多いはずです。

AIには、書かせる前に、聞かせます。

「このメニューについて、初めてのお客さまが知りたそうなことを、1つずつ質問してください」

こう頼むと、「どんな人に向けたメニューですか」「ほかとの違いは何ですか」と順に聞いてきます。答えるのはあなたなので、出てくる言葉は、あなたのお店の言葉です。

② 下書き:メモを文章の形にしてもらう
材料がそろったら、並べる作業を任せます。渡すのは、写真1枚につきメモ3行です。

・誰に向けたものか 
・なぜそうしているか 
・値段や期間、予約の方法

投稿の文章を3つの段で書く順番は、#19で書きました。その順番どおりに並べてもらえば、白紙からではなく、直すところから始められます。


③ 点検:初めてのお客さまの役で読んでもらう
書いた文章を貼って、こう頼みます。

「このお店を知らない人として読んで、分からない言葉と、足りない情報を挙げてください」

メニューの略称や、お店の中だけの呼び方。自分では気づきにくいところを、外の目の代わりに拾ってもらえます。

ただし、AIが挙げるのは「候補」です。実際のお客さまの声ではありません。当てはまるものだけを拾えば十分です。

3つに共通しているのは、材料を出しているのがあなただということです。AIがしているのは、問い返すことと、並べ替えること。ここまでなら、お店らしさは消えません。

【任せずに、自分で決める3つのこと】

① 事実:数字と条件
値段、営業時間、提供する期間、所要時間、予約の方法。ここは、AIに決めさせません。

AIは、メモに書いていないことを、もっともらしく書き足すことがあります。たとえば、渡していないのに「数量限定」「ご予約不要」のひと言が入る。そのまま載せると、来店したお客さまとのあいだで食い違いが起きます。

数字と条件は、必ず元のメモと見比べてください。

② お店の言葉:理由と言い方
下書きに「厳選」「極上」「至福」のような、ふだん口にしない言葉が入っていたら、接客で実際に言っている言い方に戻します。

確かめ方は、声に出して読むことです。お客さまの前で言わない言い回しは、インスタでも使わない。これだけで、文章があなたのお店のものに近づきます。

③ 出すかどうか
投稿は、お店の名前で出ます。「AIが書いたので」は、お客さまには関係がありません。

出すか、直すか、今日はやめておくか。最後に決めるのは、あなたです。迷った下書きは、出さなくてかまいません。

写真についても、ひと言。料理や仕上がりの写真をAIで作ったり、大きく作り変えたりすることは、私はおすすめしていません。写真を見て来てくれた人が、実物を見て「違う」と感じてしまうからです。

【出す前に見るのは、3か所】

下書きを全部書き直す必要はありません。見るのは3か所です。

・数字と条件が、メモと同じか 
・メモにないことが、足されていないか 
・声に出して、お店で言わない言い回しがないか

目的は、AIらしさを消すことではありません。来てくれたお客さまと、食い違わないようにすることです。

お店の情報を運べるのは、お店の人だけ。これは、人に運用を頼むときも、AIに手伝ってもらうときも変わらないと、私は考えています。


【AIに渡す「お店メモ」を、先に作っておく】

AIを使うたびに、お店のことを一から説明するのは手間です。先に「お店メモ」を作って、スマホのメモ帳に入れておきます。使うときは、最初にそれを貼るだけです。

書くのは5つです。

・業種と場所 
・来てほしい人 
・初めてのお客さまによく聞かれること 
・ふだんの口調と、よく使う言い回し 
・使わない言葉

カフェなら、こうなります。

・駅から歩いて5分、席が10ほどのカフェ 
・ひとりで静かに過ごしたい人 
・「ひとりでも入れますか」「長居しても大丈夫ですか」 
・です・ます調。「ゆっくりしていってください」 
・「絶品」「映え」は使わない

ネイルサロンなら、来てほしい人は「爪が短くて、ネイルをあきらめていた人」。パーソナルジムなら、よく聞かれることは「運動の経験がなくても通えますか」。業種が変わっても、項目は同じです。

このメモと、写真のメモ3行を渡すと、下書きはこう変わります。ネイルサロンの例です。

お店メモなしで頼んだ場合

「トレンド感のある上品なデザインが新登場。指先から気分を上げませんか。」

お店メモと、メモ3行を渡した場合

「爪が短くて、ネイルをあきらめていた方へ。

短い爪でも指先がすっと見えるよう、縦に細いラインを1本入れています。

所要時間は約70分。ご予約はプロフィールのリンクからどうぞ。」

後者に入っている「誰に」「なぜ」「来るときの情報」は、どれもあなたが渡したものです。AIがしたのは、並べることだけです。

5つ目の「使わない言葉」は、見落とされがちですが、よく効きます。お店の雰囲気は、使う言葉より、使わない言葉で決まるところがあるからです。

メモは一度作れば、くり返し使えます。メニューや営業時間が変わったときだけ、直してください。何を投稿するかの型と組み合わせると、ネタも文章も、毎回ゼロから考えずに済みます。



【AIに入力しないものを、先に決めておく】

便利な道具ほど、使い始める前に「入れないもの」を決めておくと安心です。

入力しないもの 
・お客さまの名前、連絡先、予約の内容 
・お客さまから届いたDMや口コミの、名前が入った文面 
・お客さまの顔が写った写真 
・スタッフの個人的な情報 
・まだ外に出していない売上などの数字

口コミへの返信の下書きを頼みたいときは、名前や日付を消してから貼ります。「誰のことか分からない形」にしてから渡す、と覚えておけば迷いません。

もう1つは、設定です。ChatGPTなどのサービスには、入力した内容をAIの改善に使うかどうかを、自分で選べる設定があります。使い始める前に、設定の画面を一度見ておいてください。

ただ、設定がどうであっても、お客さまの情報は入れない。そう決めておくほうが、毎回考えずに済みます。

スタッフにも使ってもらう場合は、お店メモのいちばん上に、1行だけ書いておきます。

「お客さまの名前と連絡先は、入力しない」

ルールは短いほど、守られます。

AIを使うことを、お客さまに隠す必要も、わざわざ知らせる必要もないと私は考えています。大事なのは、載っている内容が本当で、お店の言葉になっていること。そこを守れていれば、下書きを誰が作ったかは、小さな話です。

【まとめ:次の1本でやること】

AIに書かせて「違う」と感じるのは、AIがあなたのお店を知らないからでした。

・任せる:聞き役・下書き・点検 
・自分で決める:事実・お店の言葉・出すかどうか 
・渡すもの:お店メモ5項目と、写真のメモ3行 
・入力しないもの:お客さまが分かる情報

次の1本でやることは、3つです。

・お店メモの5項目を、スマホのメモ帳に書く 
・写真のメモ3行と一緒に渡して、下書きを1本作る 
・3か所を見直してから、投稿する

【AIに渡す前の「お店のこと」、初めての人の目線で一緒に見ます】

お店メモを書こうとすると、「来てほしい人は誰か」「何を先に伝えるか」で手が止まることがあります。お店の中にいると、当たり前すぎて言葉にしにくいところです。

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