《傷つきに人生の舵を握らせない》心の癖に気づき、自分の味方になるということ

《傷つきに人生の舵を握らせない》心の癖に気づき、自分の味方になるということ

記事
コラム
こんばんワン🐶
《WanChance心理相談室》公認心理師のわんタロパパです!

今回は、私たちが日々の中で知らず知らずのうちに自分をすり減らしてしまう「心の癖」と、そこからそっと抜け出して、自分を本当に大切にするための生き方についてお話ししていきますね。


自分が自分の味方になるという事

傷つきを抱えながら一生懸命に生きていると、私たちはつい「何があっても動じない、感情を綺麗に受け流せる完璧な人間」にならなきゃいけないような気がしてしまいます。

「もっと私が強くなれば、傷つかずに済むのに」
「どんな相手の言葉も、笑顔で受け流せるようになりたい」
そんな風に、自分を「完璧」に変えようと、無理に頑張ってはおられませんか?

そのような状態を目指す場合、俗世から離れ出家するなり山にこもるなりするしか方法はありません。

なぜなら、この現代社会で生きていく上で、他人と関わり交流していく事は避けられないからです。この世界には、いろいろな人がいます。自分にとって不愉快だったり、相性が合わない相手、そんな方とも関わりが避けられなくなる場面がたくさん出てきます。

大切なのは無敵の超人になることではなく、傷つきを抱えたままの自分を、丸ごと愛してあげるということ。
そして、「私は自分のことが大切だから自分を1番大切にする。同じような傷つきはもう自分にさせないぞ」と決めて、自分を苦しめるような場面を上手に避けたり、受け流したりできるようになることなのです。

①無意識にやってしまう、強力な「心の癖」

そうは言っても、私たちは生きているとなぜか同じようなしんどい人間関係に飛び込んでしまったり、自分を大切にしてくれない相手に執着してしまったりすることがあります。
もしくは、もう関わりたくないと言う気持ちがあるのに、そういったことに巻き込まれ振り回されてしまうこともあります。

今の人間関係の中で、過去の傷つきが刺激されることで、あの頃と似た苦しさがよみがえってくる。

過去に自分を否定してきた肉親、自分を傷つけてきた誰か。その時の悲しみや怒り、満たされなかった思いが心の奥底に強く残っていると、今の人間関係(家族、職場の上司、友人、パートナー、あるいはカウンセラー)を鏡のようにして、「あぁ、またあの時と同じように傷つけられるんじゃないか」と強く警戒し、反応してしまいます。

それと同時に、「本当は分かってほしかった気持ち」や「認めてほしかった願い」が心の奥からブワッと溢れ出てきて、無意識のうちに目の前の相手との関係の中で、過去と似た苦しさを感じ、苦しさから抜け出せない状態になってしまうことがあります。

本人としては、もう戦いたくない。疲れた。嫌だなぁという気持ちでいっぱいで、「分からせてやりたい」なんて気持ちは、もう残っていないかもしれません。それなのに、なぜかその相手や出来事に強く反応してしまう。

それは、今まで傷ついてきた経験から生まれた、とても自然な反応なのです。


②「相手を理解させよう」と闘い、振り回されていた私の過去

何を隠そう、私自身も長い間、この「過去の再現」という心の癖に囚われ、こだわり続けて生きてきた一人です。
「自分を傷つけてきた人間に、どうしても自分の痛みを理解させたい」
「あのめちゃくちゃだった家族の環境ごと、私の力でなんとか作り替えたい」そうやって、自分を傷つける家族に対して、なんとかして分かってもらおう、あの環境を自分の手で正しいものに作り替えようと、必死に格闘していました。

今度こそ、この手で勝利して、過去の傷をひっくり返し理想を手に入れたかったのです。
でも、そうやって相手にしがみつき、闘い続けることは、本当に難しく、そのほとんどが徒労に終わってしまうことばかりでした。
それだけではなく、自分の大切な年月や、生きるための貴重なエネルギーまで、根こそぎ消耗していってしまったのです。
その痛い経験があるからこそ、今ならはっきりと分かります。
他人の心や、過去の環境を、自分の力でコントロールしたり変えたりすることはできません。
変えることができるのは、他ならぬ「自分のこと」だけなのです。

経済的な自立を阻止してくる親でしたので、私の場合は、その家族から物理的に距離を取るという選択が必要でした。

ただ、ここで誤解してほしくないことがあります。私のように、環境を変えることが必要な場合もあります。でもこれはまだ独身で単身だからできたことです。

『子供や家族がいるから離れられない』
『経済的にも物理的にも、すぐには動けない』
皆、逃げ場がない中で、毎日必死に踏ん張りながら生きておられます。


実際、離れる事で全てが解決するわけではないのです。
環境が変わったあとも、過去と似た苦しさや人間関係のパターンに悩まされました。

だからこそ大切なのは、「私はまた同じ苦しさの中に引き込まれそうになっているな」と気づけること。
その気づきが、自分を守るための大切な第一歩になるのです。

私も、自分1人の力でできたわけではありません。私の師匠であるカウンセラーや妻に支えられ、わんタロと出会い、ようやくそこまで辿り着くことができました。

自分を守る選択をしたことで、少しずつ生きやすさを取り戻していったのです。


③「また再現しそうになっているな」と気づけることが大前進

環境を変えたあとも、私は過去と似た苦しさに何度も引き戻されました。
だからこそ分かったことがあります。

それは、「また同じ流れに飲み込まれそうになっているな」と気づけること自体が、大きな前進だということです。

もし今、「またあの時と同じしんどい流れになっているな……」
と感じることがあるなら、それは過去の傷つきが刺激されているサインかもしれません。

そこで自分を責める必要はありません。

気づくことができれば、
「今回はこの戦いには乗らないでおこう」
「少し距離を取ろう」
「今は答えを出さなくていい」
そんなふうに、自分を守るための選択ができるようになります。

「その問題から少し距離を取る自由」
「その問題を背負い込まない自由」
「戦いに参加しない自由」
これまで見えていなかった選択肢が、少しずつ増えていくのです。


④「離れても苦しいのは当たり前」

距離を置いたところで、過去と似た苦しさが消えるわけではありません。
簡単に受け流すこともできません、流したようでずっと気になります。
また喪失感もあります。あれだけ嫌だったのに、寂しいと感じてしまうこともあります。

しかし、距離を取れるようになります。

私の場合はそんなモヤモヤした時は、日帰り旅行などに行ったりしておいしいものを食べ、カラオケに行ったり発散することが多いです。エネルギーが湧かない時は、ただひたすらパズルゲームに没頭したり、音楽を聴いてぼーっと過ごすこともあります。

あえて非日常に自分を置くこと、刺激を作業的なものに落とすことで、現実と切り替え、心をいったん《今ここ》へ戻します。
「あの問題は確かに存在する。でも、今この瞬間、私の目の前では起きていない」
そんな感覚を取り戻すためです。

その環境から自分を遠ざけ、自分のことを守ることができている。わかりやすく、自分にその環境を与えてあげる。

その時期を何とか乗り切る!そんな精一杯で不器用な自分を優しく愛してあげる。
ただ、「あぁ、私はこんなにも大きな傷つきを抱えながら、一生懸命に生きてきたんだな」と、その時の気持ちをしっかりと受け止めてあげる。

出かけた先でもそのことを思い出してしまってしんどいなぁ、なんだかなぁ、と言う気持ちも当たり前だけど湧いてきます。


⑤少しずつ、世界の見え方が変わっていく

自分を守ることを意識しながら過ごしていると、不思議なことが起こります。

すぐに人生が変わるわけではありません。
嫌な相手が突然いなくなるわけでもありません。

それでも少しずつ、「この人とは距離を取ろう」「この話題には入らないでおこう」「新しいことを始めてみよう」「気にはなっていたけれど、何故かチャレンジできなかったことやってみたいな」と、自分を守る選択ができるようになっていきます。
すると、今までなら巻き込まれていた人間関係や争い事に、以前ほど強く反応しなくなっていきます。

そして気がつけば、嫌なコミュニケーションで関わってくる人たちとは少しずつ距離ができ、代わりに、自分が無理をしなくても自然体でいられる人たちとのご縁が増えていくのです。
自分にはできないと暗示をかけていたものもどんどん外れていきます。

もちろん、これには時間がかかります。

長年かけて身につけてきた心の癖ですから、数日や数週間で変わるものではありません。
また元のパターンに戻ってしまったように感じる日もあるでしょう。
気づけば同じことで傷つき、落ち込んでしまう日もあるかもしれません。

そんな時は、そのお気持ちを私に聞かせてください。
悲しんでもいい。
怒ってもいい。
どれだけ傷ついてきたのか、どれだけ苦しかったのか、たくさん私に話してくださいね。


傷つきを認めながらも、その傷つきに人生の舵を握らせない。

過去はなかったことにはできません。
傷つきそのものを消し去ることもできませんし、「もう気にしない」と無理やり打ち消すことも難しいものです。

だからこそ、まずは「ここに傷つきがあるんだな」と、その気持ちに気づいてあげることが大切です。
傷つきを無理に消そうとしたり、今すぐ乗り越えようとしたりしなくていいのです。
抱きしめ続けなければいけないものでもありません。

ただ、「そこにあることは知っているよ」と認めながら、そっと横に置いておく。
そんな感覚でいいのです。

なかったことにしようとすると、傷つきは形を変えて、理由のわからない不安や止まらない怒りとして、何度も訴えかけてきます。
それはあなたが弱いからではなく、あなたの心が「まだここに傷つきが残っているよ」と一生懸命に教えてくれているだけ。
だから無理に戦わなくていい。
無理に忘れなくていい。

「私はどうしたいだろう」
「私は私を守れているだろうか」
と、何度でも自分の心へ戻ってくる。

過去は変えられません。
傷つきが完全になくなる日も来ないかもしれません。

それでも、自分を守る選択は今日から始めることができます。

「もうこれ以上、自分にそんな痛い思いはさせないよ」
傷つきを認めながらも、その傷つきに人生の舵を握らせない。
心の癖に気づき、何度でも自分の味方になっていく。
それが、これからのあなたを守る大切な力になるのです。



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