朝いちばんに管理表を開く。ダブルクリックしてから表が出るまでの間に、席を立ってコーヒーを淹れに行ける。戻ってきてもまだ画面の上のほうに「応答なし」と出ていることがある。それでも今日の入力はしなければならないので、そのまま待つ。
遅さより困るのは保存のときだ。上書きを押したあとに固まると、この一回で壊れるのではないかと身構える。実際、開かなくなったという話は珍しくない。そうなると誰も列を増やさないし、思いきった整理もしなくなる。触らないことが安全策になってしまう。
重いExcelには、掃除で軽くなるものと、掃除しても数か月で戻ってくるものがある。前者なら小一時間で終わる話で、後者は置き場所そのものを変える話になる。どちらなのかは見分けがつくので、順に見ていきます。
直す前に、触らない控えを1本
先に一つだけお願いがあります。掃除にとりかかる前に、いま使っているファイルのコピーを取って、そちらには一切触らないでください。日付を入れた名前にして、普段開かないフォルダに置いておく。掃除の作業は元のファイルのほうで進めます。
重いファイルは、すでに壊れかけていることがある。行をまとめて削除する、書式を消す、シートを消す。どれもExcelにとっては中身を作り直すのに近い作業で、その途中で落ちることがある。落ちて開かなくなったときに手元に一本あるかどうかで、その日の意味が変わる。軽くできたのを確かめてから、控えのほうを消せばいい。
「重い」は症状であって、原因ではない
重さの出どころは、だいたい五つに分けられる。行が多いこと、条件付き書式が広い範囲にかかっていること、他のファイルを参照していること、画像や図形が貼られていること、そして使っていない範囲に書式だけが残っていること。この五つは効く手がそれぞれ違うので、まとめて「重い」と呼んでいる限り手が出せない。
見分けるには、どの操作が遅いのかを見る。開くのと保存が長いなら、ファイルそのものが大きい。セルを一つ直すたびに固まるなら、行数ではなく再計算と再描画の問題で、条件付き書式や重い数式を疑うことになる。開いた瞬間に「リンクを更新しますか」と聞かれるなら、他のファイルを見に行っている。スクロールだけが引っかかるなら、図形か書式が広く残っている。
使っていない範囲は、目で見ても分からない
五つのうち、いちばん気づかれないのが最後の一つだ。確かめ方は簡単で、そのシートで Ctrl と End を同時に押す。Excelが「ここまで使われている」と思っている右下の隅に飛ぶ。データが五百行しかないのに一万行目に飛んだり、G列までしかないのに遠くの列まで飛んだりしたら、その差が丸ごと無駄な重さになっている。
原因は、昔まとめて色を塗った、罫線を引いた、行ごとコピーして貼った、中身だけ Delete で消した、といった操作の名残だ。中身は消えても書式は残る。直すには、データの下の行を最終行まで選んでから行ごと削除し、右側の列も同じようにする。そのうえで保存して開き直すまで、最終セルの位置は縮まない。掃除したのに変わらないと思ったら、保存し直しを忘れていることが多い。
壊れると困るので、この表はもう誰も触りたがらないんです。
自分で直せるのはどこまでか
ここまでの三つ、つまり使っていない範囲の削除、貼りっぱなしの画像の整理、使わないシートの削除は、外に頼まなくてもできる。画像は一枚ずつ縮めなくても、図の圧縮でまとめて小さくできる。シートは「旧」「作業用」「コピー」と名前がついたものから見ていくと早い。
もう一つ効くのが、数式を値に変えることだ。締めた月のシートが他のシートや他のファイルを参照したままだと、開くたびにその経路をすべてたどることになる。それだけでなく、参照先が直された日に、確定したはずの過去の合計が黙って動く。締めた月は、数式を値に貼り替えて固定してしまう。軽くなるのと、過去が動かなくなるのが同時に手に入ります。
順番としては、控えを取る、最終セルを詰める、シートと画像を減らす、締めた月を値にする、保存し直して比べる、になる。前後でファイルサイズと開くまでの時間を控えておくと、どれが効いたのかが分かる。次に重くなったときに、同じ道を最初からたどらずに済みます。
掃除しても戻ってくるなら、器のほう
掃除で軽くなったのに、数か月でまた同じところに戻る。この場合は掃除の腕の問題ではない。中身をよく見ると、その一つのファイルに性質の違う二種類が同居しています。毎月足されて増え続けるもの(受注、日報、入出庫、入金の記録)と、増えないもの(得意先、商品、単価、担当者の一覧)です。
増えないほうは、数十行から数百行あたりで止まる。増えるほうは、業務が続く限り止まらない。この二つを同じファイルに入れておくと、増える側の重さが、増えないものにも全部かかる。得意先の電話番号を一件直したいだけなのに、何万行かの記録を毎回読み込んでから開くことになる。分けてしまえば、増えないほうはExcelのままでも当分困らない。器を変えるのは増え続けるほうだけで足りる場合が多いです。
移すかどうかは、増え方で決める
作り替えるかどうかを「今どれくらい重いか」で決めると、判断が続かない。掃除して軽くなった時点で話が終わり、半年後に同じ場所へ戻ってくるからだ。見るのは重さではなく増え方になる。一年前のファイルと今のファイルの行数を比べて、差を十二で割る。ひと月に何行増えているかが出ます。
増え方がほとんどゼロなら、掃除で当分もつ。毎月まとまった数が積み上がり、しかも過去の分を消せない事情があるなら、重くなるのは決まっているようなものだ。あとは、その表を何人が同時に見るかを足して考える。一人なら手元で回る。複数人が同時に見て直すなら、掃除は延命の手段にしかなりません。移すと決めた場合も、先に掃除して行と列を減らしておいたほうが、移す作業そのものが短くなります。
当方は元金融系のシステムエンジニアで、Excel・紙で回している業務を月額0円の買い切りWebアプリにする仕事をしている。掃除で足りるのか、増え続けるほうだけを別の器に移すべきなのか、決めかねている段階でも構いません。いま何に時間がかかっているか、使う人数、ご希望の時期が分かればお見積りできます。ココナラのメッセージからご相談ください。