「案件管理表.xlsx」「案件管理表_最新.xlsx」「案件管理表_最新_0901修正済.xlsx」。フォルダを開くと、名前のよく似たファイルが縦に並んでいる。どれが生きている一本なのか、開いてみないと分からない。
だから作業を始める前に一手間が入る。更新日時を見比べる。中を開いて件数を数える。それでも決まらなければ隣の席に「これ最新ですか」と聞く。聞かれた側も確信がないので「たぶんそれです」と返ってくる。この確認は毎回発生するのに、どこにも記録されない。
そのうち誰も本気で数えなくなり、各自が自分の手元の一本を信じて作業を始める。締めの日に数字が合わず、そこで初めて枝分かれしていたと分かる。当方自身、この状態を業務の現場で何度も見てきました。
増えるのは意志ではなく構造
先に断っておくと、ファイルが増えるのは誰かがだらしないからではない。増やした人はその瞬間、全員まともな判断をしている。開けないからコピーした。消えたら困るから別名で残した。自分の作業に合わないから列を足した。どれも責められない。
だから「ちゃんと一つにしましょう」という声かけでは止まらない。止めたいなら、コピーが生まれる瞬間を3つに分けて見るのが早い。同時に直せないこと。触った記録が残らないこと。様式を変えたい人がいること。この3つは原因が別なので、打つ手も別になります。
原因1 同時に直せない
共有フォルダのExcelは、誰かが開いている間、二人目は読み取り専用になる。中は見えるが直せない。直したければ手元に落とすしかない。ここで待てる人はまずいない。急いでいる人は自分のデスクトップに落として作業する。コピーはこの瞬間に生まれる。
厄介なのは、落とした本人に悪気がないどころか、あとで戻すつもりでいることだ。戻しそびれた一本がフォルダに残る。次の日に別の人が同じことをする。数か月で人数分に届く。
原因2 誰がいつ直したか残らない
社内のファイルサーバーに置いたExcelが持っている手がかりは、ファイル名と更新日時くらいのものだ。OneDriveやSharePointならバージョン履歴が残るが、共有フォルダの一本にはどの行が、いつ、誰の判断で変わったのかが残らない。だから上書き保存が怖くなる。怖い人は保険をかける。日付入りの別名で保存する。これも正しい判断です。
元に戻す手段が「保存する前の状態を自分で持っておくこと」しかないうちは、この保険はなくなりません。ファイル名の末尾が長くなっていくのは、担当者が慎重な証拠でもある。
原因3 様式を変えたい人がいる
3つ目がいちばん根が深い。同じ管理表を見ていても、欲しい列が人によって違うからだ。営業は次に何をするかを知りたい。経理は金額と入金日を見たい。現場は今日の分だけ見られれば足りる。
全部を1枚に詰め込むと横に長くなり、誰にとっても使いにくい表ができあがる。そうなると各自が自分用に列を隠した版を作る。ここで生まれたコピーは、放っておいても統合されない。使う目的がそもそも違うからだ。
共有はしている。ただ、みんな自分の見やすい形に直してから使っている。
移す前にやる棚卸し
ここから先はすぐ道具の話になりがちだが、その前に手元でやっておくことがある。列を減らさないまま移すと、移した先で同じことが起きる。相談の前にやっておいていただけると見積りが早く正確になるのは、次の手順です。
2と3で、思っていたより列が死んでいることに気づくはずだ。誰も入れていない列は、たいてい昔の担当者が使っていた名残になっている。4で「人によって違う列」が出てきたら、それは1つの表に押し込めないという合図。表を分けるか、見せ方を分けるかの判断が要る。ここまで整理できていれば、移す先が何であっても失敗しにくい。
どこから作り替えるか
3つの原因は、消え方が違う。1と2は道具を替えれば同時に消える。データを1か所に置けば二人目も直せるようになり、更新した人と日時が自動で残るからだ。3だけは道具では消えない。誰にどの列を見せるかという設計の話なので、後回しでいい。
注意したいのは、いきなり全部を載せ替えようとすると要件が膨らんで止まることだ。いちばん確認の手間が多い1業務ぶん、画面にして5枚くらいまでから始めるのが安全です。そこが動いてから隣の業務を足していけばいい。
逆に、コピーが2〜3本で、触る人が1人か2人しかいないなら、無理に作り替えなくてもいい。上の棚卸しをして最新の一本を決めるところまでで、当分は収まる可能性があります。作り替えるかどうかは、ファイルの数ではなく「確認に何分使っているか」で決めてください。
当方は元金融系のシステムエンジニアで、Excel・紙で回している業務を月額0円の買い切りWebアプリにする仕事をしている。作り替えるべきか、棚卸しで足りるかを決めかねている段階でも構いません。ココナラのメッセージからご相談ください。