毎月の集計に半日かかっている。何をどう直せばいいかは、もう自分の中で決まっている。あとは形にするだけ——というところまで来ているのに、そこから動けていない。ここで止まったままの人は多いはずだ。
迷っているのは中身ではなく、器のほうだ。今のExcelにマクロを組むのか、スプレッドシートに引っ越すのか、ブラウザで開くアプリにするのか。調べるほど、どれも良さそうに見えてくる。マクロは速いが、作った人しか触れなくなるのが怖い。スプレッドシートは手軽だが、件数が増えたときが不安だ。Webアプリは何でもできそうだが、高くつきそうだ。
この迷いは、比べる軸を増やすほど固まる。速さ、費用、拡張性、将来性。全部を並べたら答えは出ない。実際のところは四つ聞けば、器はだいたい決まる。今回はその四問を書く。
四つの質問で、器はだいたい決まる
順番が大事だ。上から順に答えて、いったん消えた選択肢は戻さない。ただし四問目だけは順番の外にある。答えに当てはめるのは最後でいいが、確認そのものは着手前に済ませておく。ここを後回しにすると、作り終えてから全部やり直しになる。
この四問まで降りれば、たいていは答えが出る。詰まるのは、器を先に決めてから業務のほうを当てはめようとしたときだ。器の名前から入ると、二問目と三問目が最後まで出てこない。そして出てきたときには、もう作り始めている。
今のファイルを残したいか
一番効くのがこれ。既存のExcelに何年ぶんものデータが入っていて、シートの見た目にも全員が慣れている。この場合はまずマクロを検討する。使う人の学習コストがゼロだからだ。今の画面のまま、ボタンが一つ増えるだけで済む。
たとえば毎月の請求一覧を作る作業。元のシートはそのままで、ボタンを押すと取引先ごとに集計した別シートが出る。それで用が足りるなら、わざわざ引っ越す必要はありません。
逆に、同じファイルが人数分に増えている、誰がいつ直したのか分からない、集計のたびに手で貼り合わせている。この状態なら、そのファイルはもう資産ではない。器を変える理由が、すでに手元に出ている。
「最新版がどれか分からない」が出た時点で、今のファイルを残す理由はほとんど消えている。
同時に使う人数で線が引ける
一人が自分の手元で回す作業なら、マクロで足りることが多い。二人以上が同時に触るなら、Excelは向かない。共有フォルダに置いたファイルは、後から開いた人が読み取り専用になるか、「_最新」「_修正版」が増えていくかのどちらかになる。
同時に見るだけならスプレッドシートで足りる。分かれ目は、同時に書き込むうえに、入力を間違えられると困るもの——金額、在庫数、予約枠——を扱うかどうかだ。
表計算にもシート保護や入力規則はある。ただ、かけるのも外すのも同じ画面の同じ権限でできてしまう。急いでいる日に外して、そのまま戻らない。数式の入ったセルに数字を直接打ち込まれて、翌月まで誰も気づかない。あれはうっかりというより、運用のほうの問題だ。入力できる場所を構造として固定したいなら、Webアプリのほうが向く。
社外から使うかどうか
現場から報告を上げる。外出先で在庫を確認する。取引先に直接入力してもらう。このどれかがあるなら、器はほぼWebアプリで決まる。
マクロは、会社のパソコンに入っているExcelの上でしか動かない。スプレッドシートは社外からでも開けるが、共有リンクの設定を一度間違えると、意図しない範囲まで見えてしまう。誰が入れるかを自分で決めたいなら、最初からログインを付けた形にしたほうが早い。役割は管理者と一般の二段までが標準で、部署や役職ごとの細かい見せ分けは別途になります。あとから足すのは、たいてい作り直しに近い。
会社の制限は着手前に確認する
これを後回しにして作り直しになるのが、いちばんもったいない。着手する前に、情報システムの担当か社内の詳しい人に、三つだけ聞いておきましょう。
一つ、マクロ付きのファイルを開けるか。開けても、警告で止まる設定になっていないか。二つ、社外のサービスにアクセスできるか。三つ、会社のデータを社外のサーバーに置いてよいか。
マクロが禁止ならスプレッドシートかWebアプリ。社外サービスが禁止なら、社内で動く形しか残らない。ここは技術の話ではなく社内ルールの話なので、こちらでは決められない。業種によっては、個人情報の扱いや委託先の管理に関する決まりが絡む可能性もあります。判断がつかなければ、社内の担当部署に確認してください。
どれにも収まらないなら、一作業だけ切り出す
四問答えても決まらないことがある。原因はだいたい同じで、作ろうとしているものが大きすぎる。「顧客も案件も請求も、ついでに日報も」となっていると、どの器で作っても重い。重いから決められない。
たとえばその中で、一番時間を食っているのが月末の請求書作りだけなら、そこだけを切る。顧客の一覧は今のExcelに残したままでいい。両方をつなぐのは、請求書を作るときに取引先の名前を選べれば足りる、という程度で済むことが多い。
一つに絞ると、いいことが二つある。まず、選ぶ器が変わる。全体では手に負えなくても、一作業だけならマクロで数時間、ということが普通に起きる。もう一つは、外したときの傷が浅いことだ。全部作り終えてから「思っていたのと違う」となるのが、この手の失敗のいちばん多い形なので。
残りの作業は、動き出してから足せばいい。順番を逆にすると、動き出す前に力尽きる。
当方は元金融系のシステムエンジニアで、今はExcel・紙の業務を小さなツールや買い切りのWebアプリにしている。器から先に決めると外すので、一作業だけを切り出す出品では、マクロでもスプレッドシートでもWebアプリでも料金を同じにしてある(ログインや複数人での利用が要るものは、もう一つの出品で承っています)。どれが向くか決めきれない段階で構いませんので、まずはココナラのメッセージからご相談ください。