ついこの間まで、スーパーでキャベツが1玉1,000円で売られていることが話題になっていましたね。
最近では価格も落ち着いてきましたが、依然として生活必需品の価格が高止まりしている状況は変わりません。
むしろ、どんどん厳しさを増しているようにも感じます。
今回は、私の専門分野である林業についてお話しします。
その中でも、皆さんがあまり知らないであろう木材の価格についてご紹介いたします。
キャベツなどの野菜は、基本的に1年に1回収穫できますよね?
そして、生育不良などを除けば、ほとんどの商品が市場に出回ります。
それに対して、木材は植えてから約40年経たなければ収穫できません。
また、「間伐」という手法で全体本数の30%程度を間引きながら育てるため、すべての木を一度に収穫することもできません。
そもそも、木材の価格はどのように決まるのでしょうか?
木材の価格は、市場での入札によって決まることがほとんどです。
そして、入札の単価基準は「本」ではなく、「㎥(立方メートル)」で設定されます。
この「㎥」も、業界ならではの特殊な方法で算出されます。
それが末口二乗法です。計算式は以下の通りです。
「末口〇〇cm」×「末口〇〇cm」×「長さ〇m」÷ 10,000
ここでいう末口とは、立っている木の先端に近いほうの太さを指します。
木は、地面に近い根元ほど太く、上に行くほど細くなるため、末口は一番細い部分です。
現在では木材の用途は多様化していますが、かつては「柱材」として使われることが多くありました。
「柱」は直方体であるため、最も細い部分に合わせて製材する必要があり、この末口に基づいた計算方法が採用されたのです。
では、先ほどの計算式に実際の寸法を入れてみましょう。
「末口14cm」×「末口14cm」×「長さ3m」÷ 10,000
= 0.0588 ≠ 0.059㎥
1本の丸太から得られる量は0.059㎥*となります。
ここに、令和5年度 林野庁発表のヒノキの平均単価22,000円を掛けると、
0.059㎥ × 22,000 = 1,298円
となります。
つまり、40年以上育てた木を伐採し、丸太にして搬出しても、1本あたりたったの1,298円にしかなりません。
・1年で1玉1,000円のキャベツ
・40年で1本1,298円のヒノキ
年換算すると、ヒノキはたった32円にしかなりません。
これを「適正価格」と呼べるのでしょうか?
もちろん、国土保全のためにも林業は欠かせません。
皆さんの生活環境が守られているのも、林業の支えがあってこそです。
国や県による補助金制度はあるものの、それでも林業従事者は年々減少し、賃金も低いままです。
私は、適正な価格で木材が取引され、日本の国土がしっかりと守られる仕組みを作ることが必要だと常々考えています。
そして、この構造を変えていくために、これからも動き続けます。