♣︎35 保育者は保育のプロ でも行事は別の専門性
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保育者は保育の専門家でも行事は別の専門性
「行事になると自信がなくなるんです」
ある保育者がそう話した
普段の保育では困っていない
子どもの気持ちも分かる
発達も理解している
保護者との関係も築けている
それなのに行事になると急に不安になる
「今年は何をしよう」
「この内容でいいのかな」
「保護者はどう思うだろう」
「去年より良くしないといけないかな」
保育プランナーは静かにうなずいた
そしてこう伝えた
「それは先生の力が足りないからではありません」
少し間を置いて続ける
「そもそも保育と行事は求められる力が違うんです」
保育者は“日常の専門家”
プランナーはホワイトボードに書いた
保育者=日常の専門家
「先生たちは毎日こんなことをしています」
・子どもの発達を理解する
・気持ちの変化に気づく
・安全を守る
・遊びを通して育ちを支える
・保護者と信頼関係を築く
「これって実はすごく高度な専門技術なんです」
「毎日の積み重ねを支える」
それが保育者の本来の仕事です
一方で行事は“非日常の設計”
プランナーは続ける
「では行事はどうでしょう」
運動会
発表会
夏まつり
作品展
そこでは決められた時間があり
見てもらう相手がいて
流れを作り
演出を考え
全体をまとめる
「これは実はイベントの世界に近いんです」
保育者たちが少し驚いた顔をする
「イベント会社やイベンターはこの“非日常をつくること”を仕事にしています」
つまり
保育者は日常の専門家
行事は非日常の設計
似ているようで実は違う分野
だから苦しくなる
プランナーはゆっくり続けた
「でも保育現場では」
行事も
企画も
運営も
振り返りも
全部を保育者が担っています
だから正解が分からない
失敗したくない
比較される
評価される
そんなプレッシャーが積み重なる
「苦しくなるのは当然なんです」
イベントのプロは最初に何を考えるのか
ここでプランナーは質問した。
「イベントのプロが最初に考えることって何だと思いますか?」
保育者たちは考える
「面白い内容ですか?」
「プログラムですか?」
プランナーは首を横に振った
「実は違います」
イベントのプロは最初に”何をやるか”ではなく
最初に”何をやらないか”を整理する
・削るものは何か
・優先順位は何か
・成功の条件は何か
つまり判断基準を先に作る
「だから迷い続けなくて済むんです」
保育者が疲れる本当の理由は
プランナーは最後にこう話した
「先生たちが疲れるのは準備の量だけじゃありません」
本当に疲れるのは決め続けること
・何をするか
・何を削るか
・誰に頼むか
・どこまでやるか
その判断をずっと背負っている
だから疲れる
自責を外していい
最後にプランナーは少し笑いながらこう伝えた
「先生たちは子どもを楽しませてあげたいという思いのあまり
頑張りすぎちゃうんです
だからまず知ってほしい」
行事がしんどいのは甘えじゃありません
アイデア不足でもありません
向いていないわけでもありません
保育者はもともと別の専門性を持った人たち
だから必要なのはもっと頑張ることではありません
イベントのプロの考え方を少し借りること
それだけで行事はずっと軽くなります