熊本地震から10年。一瞬の恐怖を再認識したい…。

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熊本地震から10年。その時、遠く離れた福岡でも震度5強を観測しました。
熊本では最大震度7が2回。想定外が重なり大きな被害となりました。
福岡には警固断層があります。マイホーム購入の際には「家族を守ってくれる家か?住み続けられる家か?」という視点も忘れないでください。

九州地方で起こった巨大地震

2016年4月14日午後9時26分。そして、そのわずか2日後の4月16日午前1時25分。

熊本を襲った最大震度7の激震は、九州全域に波紋を広げ、ここ福岡においても震度5強を観測しました。長く、不気味な揺れに、何もできずにただ時が過ぎるのを待つしかなかったあの夜、私はちょうど入浴中でした。

熊本で生活していたたくさんの人々も、あの日あの時、いつもと変わらない日常を過ごしていたはずです。一瞬の出来事が、それまでの当たり前をひっくり返した瞬間となったのです。

「想定外」が重なった未曾有の揺れ

熊本地震の最大の特徴は、震度7という激震が、中1日を置いて2回連続で発生したことです。

実は、現在の建築基準法が定めている耐震性の想定は震度6強クラス。震度7は、その上階を示す限度がないので青天井と言われています。
つまり、6強を超えたらとにかく震度7。震度7はそもそも想定の枠組みを超えているのです。さらに、「本震級が2回くる」という事態も想定されていませんでした。

その結果、これまでの常識を覆す被害が出ました。旧耐震基準の建物はもちろん、2000年以降に建てられた「現行基準」の木造住宅でさえも、一部で大きな被害を受けたのです。

阪神淡路大震災との被害状況の違い

新耐震と現行基準の違いは、接合部の金物強化にあります。
1995年1月17日午前5時46分に発生した阪神淡路大震災の教訓から、柱のほぞ抜け(地震力で浮き上がった柱脚が、土台の穴に戻れず倒壊してしまう)をはじめ、構造材がバラバラにならないように、接合部分の金物仕様について厳格な基準が設けられました。

阪神淡路大震災では、古い建物において、2階が1階を圧し潰すという被害が多くみられましたが、熊本地震における現行基準の建物は、建物自体は大きく損傷しても、命を守る空間は維持されていた、という状況でした。
この様子から見ると、金物強化が命を救うために有効だったと言えるかもしれません。

益城町の現場で感じた、自宅という場所の重み

地震後、私たちは依頼を受けて、最も被害の大きかった熊本県益城町にある木造住宅の耐震診断に訪れたことがあります。
目に飛び込んできたのは、痛々しいほどに傾いた家々の姿。屋根には青いビニールシートがかけられ、町民の皆さんが、不自由な生活を余儀なくされている光景を目の当たりにし、自然の恐ろしさを再認識したのを覚えています。

余震の不安を抱えながら、なんとか自宅で過ごそうとする人々の気持ちは痛いほど分かります。
「避難所の方が安全ではないか」という声もあるでしょうが、やはり、住み慣れた「我が家」で過ごしたいという切実な願いは、誰にも否定できるものではありません。

ただ、避難所は嫌だと言って危険な家に留まり続けるのは、せっかく助かった命を、自ら危険にさらしているのと同じことになります。
地震後、その家に住み続けられるかどうかは応急危険度判定士の判断に委ねられます。ある程度の安全が確認されれば、在宅避難という選択肢が生まれますが、そうでなければ住み続けることは許されないのです。

次は『我が身』かもしれない。福岡に潜むリスク

「福岡は地震が少ない」 かつてはそんな風に言われてきました
しかし、2005年3月20日午前10時53分に発生した福岡県西方沖地震によって、その認識は過去のものとなりました。

私たちの足元には、全国的にも要注意とされる「警固断層」が横たわっています。
今後30年以内の地震発生確率が0.3〜6%と、国内の活断層帯の中で高いグループ(Sランク)に属し、マグニチュード7.2程度、最大震度7の地震が想定されているのです。

家を探すとき、私たちはどうしても最新のキッチンやおしゃれな内装、便利な立地に目を奪われがちです。
もちろん、それらは日々の暮らしを彩る大切な要素ですが、これからの10年、20年を安心して過ごすためには、「この家は地震から家族を守ってくれるか?その後の生活を支えてくれるか?」という視点も不可欠なのです。

熊本地震10年というこの節目に、今一度、一瞬が全てを奪う「地震」の恐ろしさを思い出してみてください。


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