会社を畳むことを考え始めた頃、僕が一番怖かったのは、個人破産することでした
会社には大きな借入がある。
経営者である僕は、その借入を保証している。
会社を畳んだら、自分はどうなるんだろう。
家はどうなる。
個人の財産はどうなる。
ネットで調べているうちに、「経営者保証に関するガイドライン」というものがあることを知りました。
でも、読んだからといって安心できるわけではありません。
僕が知りたかったのは、
「それで、僕は個人破産しないで済むのか?」
ということでした。
私的整理を経験した知人がいた
そんなとき、遠方に住んでいる知人に、私的整理を経験した人がいました。
Zoomで話を聞かせてもらいました。
1時間くらいだったと思います。
僕が聞きたかったのは、やはり経営者保証に関するガイドラインのこと。
そして、
個人破産しないで済む可能性があるのか。
経験した人の話を直接聞きたかったんです。
その知人から、弁護士の先生を紹介してもらいました。
「相談に行ってみよう」
そう思って、妻と一緒に弁護士事務所へ行きました。
結果的に、そのときは相談だけで、正式には依頼しませんでした。
でも今振り返ると、あのZoomでの1時間がなければ、妻と弁護士事務所へ行くという次の行動にもつながらなかったかもしれません。
弁護士にも「死にたい」と話した
その後、中小企業活性化協議会を通じて別の弁護士を紹介してもらい、その先生に会社の整理をお願いすることになります。
僕にとって、本当に重要な存在でした。
だからこそ、精神的に追い詰められていた僕は、その先生にも自分の状態を話しました。
「死にたい気持ちもある」
そんなことも言いました。
すると、
「特別清算には時間がかかります。待てないなら破産しますか?」
と言われました。
さらに、死にたいという話をすると、
「そんなことを言うなら、引き受けられなくなりますよ」
とも言われました。
そのとき僕が思ったのは、腹が立つとか、そんなことではありませんでした。
この先生に見放されたら、僕は路頭に迷う。
そう思いました。
だから、
「もう言いません。すみませんでした」
と謝りました。
僕には、それくらい弁護士の先生が必要だったんです。
心のことは、メンタルクリニックで話した
もちろん、これは弁護士を批判したいわけではありません。
弁護士には弁護士の仕事があります。
会社をどう整理するのか。
銀行との債務をどうするのか。
特別清算をどう進めるのか。
僕が一人ではどうすることもできない問題を扱ってもらっていました。
一方、心の問題は別です。
僕はメンタルクリニックにも通っていました。
そこでは隠す必要もないので、会社のことも、自分の状態も話しました。
薬も処方してもらいました。
ただ、診察時間は長くても10分くらい。
病院ですから、1時間ずっと僕の会社の話を聞いてもらう場所ではありません。
弁護士にも役割がある。
メンタルクリニックにも役割がある。
そして今になって思うのは、そのどちらとも違う相手も必要だったということです。
経験した人にしか聞けないことがある
僕自身がそうでした。
私的整理を経験した知人とZoomで1時間話しました。
その人に法律的な判断をしてもらおうと思ったわけではありません。
聞きたかったんです。
「実際、どうだった?」
経営者保証に関するガイドラインはどうだったのか。
個人破産しないで済むのか。
経験した人の話を聞いて、弁護士を紹介してもらい、僕は妻と相談に行きました。
今考えてみると、僕が現在やっている相談も、少し似ているのかもしれません。
僕は弁護士ではありません。
税理士でもありません。
だから、
「あなたは個人破産しなくて大丈夫です」
なんてことは絶対に言えません。
僕に言えるのは、
「僕の場合はこうでした」
ということだけです。
でも、あの頃の僕がそうだったように、専門家へ相談する前に、経験した人に聞いてみたいことってあるんですよね。
「怖くなかったですか?」
「会社を畳んだあと、どうなりました?」
「家族にはどう話しました?」
「その後、普通に働けました?」
そんな話は、法律相談とは少し違います。
僕自身、経験者との1時間のZoomから、次の一歩につながりました。
だから今度は僕が、会社のことで一人で頭を抱えている人の話を1時間聞く。
そんな役割があってもいいのかなと思っています。