会社を畳んだことを、人に言うのが恥ずかしかった

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コラム
会社を畳むことになったとき、誰にでも話したわけではありません。

むしろ、できれば言いたくなかった。

取引先でも、伝える必要がある人だけ。

必要最小限です。

理由は単純です。

恥ずかしかったんです。

会社を畳むことになりました。

その一言を、人に言うのが嫌でした。

「破産ではありません」と説明していた

僕の場合は、私的整理を進め、最終的に特別清算という方法で会社を整理しました。

人に説明するときには、

「私的整理です」

「特別清算です」

そして、

「破産とは違います」

ということも話していました。

もちろん、手続きとして違うものだから説明していたわけです。

でも今思えば、それだけだったのかな、とも思います。

「破産したと思われたくない」

そんな気持ちも、どこかにあったんでしょうね。

会社を畳むだけでも恥ずかしい。

経営に失敗したと思われるのも嫌だ。

破産したと思われるのも嫌だ。

いろんな気持ちが混ざっていました。

父親から引き継いだ会社を、自分の代で終わらせた

僕の会社は、父親が創業しました。

50年ほど続いた会社です。

僕はその二代目。

売上が年間2億円を超えた時期もありました。

テレビにも何度も出ました。

本も出しました。

外から見れば、うまくいっているように見えた時期もあったと思います。

その会社を、自分の代で畳む。

これはきつかったですね。

二代目なのに。

テレビにも出ていたのに。

本まで出していたのに。

経営者として、それなりにやってきたつもりだったのに。

「何が一番恥ずかしかったんですか?」

と聞かれても、一つには決められません。

全部です。

複雑な気持ちでした。

でも、みんなそんなに他人には興味がない

実際に会社を畳むことを伝えると、相手は驚きました。

でも、

「そうなんだ……」

という感じ。

みんな当たり障りのない反応でした。

責められたわけでもない。

笑われたわけでもない。

僕が想像していたほど、何かが起きたわけじゃないんです。

今になって思います。

みんな、そんなに他人には興味ないんですよ。

僕が会社を畳んだと聞けば、そのときは驚く。

「大変だったね」と思ってくれる人もいる。

でも、その人にはその人の仕事があって、家族がいて、生活がある。

ずっと僕のことを考えているわけじゃない。

当たり前ですよね。

でも会社を畳む前の僕には、それが分からなかった。

「どう思われるんだろう」

「経営に失敗したと思われるだろうな」

「恥ずかしいな」

頭の中では、周りの目がものすごく大きくなっていました。

実際には、自分が思っていたほど、周りは僕を見ていなかったんです。

一番気にしていたのは、自分だったのかもしれない

結局、一番、

「会社を畳んだ社長」

ということを気にしていたのは、自分だったのかもしれません。

社長には、社長のプライドがあります。

僕にもありました。

会社の経営が苦しい。

借金がある。

会社を畳むかもしれない。

そんなことを、簡単に人には言えません。

信用不安が起きても困る。

家族にも心配をかけたくない。

そして、やっぱり格好悪いところを見せたくない。

だから僕も、ほとんど誰にも相談できませんでした。

恥ずかしくても、恥ずかしいままでいい

今、会社を畳むか悩んでいる人の中にも、

「周りからどう思われるんだろう」

と考えている人がいると思います。

僕は気にしました。

ものすごく気にしました。

だから、

「そんなの気にしなきゃいいですよ」

なんて簡単には言いません。

気になるものは、気になりますから。

ただ、実際に会社を畳んで時間が経った今なら言えます。

自分が思っているほど、みんな自分のことを見ていません。

少し寂しいような気もしますけどね。

でも、会社を畳んだ人間にとっては、それくらいでちょうどいいのかもしれません。

もし、

「会社を畳むのが恥ずかしい」

「人に知られるのが怖い」

そんなことまで誰にも言えずにいるなら、僕には言ってください。

僕も同じでしたから。

会社をどうするかという話だけじゃなく、

「恥ずかしいんですよ」

から始まる相談があってもいい。

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