まだ会社を畳むと決めていないのに、相談していいのか?

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コラム

会社を畳むかどうか。

まだ決めていない段階で、僕は妻と一緒に弁護士事務所へ相談に行ったことがあります。

そのとき、聞きたかったことは3つでした。

個人破産をしなくて済むのか。

自宅を残せるのか。

財産はどれくらい残せるのか。

会社の将来をどうするかより、まず自分と家族がどうなるのか。

そこが怖かったんです。

銀行からの借入は2億円ほどありました。

もし会社を畳んだら、自分まで破産するのか。

家はどうなる。

財産は全部なくなるのか。

ネットで「経営者保証に関するガイドライン」についても調べていました。

でも、いくら調べても、

「じゃあ、僕の場合はどうなるの?」

が分からない。

それで、ある人から紹介してもらった弁護士事務所へ、妻と一緒に行きました。

弁護士は「自宅を残せます」とは言わなかった

ここは大事なので、正確に書いておきます。

弁護士の先生から、

「大丈夫ですよ。自宅は残せます」

「個人破産もしなくて済みます」

なんて言われたわけではありません。

そんな断定はされませんでした。

当時、会社には確か1500万円くらいのお金が残っていたと思います。

先生から言われたのは、

まだ会社にお金が残っているうちに、会社をどうするか考えたほうがいい

ということでした。

僕はその話を聞いて、

「じゃあ、今すぐ会社を畳もう」

とはなりませんでした。

相談だけして、その日は帰ったんです。

「まだ頑張れるじゃないですか」

その頃、妹の旦那が銀行の支店長をしていました。

銀行員ですから、決算書も読めます。

僕は会社の決算書を見てもらいました。

すると、

「お兄さん、まだ頑張れるじゃないですか」

と言われたんです。

この一言は大きかったですね。

「そうか。まだ頑張れるのか」

と思いました。

弁護士からは、お金があるうちに考えたほうがいいと言われた。

一方で、銀行の支店長をしている身近な人からは、

「まだ頑張れる」

と言われた。

どちらを信じたかったか。

たぶん僕は、

「まだ頑張れる」のほうを信じたかったんでしょうね。

会社を畳みたいわけじゃないんです。

できることなら続けたい。

一人になれば固定費も減る。

事務所も縮小する。

駅看板の仕事をやめて、自分が得意なユニークな看板の仕事をもっと取ればいい。

そうすれば、まだ何とかなるんじゃないか。

そんな期待もありました。

だから、このときは会社を畳みませんでした。

相談したら、会社を畳まなきゃいけないわけじゃない

今振り返ると、最初の弁護士相談には大きな意味があったと思っています。

会社を畳まなかったのに、です。

そのとき初めて、

「会社を整理するなら、こういう考え方があるんだ」

と知ることができた。

経営者保証に関するガイドラインについて、自分でネット検索しているだけでは分からなかったことも聞けた。

そして何より、

会社を畳むことについて専門家に相談したからといって、その場で廃業を決める必要はない

ということです。

僕自身がそうでした。

相談した。

話を聞いた。

でも、会社に戻って、もう一度経営を続けた。

結果的に、そのあと僕は会社を畳むことになるのですが、このときはまだ決断できなかったんです。

経営者が本当に知りたいのは「自分の場合」

ネットには、いろいろな情報があります。

僕も相当調べました。

経営者保証に関するガイドライン。

個人破産。

会社の倒産。

自宅。

財産。

検索すれば、いくらでも出てきます。

でも、会社の状況は一社ずつ違います。

借入も違う。

個人保証も違う。

財産も違う。

家族の状況だって違う。

だから最後に知りたくなるのは、

「制度がどうなっているか」ではなく、「僕の場合はどうなるんですか?」

なんですよね。

そこは、ネットだけでは分かりませんでした。

そして今なら、法律や財産に関する具体的な判断は、やっぱり弁護士などの専門家に聞くべきだと思っています。

僕が経験者だからといって、

「自宅は残せますよ」

「個人破産しなくて大丈夫ですよ」

なんてことは言えません。

僕のときと、あなたの会社では状況が違うからです。

でも、いきなり専門家に何を話せばいいのか

一方で、会社を畳むかどうかも決めていない段階では、

「弁護士に相談するほどなのかな」

と思う人もいるでしょう。

何を聞けばいいのか分からない。

自分の会社が、そもそも危ないのかもよく分からない。

まだ頑張れる気もする。

でも、このまま続けていいのか不安。

こういう時期って、あるんですよね。

僕自身がそうでした。

だから今、僕がやっている相談では、

まだ廃業すると決めていなくても構いません。

「会社を畳んだ人に、一度話を聞いてみたい」

それでもいい。

「実際、何が一番大変だったんですか?」

でもいい。

「弁護士には、どんなことを聞いたんですか?」

でもいい。

「会社を畳んだあと、生活はどうなりました?」

でもいい。

僕は法律の専門家ではありません。

だから、あなたの会社を畳むべきかどうかは判断しません。

ただ、自分が会社を畳むまでに何があったのかは、格好つけずに話せます。

借金が2億円ほどあったこと。

個人破産が怖かったこと。

自宅を失うと思っていたこと。

妻に泣かれ、怒られたこと。

弁護士に一度相談したのに、そのときは会社を畳まなかったこと。

そして最終的には、特別清算で会社を整理したこと。

その間、何を考えていたのかも話せます。

「まだ決めていない」から話してもいい

会社を畳む相談というと、

「もう廃業すると決めた人がするもの」

と思うかもしれません。

僕は、そうとは限らないと思っています。

僕だって最初の相談では決めませんでした。

むしろ、

「まだ頑張れるのか。それとも、そろそろ違う道も考えたほうがいいのか」

その間にいるときが、一番頭の中がぐちゃぐちゃになるのかもしれません。

会社を続けたい。

でも怖い。

畳むことも考える。

でも、まだ決めたくない。

その状態のままでいいんです。

答えを出すためじゃなく、

一度、経験した人間に話してみる。

それくらいから始めてもいい。

話した結果、

「やっぱりまだ頑張ろう」

と思うかもしれません。

「専門家に相談してみよう」

となるかもしれない。

それは僕が決めることではありません。

僕自身、一度相談して会社に戻った人間です。

だから、

「まだ会社を畳むと決めていないんですけど……」

という人の気持ちは、よく分かります。

決めていなくて大丈夫です。

まず、そこから話してもらえればと思っています。
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