こんにちは。ヤマモトです。
前回は「△(定型業務)」と「×(謎の習慣)」に印をつけてみましょう、という話でした。
やってみましたか? やってなくても大丈夫です。今回読みながら「あ、うちのことだ…」と思ったやつが、たぶんそれです。
今回は、中小企業でよく見かける「時間泥棒」たちを並べてみます。
「あるある」と思ったら要注意。それ、道具ひとつで消えるかもしれません。
症状①:伝言メモが机に降り積もる
よくある光景:
社長宛に電話がかかってくる。社長は外出中。「折り返させます」と言って電話を切る。メモを書く。机に置く。社長が帰ってくる。「誰から?」「えーと、○○商事の…なんとかさん…」「用件は?」「急ぎって言ってました」「何が?」「……聞いてないです」
伝言ゲームの精度は、中継するたびに落ちていきます。
そして夕方、メモの山を見た社長が「これ何?」と聞いてくる頃には、もう誰も覚えていません。
処方箋:ビジネスチャット(LINE WORKS、Chatwork、Slackなど)
電話の内容を「テキスト」で残す。これだけで世界が変わります。
「○○商事の田中さんから電話。見積もりの件で急ぎとのこと。03-XXXX-XXXX」
これをチャットに書けば、社長は外出先でも見られます。メモは消えません。「なんだっけ」もなくなります。
「でも社長、スマホ見ないんだよな…」という場合は、まず社長に「スマホを見る習慣」をつけるところからです。
LINEでお孫さんの写真は見てるはずなので、たぶんできます。
症状②:ファイル名が「最終」のインフレを起こしている
よくある光景:
共有フォルダを開く。並んでいるファイル名は「見積書_最終.xlsx」「見積書_最終2.xlsx」「見積書_これが最終.xlsx」「見積書_まじで最終_修正版.xlsx」——。
どれが本物かわからない。
「確認です、今どれが最新ですか?」とチャットで聞く。返事が来るまで作業が止まる。返ってきた返事は「わからん。田中さんに聞いて」。
田中さんは有給でした。
処方箋:クラウドストレージ(Googleドライブ、Dropboxなど)
「みんなで同じファイルを編集する」という発想に切り替えましょう。
Googleドライブなら、常に「1つのファイル」をみんなで触れます。勝手に保存されます。「どれが最新」という概念が消えます。
「でも誰かが変なとこ消したら怖くない?」という心配、わかります。
大丈夫です。変更履歴が全部残ってるので、いつでも巻き戻せます。
むしろ「誰が何を変えたか」がバレるので、みんな慎重になります。これを抑止力と呼びます。
症状③:紙を集めて、打ち直している
よくある光景:
社員にアンケートを配る。手書きで回収する。読めない字を解読する。Excelに打ち込む。集計する。
ここまでで3日かかる。結果を報告する頃には、みんなアンケートの存在を忘れている。
あるいは——。
出欠確認のために、全員の席を回る。「来週の飲み会、来れます?」「うーん、たぶん…」「○と△どっちですか?」「じゃあ△で…」
回り終わる頃には、最初に聞いた人が「やっぱり○で」と言ってくる。
処方箋:Webフォーム(Googleフォームなど)
回答を「直接データにする」のが正解です。
Googleフォームなら5分で作れます。リンクを送る。回答してもらう。自動でスプレッドシートに溜まる。集計終了。
「打ち直す」という工程が地上から消滅します。
「手書きのほうが温かみがあって……」という意見もあるかもしれませんが、温かみでは残業は減りません。
症状④:会議の日程調整で日が暮れる
よくある光景:
「来週のどこかで会議入れたいんですが」
→「火曜なら」「火曜は午後ダメです」「じゃあ水曜?」「水曜は終日外出です」「木曜は?」「午前なら」「午前は部長がいない」
5人の予定を合わせるのに、メール10往復。
ようやく決まった日時を会議室予約表(紙)に書きに行ったら、もう埋まってた。
処方箋:日程調整ツール(Googleカレンダー、調整さん、TimeRexなど)
全員の空いてる時間を「見える化」すれば、メールのラリーは消えます。
Googleカレンダーなら無料で「他の人の予定」が見られます。
もっと楽したいなら「調整さん」や「TimeRex」で候補を送って投票してもらえばいい。
「予定を見られるのが嫌」という人には、「どうせバレるよ」と伝えてください。会議に呼ばれた時に「その日ダメ」と言った瞬間、何かあるのはバレてます。
症状⑤:同じ質問に、今日も明日も答え続けている
よくある光景:
「営業時間何時までですか?」
「駐車場ありますか?」
「予約はどこからできますか?」
電話が鳴る。メールが来る。答える。また鳴る。また答える。
ホームページに書いてあるのに。一番上に書いてあるのに。
処方箋:FAQ・チャットボット(Tayori、Notion、ChatGPTなど)
「よくある質問」をまとめたページを作る。これが基本です。
もう少し進んで、ホームページにチャットボットを置けば、勝手に答えてくれます。
「うちの客層はネット見ないから…」という声もあるでしょう。
でも、その電話をかけてくる人、スマホ持ってますよね? LINEやってますよね?
「ネット見ない」んじゃなくて「見るほどの導線がない」だけのこと、けっこう多いです。
症状⑥:ハンコをもらうために出社している
よくある光景:
書類を印刷する。上司の席に持っていく。ハンコをもらう。次は部長。そして社長。
部長は会議中。社長は出張中。
書類を机に置いて帰る。翌日「これなに?」と聞かれる。最初から説明する。
リモートワークができない理由の第1位、「ハンコ」だったりしませんか?
処方箋:クラウド承認ツール(ジョブカン、freee、マネーフォワードなど)
「ハンコの代わりにクリック」で済むようにする。これだけです。
クラウドの稟議・経費精算ツールなら、スマホからでも承認できます。
出張中の社長も、新幹線の中で「承認」ボタンを押せます。
「ハンコ文化は日本の伝統だから…」という話は、飲み会のネタにしてください。
業務効率化の会議で言うことではありません。
症状⑦:PDFの数字を目視で転記している
よくある光景:
メールで請求書のPDFが届く。左の画面にPDFを開く。右の画面に会計ソフトを開く。
「1,234,567...」と打ち込む。
「あ、1円合わない!」どこで間違えた? 目がチカチカする。
これは「現代の拷問」の一つです。
処方箋:AI-OCR(またはAI-OCR付きの請求書受領サービス)
人間が目で見て打つ時代は終わりました。
今は「PDFを読み込ませれば、勝手に数字をデータ化してくれる」時代です。
「Bill One」や「バクラク」のようなサービスなら、PDFを放り込むだけで、相手先も金額も全部自動で入力されます。
会計ソフト(freeeやマネーフォワード)にも、ファイルをアップロードすれば勝手に読んでくれる機能がついています。
「入力」するのではなく「確認」だけにする。これが正解です。
「全部やらなきゃ」と思わなくていい
ここまで読んで「うちは全部当てはまる……」と頭を抱えた方。
大丈夫です。全部いっぺんにやる必要はありません。
「一番キツいやつ」を1つだけ選んでください。
最近トラブルになったやつ。毎日イライラしてるやつ。それだけ先に片付ける。
他のは後でいい。どうせ今まで放置してたんですから、もう少し放置しても会社は潰れません。
「いきなり課金」は悪手です
今回紹介したツール、ほとんど無料で使えます。
「無料」と聞くと「どうせ大したことないんでしょ」と思うかもしれませんが、普通の中小企業なら無料枠で十分です。
足りなくなったら、その時に課金すればいい。
むしろ「無料で足りなくなった」なら、それは「ツールが根付いた証拠」なので喜んでください。
最初から100万円のシステムを入れて、誰も使わずホコリを被るよりずっとマシです。
まとめ:道具は「痛み」で選ぶ
伝言が伝わらない → ビジネスチャット
ファイルが迷子 → クラウドストレージ
紙の転記がダルい → Webフォーム
日程調整で疲弊 → カレンダー共有/調整ツール
同じ質問に何度も答える → FAQ/チャットボット
ハンコのために出社 → クラウド承認ツール
PDFの転記で目が死ぬ → AI-OCR(請求書受領サービス)
「便利そうなツール」を入れるのではなく、「一番キツい痛み」を消すツールを入れる。
順番を間違えると、ツールだけ増えて仕事は減りません。
次回は、もう少し踏み込んで「自動化」の話をします。
「Aが起きたらBをやる」という"お決まりの流れ"を、ロボットに任せる方法です。
人間の仕事は「考えること」、ロボットの仕事は「繰り返すこと」。
この分業ができると、だいぶ楽になりますよ。