ターゲットレベルはどうすればいいのか
ラウドネスレベルは個人の好みだし、プロダクションの意向もあるので一概にはこの値が良いということは言えない(テレビやラジオなどの決まりがある場合を除く)。クラシックやジャズは小さくなるだろうし、逆にEDMやR&Bなんかは大きくするだろう。
Loudness Meterの役割
Momentary:だいたい400msecの平均
Short-Term:Momentaryの値の直前3secの平均
Integrated:スタートからストップまでの平均、もしくは曲全体の平均
ストリーミングサービスが計っているLUFSはラウドネスメーターのIntegratedの値であり、ストリーミングサービスが音量を揃える理由はリスナーが曲のボリュームを気にすることなく曲を聴き続けることができるようにするためだろう。たとえばものすごく大きな曲のあとに静かな曲が来たらリスナーはその都度ボリュームをコントロールしなくてはならない。それはとても手間なことだろう。これをLoudness Normalizationと言っているが、この機能はユーザー側でオフにすることもできる。
ちなみに一昔前のテレビ界隈でもCMがうるさく本編が小さいという状態があり、ラウドネスを導入することで解消させた経緯があった。
具体的な数値は
さて、Spotifyの場合、アップロードされた音楽に対して-14LUFSをターゲットにしてこれより音が大きいものは小さく、小さいものは大きくする。True Peakレベルで。True Peakについて詳しくは別の機会にして、SpotifyはTrue Peakで-1dBを指定している。つまり、もし-16LUFSのマスターを納品した場合で、True Peakが-2dBだったとするとSpotifyは-15LUFSまでしか上げることができない。
注意したいのはすべてのサービスがターゲットレベルより小さく納品された曲の音量を上げて配信しているわけではない。例えばAmazonMusicは小さく納品されたものは小さいまま配信される。
もうひとつ面白いことに、Spotifyはアルバム全体のラウドネスを計ってゲインを上げたり下げたりする。つまり、アルバム通して再生したときには、途中に小さい曲があったとしても製作者の意図の通りに小さく再生する。しかし、このアルバムをシャッフルで再生したり、曲をプレイリストに追加して再生した場合は曲単位でゲインが調整される。この機能のおかげでアルバム全体のダイナミクスを保ったまま-14LUFSをターゲットに音量が調整される。しかし、逆にこの機能のせいで、トラック単位で考えた場合に-14LUFSでマスタリングした曲がさらに音量が下がってしまうことがある。
主なサービスのリファレンスレベル
Spotify: -14 LUFS (integrated)
Apple Music: -16 LUFS (integrated)
YouTube: -14 LUFS (integrated)
Amazon Music: -14 LUFS (integrated)
では、このリファレンスレベルをターゲットにしてマスタリングすればいいのかというと一概にそうとは言えない。例えば、最初から最後までギターやドラムがガンガンなっているロックの曲と、アコースティックギターとボーカルだけの静かなバラード曲があるとする。この二つを両方とも-14LUFSの数字だけみてマスタリングしてみると、アコースティックギターの曲の方がずいぶん大きく聞こえてしまうことになるだろう。アルバム全体のバランスを考えて曲ごとのターゲットレベルを考える必要がある。
結局のところ
結局のところ、もし一つ数値を出すとするなら、およそ-10LUFS、TruePeak -1dBを目安にマスタリングするのが良いだろう。最近の曲の中には-5LUFSや-4LUFSというようなものもあるが、これは極端な例で、多くのエンジニアは-9LUFSから-12LUFSでマスタリングすると聞く。Spotifyでは4dBほど下がることになるが、音質が極端に変わることはないだろう。リスナーの中にはLoudness Normalizeの機能をオフにして聴いている人もいるだろうから、その人にとっては-14LUFSでマスタリングされた曲は小さくインパクトの無い曲に聞こえてしまうかもしれない。それは誰も望まない。しかしはじめにも書いたが、ジャンルや好みによって自由である。