街を歩いていると、「うわぁ、おしゃれ!」と思わず足を止めてしまうお店に出会うことがありますよね。でも、そんなお店が数ヶ月後にはひっそりと閉店していることも…。
「あんなに素敵だったのに、なぜ?」
そう感じたことはありませんか?実は私たちデザイナーの立場から見ると、失敗してしまうお店にはある共通点があるんです。
「おしゃれすぎる」が落とし穴になる理由
要するに、見た目だけに全力投球してしまって、肝心な部分がおろそかになってしまうパターンです。
例えば、インスタ映えを狙った素敵なカフェ。天井から吊り下げられた美しいドライフラワーや、アンティーク調の家具が並んでいる。でも実際に座ってみると、テーブルと椅子の高さが合わなくて食事がしにくかったり、通路が狭すぎてスタッフさんがお皿を運ぶのに苦労していたり…。
これって、デザインが「見せるため」だけに作られていて、「使う人」のことが考えられていないんですよね。
お客さんの視点が抜けている
私はこれを「お客さん目線の欠如」と呼んでいます。
席に座ってみたら、エアコンの風が直撃する場所だった。照明がおしゃれすぎて、メニューが読めない。トイレの場所がわからない。こういう「あれ?」が積み重なると、どんなに見た目が美しくても、お客さんは居心地の悪さを感じてしまいます。
特に飲食店では、お客さんがゆっくり過ごせる空間かどうかが、リピートにつながる大きなポイント。見た目のインパクトよりも、「また来たいな」と思ってもらえる居心地の良さの方が、実は何倍も大切なんです。
スタッフさんの動線も考えてあげたい
そして、もう一つ見落とされがちなのが「働く人」の視点。
厨房からホールまでの距離が遠すぎて料理が冷めてしまったり、収納スペースが足りなくて備品が散乱してしまったり。スタッフさんが効率よく働けないと、結果的にサービスの質が下がって、お客さんの満足度も下がってしまいます。
これは本当にもったいない。どんなに素晴らしいコンセプトのお店でも、オペレーションがうまく回らなければ、お店として成り立たなくなってしまうんです。
デザインは「思いやり」そのもの
私たちがお店のデザインをお手伝いするとき、いつも心がけているのは「誰のためのデザインなのか」を忘れないこと。
お客さんが快適に過ごせて、スタッフさんが気持ちよく働けて、オーナーさんの想いがちゃんと伝わる。そんなデザインを目指しています。
見た目の美しさも大切です。でも、それ以上に大切なのは、そこに関わるすべての人への「思いやり」なのかもしれません。
成功するお店が大切にしていること
長く愛されているお店を見ていると、必ずこの3つのバランスが取れています。
お客さんの満足度を第一に考えた空間づくり。スタッフさんが働きやすい環境。そして、お店のコンセプトがしっかりと伝わるデザイン。
どれか一つでも欠けてしまうと、どんなにおしゃれでも、どこか違和感のあるお店になってしまうんですよね。
「素敵なお店なのになぜ…?」の答えは、案外シンプルなところにあるのかもしれません。見た目だけでなく、そこにいるすべての人のことを考えたデザインかどうか。
それが、長く愛されるお店とそうでないお店の分かれ道なのかな、と思います。