肩こりや首こりがあると、
「姿勢が悪いからだ」
「猫背を直さなきゃ」
「胸を張らなきゃ」
「肩を下げなきゃ」
と思うことがあります。
鏡を見て背筋を伸ばす。
肩甲骨を寄せる。
あごを引く。
お腹に力を入れる。
最初は、少し姿勢が良くなったように感じます。
でも、しばらくすると疲れてくる。
背中が張る。
首が苦しくなる。
肩に力が入る。
気づけば、また元の姿勢に戻っている。
そして、
「やっぱり自分は姿勢を保てない」
「意識が足りない」
「もっと筋力をつけないと」
と、自分を責めてしまう。
でも、姿勢が戻るのは、
意志が弱いからとは限りません。
身体にとって、その姿勢がまだ安心できないのかもしれません。
「良い姿勢」が力みになることもある
一般的に良い姿勢というと、
背筋を伸ばす。
胸を張る。
肩を下げる。
あごを引く。
そんな形を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、姿勢を見直すことは大切です。
ただし、良い形を作ろうとして、身体に力を入れ続けているなら、
それは休める姿勢とは少し違います。
肩を無理に下げる。
胸を強く張る。
背中を固めて支える。
お腹にずっと力を入れる。
見た目は整っていても、身体の中では緊張が続いていることがあります。
その状態を何時間も保とうとすれば、疲れるのは自然です。
姿勢を良くしようとして、
かえって肩こりや首こりが強くなる人もいます。
身体は「正しい形」より「安全な形」を選ぶ
人の身体は、見た目の正しさだけで姿勢を決めているわけではありません。
身体は、その時に一番安全だと感じる形を選びます。
たとえば、緊張している時は肩が上がる。
不安な時は胸が閉じる。
疲れている時は身体を丸める。
画面に集中すると、頭が前に出る。
それは、身体がだらしないからではありません。
その状態の方が、今は動きやすい。
守りやすい。
耐えやすい。
身体がそう判断している可能性があります。
だから、外から無理に姿勢だけを変えても、
身体の警戒が残っていれば、また元の形に戻ります。
肩を下げても、また上がる。
胸を開いても、また閉じる。
あごを引いても、また前に出る。
それは、身体が“いつもの守り方”へ戻っているのかもしれません。
戻るたびに、自分を責めなくていい
姿勢を直しても戻ると、
「続けられない自分が悪い」
「もっと意識しないと」
「筋力がないからダメなんだ」
と思いやすくなります。
でも、姿勢を意識し続けるのは、とても疲れることです。
仕事をしながら。
家事をしながら。
育児をしながら。
人と話しながら。
ずっと、
肩を下げる。
胸を張る。
あごを引く。
背筋を伸ばす。
と考え続けることはできません。
意識が外れた時に元へ戻るのは、
今の身体にとって、その姿勢の方が慣れているからです。
必要なのは、意識で押さえ続けることではなく、
身体が無理なく戻れる姿勢を少しずつ覚えることです。
姿勢を変える前に、力が抜ける場所を作る
肩が上がっている時に、
「肩を下げよう」
と命令すると、逆に力が入ることがあります。
首が前に出ている時に、
「あごを引かなきゃ」
と頑張ると、首の前や後ろが固まることもあります。
そんな時は、姿勢をすぐに修正する前に、
身体が少し休める場所を作ります。
たとえば、
鎖骨の下に手を置く。
肩の上に手の重さを乗せる。
首のつけ根を両手で支える。
今の呼吸を変えずに感じる。
姿勢を良くしようとしなくて大丈夫です。
まずは、
「今、肩に力が入っている」
「今、胸が閉じている」
「今、首が頑張っている」
と気づくだけでも構いません。
身体が少し安心すると、
無理に下げなくても肩が下がることがあります。
頑張って胸を張らなくても、
少し呼吸が入りやすくなることがあります。
姿勢は、力で作るだけではなく、
安心した結果として変わることもあります。
「正しい姿勢」より「戻れる姿勢」
良い姿勢を一度も崩さないことは現実的ではありません。
スマホを見る時もある。
疲れて丸くなる時もある。
子どもを抱える時もある。
集中して前のめりになる時もある。
大切なのは、姿勢を崩さないことではなく、
崩れたあとに戻れることです。
肩が上がったことに気づく。
一度息を吐く。
首を支える。
肩に手を置く。
身体が落ち着くのを少し待つ。
そしてまた、無理のない位置へ戻る。
この繰り返しが、身体に新しい戻り方を覚えさせます。
完璧な姿勢を保つのではなく、
必要な時に動き、必要がなくなったら力を抜ける。
そんな身体の方が、日常では使いやすいと思います。
寝る前3分で、姿勢を直さない時間を作る
一日中、姿勢を意識している人ほど、
寝る前くらいは「正しくしよう」としない時間が必要です。
まずは寝た状態で、
1分目:鎖骨の下に手を置く
肩を後ろへ引かず、胸も張らず、
手の重さだけを感じます。
2分目:首のつけ根を支える
あごを引こうとせず、
頭の重さを少し手に預けます。
3分目:胸とお腹に手を置く
深く吸おうとせず、
今の呼吸がどこに入っているかを感じます。
この3分間は、姿勢を直す必要はありません。
身体が今どんな形を選んでいるのか、
そのまま感じる時間です。
身体が安心すると、
そのあと自然に位置が変わることがあります。
戻っても、やり直せばいい
姿勢は一度整えたら、ずっと固定されるものではありません。
生活の中で何度も変わります。
疲れれば丸くなる。
集中すれば前に出る。
緊張すれば肩が上がる。
だから、また戻ったとしても失敗ではありません。
「また姿勢が悪くなった」と責めるのではなく、
「今、身体が守る形に戻っているんだな」
と気づく。
そして、また戻れる入口を置く。
それで十分です。
PDFにまとめています
整体やマッサージで一時的に楽になっても戻る方や、
姿勢を意識しても肩こり・首こりが繰り返す方に向けて、
寝る前3分でできる安心入力セルフケアをPDFにまとめています。
内容は、
・張りすぎた身体とは何か
・なぜ揉んでも戻るのか
・鎖骨下への安心入力
・首のつけ根を支える方法
・肩の上に手を置く方法
・呼吸が浅い時の戻し方
・寝る前3分セルフケア
・安全に行うための注意点
などです。
姿勢を無理に正す前に、
身体が安心して力を抜ける入口を作る。
そんな方法を試してみたい方は、出品サービスをご覧ください。
注意点
この内容は医療行為・治療行為ではありません。
身体を落ち着かせるためのセルフケアです。
強い痛み、しびれ、めまい、吐き気、強い頭痛、手や腕に力が入りにくい、事故や転倒後の痛み、発熱を伴う痛みがある場合は、無理に行わず医療機関へご相談ください。
セルフケア中に症状や違和感が強くなった場合も、すぐに中止してください。
最後に
姿勢を正しても戻るのは、
あなたの意識が足りないからではないかもしれません。
身体がまだ、元の姿勢の方を安全だと感じている。
だから、形を強く直すだけではなく、
身体が安心できる時間を作る。
ずっと正しい姿勢でいなくても大丈夫です。
崩れても、力んでも、
また戻れる身体を少しずつ作っていく。
その方が、身体にとってやさしい姿勢の整え方だと思います。