青の教室 「色が見つかる場所」 第8章 ひなたの根源──“広さ”が強さになる
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第8章 ひなたの根源──“広さ”が強さになる
その日の青の教室は、
春の光がやわらかく差し込んでいた。
ひなたは、
プリントを前にして腕を組んでいた。
「うーん……どれからやろうかなぁ」
以前なら、
“どれでもいいや”と適当に始めていた。
でも今日は違う。
(選ぶって……
なんか、ちょっと楽しいかも)
ひなたは、
自分の中に小さな変化が起きているのを感じていた。
■ ひなたの“広さ”が動き出す
「ひなた、今日も来たんだ」
そらが静かに声をかける。
「うん! そらも?」
ひなたは笑顔で返す。
りくもやって来て、
三人は自然と同じ机の島に座った。
ひなたは、
そらが落ち着いて問題に向かっているのを見て思った。
(そら……前よりずっと自信ありそう)
りくが黙々と問題を解いているのを見て思った。
(りくも……なんか前より素直になってる)
二人の変化が、
ひなたの胸に静かに響いた。
(私も……変わりたいな)
■ ひなたの“迷い”が言葉になる
プリントを解いている途中、
ひなたはふと手を止めた。
「先生……」
友彦がそっと近づく。
「うん?」
「私……
やりたいことが多すぎて、
どれを選べばいいのかわからないんです」
その言葉は、
ひなたの“広さ”が初めて形になった瞬間だった。
友彦は微笑んだ。
「ひなたちゃんは、
“広さ”を持っているんだよ」
「広さ……?」
「うん。
いろんな方向に興味が向く。
いろんなことをやってみたいと思える。
それはね、とても強い根っこなんだ」
ひなたは驚いた。
「強い……?」
「そう。
広い根っこは、
どんな色にもなれるからね」
ひなたの胸の奥が、
ふわっと温かくなった。
■ ひなたの“初めての決断”
友彦は、
ひなたのプリントの中から一問を指さした。
「ひなたちゃん、
今日はこれを“選んで”みよう」
「これ……?」
「うん。
ひなたちゃんが“やってみたい”と思った問題だよ」
ひなたは、
しばらくその問題を見つめた。
(やってみたい……
なんか、この問題……好きかも)
「……これ、やります」
「いいね」
ひなたは、
ゆっくり鉛筆を動かし始めた。
その瞬間、
ひなたの“広さ”が
初めて“方向”を持った。
■ ひなたの根源が立ち上がる
問題を解き終えたひなたは、
胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
(選ぶって……
こんなに気持ちいいんだ)
帰り際、
ひなたはドアの前で振り返った。
「先生……
私、いろんなことに興味があるのって……
悪いことじゃないんですね」
友彦は静かにうなずいた。
「うん。
ひなたちゃんの“広さ”は、
ひなたちゃんの色の源なんだよ」
ひなたは、
胸の奥がふわっと軽くなるのを感じた。
――私の“広さ”は、
私の強さなんだ。
その気づきが、
ひなたの色をそっと立ち上げた。