青の教室 「色が見つかる場所」 第6章 そらの揺れ──「私の声ってどこにあるの?」
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第6章 そらの揺れ──「私の声ってどこにあるの?」
中村そらは、
学校の帰り道、ランドセルの肩ひもをぎゅっと握っていた。
今日の授業で、
先生に意見を求められたときのことが
頭から離れなかった。
「そらさんはどう思う?」
その瞬間、
胸がぎゅっと縮まり、
頭が真っ白になった。
(どう思うって……
どう思えばいいの……?)
結局、
そらは何も言えなかった。
クラスメイトの視線が痛かった。
自分の声がどこにあるのか、
そらにはわからなかった。
■ 青の教室での沈黙
青の教室に着くと、
ひなたとりくがすでに来ていた。
「そら、今日も来たんだ」
ひなたが笑顔で手を振る。
「うん……」
そらは小さく返事をした。
プリントを開いたものの、
そらの手は止まったままだった。
友彦がそっと近づく。
「そらちゃん、今日は静かな風だね」
そらは、
胸の奥がきゅっとなるのを感じた。
「……学校で、
意見を言えなかったんです」
「うん」
友彦は、
そらの言葉を遮らずに受け止めた。
「言おうとしたんですけど……
なんか、声が出なくて」
そらの声は震えていた。
■ 友彦の“待つ沈黙”
友彦は、
そらの隣に静かに座った。
何も言わない。
ただ、そらの沈黙をそのまま受け止めている。
そらは、
その沈黙が不思議と怖くなかった。
(先生……
怒らないんだ)
しばらくして、
友彦がゆっくり口を開いた。
「そらちゃん、
声ってね……
“出そう”と思ったときに出るものじゃないんだよ」
そらは顔を上げた。
「じゃあ……
どうやって出るんですか?」
「“出てもいい”と思えたときに出るんだよ」
そらの胸の奥で、
何かがふっと揺れた。
■ そらの“初めての声”
友彦は、
そらのプリントを指さした。
「そらちゃん、
この問題、どう思う?」
そらは迷った。
(どう思う……?
私の考え……?)
しばらく沈黙が続いた。
ひなたとりくは、
そらの方を見ずに、
自分のプリントに向かっていた。
そらは、
その“気をつかわない空気”に救われた。
「……こう、だと思います」
そらは、
小さな声で言った。
友彦は微笑んだ。
「そらちゃんの声だね」
そらの胸の奥が、
じんわり温かくなった。
(これが……
私の声……?)
■ そらの“揺れ”が色になる
帰り際、
そらはドアの前で立ち止まった。
「先生……」
「うん?」
「私……
もっと自分の声を聞いてみたいです」
友彦は、
そらの言葉を大切に扱うようにうなずいた。
「そらちゃんの声は、
静かだけど、強いよ」
そらは、
胸の奥がふわっと軽くなるのを感じた。
――私の声、
ちゃんとあるんだ。
その小さな揺れが、
そらの色をそっと動かし始めた。