中3物語/こわいはなし

中3物語/こわいはなし

記事
学び
2023年9月8日
学習塾リバティ 木村友彦


 こわいはなしをしなければならない。
 ちょうちょのはなしばかりでは通じないからしょうがない。

 この話を読んで、私も「直立二足歩行」ができないというあなたは、子どものことをちゃんと考えてね。

 まずはユングの話。
 およそ100年前のスイスにユングという臨床心理学者がいた。ユングは「言語連想法」という心理テストを考案した。問診者が100語の刺戟語を一つずつ被験者に言い、被験者はその語から連想したことをできるだけ早く答える。問診者はストップウォッチを持ち返答にかかった時間と返答語を記録しながら100語を発問する。100語が一通り終わったら、もう一度同じ100語をまた一から一つずつ同じように繰り返す。二度目も同様に記録を付ける。そうすると、被験者が心にわだかまり(コンプレックス)のある語に対する返答に時間がかかったり、一度目と二度目の返答に違いや忘却が現れる。そこから被験者の心の状態をさぐって、通常の問診と合わせてカウンセリングをしていく。おおまかにこんな感じがユングの「言語連想法」である。「連想法」自体は以前からあったそうだが、ユングの卓見は「連想時間」に注目した点だという。

 私は専門家ではないからこんな心理テストはできないが、このような知識を持っていることにより、子どもたちの「反応の意味」がよく見えてくる。子どもたちと近くで勉強しているから、とてもよく見えちゃう。


 三角形を「平行移動」するのに、目盛りが数えられない子がいた。
 私も自分自身に「自分の考えがまとまらない」という症状が出たことがあるからよく判る。似たような症例の子どもは複数見た。頭が悪いのではなく、外部からの悪い刺激を要因とする心的症状である。私の世話になったカウンセラーも、自身がその症状を「経験」させられた。

 家族など近い人の間では、距離が近いこと、あるいは無知や不勉強による<不幸>がしばしば(いや大変よく)見られる。悪くすると症状が恒常的になって「病気」と言っていいようになってしまう。勉強ができない。親の思う通りにならない。そういうときにはちょっと気を付けてほしい。子どもから「笑顔」が消えていたらちょっと気を付けてほしい。家族の間の場合には意図しないでそうなってしまうことが通常。でも、この「心のメカニズム」を「教育」と称する愚か者がいることは開いた口が塞がらない。

 こんな「病気」は私とは無縁。特別な場合だ。多くの人はそう感じる。でも、以下の<こわいはなし>を読んでいただくと実感できると思う。これを読んでも通じない人は。。。さーて、どーしょ。


<引用> 幅30センチぐらい、長さ5メートルぐらいの鉄板が床にし いてあるとします。この上を歩くことができますか?
  多くの人は「はい」と答えるでしょう。僕はそんな時、教室に同じ
 幅と長さの紙を置いて、生徒たちに実際にその上を歩かせます。そし
 て無事に渡れたら、「イエーイ!」とハイタッチをします。
  そうした後で、ホワイトボードに図を書きます。「ここに高さ200
 メートルのビルが2つある。その屋上に立つと、下にいるタクシーな
 んかが、米粒くらいの大きさに見える。落ちたら百%死ぬ。さて、こ
 この屋上の2つのビルの間に、さっきと同じ幅の鉄板を渡したとする。
 風はない。君は、その上を歩くことはできるかな?」
  するとみんな「無理!」と言います。たぶん「足ががくがくふるえ
 て」「心臓ばくばくになって」「手からは汗がドバーって出る」、  だから「無理だ」と。
  でも、冷静に考えると、求められている身体能力って、まったく同
 じはずなんです。幅30センチの板の上を歩くこと自体って、多くの
 人にとっては、そんなに難しいことではないんですね。では、なんで
 教室に鉄板をしいてその上を渡れと言ったら余裕なのに、ビルの上で
 は無理なんでしょう。
  そう聴くと、生徒達はみな「落ちたら死ぬから(笑)」と言います。
 それに対して、僕は言います、「違う」と。
  「君は、教室で今、実際に歩いてみた時に『失敗するかも?』って 一瞬でもイメージした?」「いいえ」「だよね。でもさ、ビルの上だ
 とどうだろう。落ちたらどうしよう、高いな、死ぬな・・・・・とか、む
 しろ、失敗するイメージしかわかないよね。逆にその状態で、『成功
 する』って考えてる人、余裕な人なんて、おかしいよね。おもしろく
 ない?僕が求めているのは『直立二足歩行』なんだ。サルだってでき
 る。なのに、急に『うまくいかないかも』『失敗するかも』『死ぬか
 も』とか、そういう『失敗のイメージ』を強く抱いた瞬間に、身体能
 力が圧倒的に低下するんだ」
  これは、他の場面でも同様なのです。「失敗するのでは?」「笑わ れるのでは?」というイメージが強いと、人前でのスピーチもうまく
 いかなくなります。「こ、こんにちは・・・・・えーっと、あのー、私の 名前は・・・・・えー」みたいになって、普段すらすら言えることですら 言えなくなってしまいます。
  つまり、「失敗するイメージ」を持った瞬間に、身体能力が低下す
 るわけです。話す、という、基礎的な身体能力ですら、です。「うま
 く行かないのでは」「苦手なんです」「イヤだなあ」・・・・・ 何ごと
 も同じなんです。そう思った瞬間に能力が下がるのです。
  「数学は嫌い」「数学は苦手」・・・・・そう思っている生徒は、能力
 が実力以下に下がるので、問題をうまく解けなくなるのです。
  ですから、基本的に、「思い込まないといけない」のです。「好き
 だ」「できる」と。<引用終わり/『学年ビリのギャルが1年で偏差
 値を40上げて慶應大学に合格した話』(坪田信貴著)>


 臨床の場面で、被検者の内的状況と、問診などから外部的に見える例えば「家族構成」などの状況とが一致することが往々にして見受けられるということを勉強した。この外部状況のことを『布置』という。

 子どもが思うようにならないときには自分に『布置』を探してほしい。<あなたのせい>にするつもりは毛頭ない。私自身が『布置』の一部。子どもを救いたいだけなんだ。
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