2030年代の学び方② 売上金を金庫に~ 緊急時に組織は何を優先するか ~

2030年代の学び方② 売上金を金庫に~ 緊急時に組織は何を優先するか ~

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学び
●最近の事例から
先日の熊本地震の直後、イオンで爆発が起き7人が亡くなった。
報道によると、そのうちの2人は、一旦来店客を連れて屋外へ避難していた。
その後、店舗から「売上金を金庫に移してほしい」と指示を受け、
館内へ戻ったところ爆発に巻き込まれた。

運営会社は、指示を出したことを認めて遺族に謝罪している。
ここで最も重要なのは、
同じ指示を同県内の全店舗へ出していたことである。

つまり、個人の過失や資質の話ではないということだ。
組織が非常時に何を優先するか、その構造の問題と捉えられる。
売上金という資産を守る手続きが、
平常時の正しい業務となっており、地震後もそのまま適用されたのである。

指示を出した人にも、恐らく悪意はない。
「規則だから」、「そういう決まりだから」で動いたのだろう。
悪意がなくても、人は死ぬ。
集団は、放っておけば自らの存続と、上に立つ者の都合へ向かう。

建前として、会社は従業員のために、行政は住民のために存在している。
しかし非常時を調べると、往々にして権力を持つ側が優先されやすい。
今日は法律やマニュアル、コンプライアンスに社内規程など色々うるさい。

それは裏を返すと、
「指示を守っていれば正しく振る舞った証明になる」という副作用を持つ。
結果が悪くても「上からの指示だった」と言える。

その逃げ道があるかぎり、
現場の一人が「いま戻るのは危ない」と判断することは、
割に合わないのである。

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●歴史は繰り返す?
先の戦時下も、同じ構造があった。

・広島の建物疎開動員
空襲に備えて建物を壊し延焼を防ぐ作業に、動員された市民が朝から市内中心部に集まっていた。8月6日の朝である。

・青森の配給停止。
疎開した市民に「食糧配給停止」を告知し、市内へ戻るよう促した直後の夜、空襲で市街地が焼けた。

・長崎の警報解除。
警報が解除され、
危険は去ったと信じた人々が壕から出た後で攻撃が行われた。
・そして、東京大空襲
外出禁止や灯火管制下で自宅の障子を開けることすら許されず、
外の状況を知る術もなく、
司令を信じたことが被害を拡大させた。
いずれも、指示に従った結果、
却って多くの人が危険に晒されることになった。
命令を伝えた末端の人たちに、悪意はなかったはずだ。
上から来た伝達を、そのまま流しただけだろう。

分業が進むと、一人ひとりは自分の担当に集中し、
全体像には目が届かなくなる。
防衛の役目を果たしているつもりで、結果として被害を大きくする。

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「歴史は繰り返す」と諦める見方もある。

でも、少しだけ深堀すると、
権威と分業という組織構造の問題が垣間見えてくる。

何が「正しい」のか判断を上へ外注し、「規則だから」で止まる。
終戦から80年以上たっても状況が良くなったと言い切れないなら、精神論では片づかない。

●集団のルールを作るとき
会社組織や学校、趣味の集まりなど、
ある程度以上の人数が所属・該当する全ての集団に使えるものである。
前提として、ルールは少ないほうがいい。
多いほど、目的を忘れたまま作動する。

この規則は、誰の幸せや安全、尊厳を守るためか。
組織の運営体制を守るのか、所属している個人なのか。
両方なら、どちらが優先か。

非常時に個人を守る例外を、平時のうちに決めておく。
「緊急時は、組織の運営や物理的管理より、その場の人の判断を優先する」。
この一文が事前にあれば現場は迷わない。非常時に決めることはできない。

また、普段から各自の役割が、誰のどの結果につながるかを共有する。
分業は必ず視野を狭くする。
だから分業の切れ目には「全体を見る係」を置く。

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迷ったときの基準を1つ。
その行動は「組織の体裁」を守っているのか、
「現場にいる一人の安全と納得」を守っているのか。

さて、自分がいま所属している組織はどうか。
非常時に金銭や備品より人を優先する、と書かれた紙はあるか。
ないなら、それを作れる立場に自分はいるか。
いないなら、誰に言えばいいか。

歴史や事故を教材にする意味は、ここにある。
同じ原理が自分の職場や学校や家庭で起きていないかを点検して、
手の届く範囲で繰り返さない。






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