「申請は出しました」
「上司の確認待ちです」
「担当部署へ回したはずです」
それなのに、数日たっても処理が進まない。
申請者が状況を確認すると、
「誰が持っているか分からない」
「メールを見落としていた」
「自分が承認者だと思っていなかった」
「必要な情報が足りず、止まっていた」
ということがあります。
備品購入。
休暇申請。
経費精算。
修理依頼。
契約書確認。
取引先登録。
総務や管理部門では、さまざまな申請を扱います。
私自身、中小製造業でひとり総務に近い仕事をしています。
その中で感じるのは、
申請が止まる原因は、承認者が忙しいからだけではない
ということです。
申請の入口、承認者、期限、差し戻し方法、完了条件が曖昧だと、どれだけ催促しても同じ問題が起こります。
今回は、申請・承認業務が止まりやすい会社の共通点と、Googleフォームやスプレッドシートを使って改善する方法を紹介します。
申請を送っただけでは、仕事は始まっていない
申請者は、フォームやメールを送信した時点で、
「申請は終わった」
と考えます。
しかし、管理側ではそこから、
・内容を確認する
・担当者を決める
・承認者へ回す
・不備があれば差し戻す
・承認結果を申請者へ伝える
・実際の処理を行う
・完了を記録する
という作業が始まります。
つまり、申請は業務の入口です。
送信できる仕組みだけを作っても、その後の流れが決まっていなければ、仕事は止まります。
止まる理由1.承認者が決まっていない
「上司の承認が必要」
と書かれていても、誰を指すのか分からないことがあります。
直属の上司なのか。
部門長なのか。
金額によって承認者が変わるのか。
本社の担当者も確認するのか。
ここが曖昧だと、申請は人から人へ転送されます。
結果として、
「自分の承認案件ではないと思っていた」
「別の人が対応すると思っていた」
という状態になります。
承認ルールは、できるだけ具体的にします。
例えば、
・3万円未満は所属長
・3万円以上は部門長
・10万円以上は役員
・設備修理は工場長と総務
・採用関係は所属長と人事
という形です。
すべてを複雑な条件分岐にする必要はありません。
まずは、最初に確認する責任者を一人決めるだけでも進みやすくなります。
止まる理由2.申請内容が不足している
申請フォームの項目が少なすぎると、承認者が判断できません。
例えば、備品購入申請で、
・商品名
・金額
しか書かれていなければ、
「なぜ必要なのか」
「今あるものでは駄目なのか」
「いつまでに必要なのか」
「どこで使うのか」
を確認する必要があります。
そのたびに申請者へ連絡し、回答を待ちます。
一方で、入力項目を増やしすぎると、申請者の負担が大きくなります。
大切なのは、承認判断に必要な情報だけをそろえることです。
備品購入なら、
・購入するもの
・金額
・利用目的
・希望日
・利用部署
・参考URLや見積書
程度から始められます。
止まる理由3.期限が設定されていない
申請に期限がないと、承認者は緊急度を判断できません。
「時間があるときに確認しよう」
と思ったまま、ほかの仕事に埋もれます。
申請には、少なくとも次のどちらかを設定します。
・希望完了日
・承認回答期限
例えば、
「8月20日までに購入したい」
のであれば、承認期限は8月15日など、それより前に設定します。
希望日と承認期限が同じでは、差し戻しや再申請に対応できません。
止まる理由4.現在の状態が分からない
メールで申請していると、
・未確認
・確認中
・承認済み
・差し戻し
・処理中
・完了
のどこにあるか分かりません。
申請者は、進捗を知るために総務へ連絡します。
総務は、担当者や承認者へ確認します。
この確認作業が、申請件数の分だけ発生します。
申請ごとにステータスを持たせると、状況を把握しやすくなります。
最初は、
・未確認
・確認中
・承認
・差し戻し
・完了
の5段階でも十分です。
止まる理由5.承認後の処理が管理されていない
申請が承認されたからといって、業務が完了したとは限りません。
備品購入なら、発注と納品確認が必要です。
修理依頼なら、業者手配と修理後の確認が必要です。
アカウント発行なら、作成と本人への案内が必要です。
承認済みになった後に、
「誰が実際の処理をするのか」
が決まっていないと、そこで止まります。
そのため、承認ステータスと処理ステータスを分ける方法があります。
例えば、
承認状態
・未確認
・承認
・差し戻し
・却下
処理状態
・未着手
・対応中
・完了
こうすると、
「承認は済んでいるが、まだ発注されていない」
という状態が分かります。
差し戻しを「口頭」で済ませない
申請内容に不備があった場合、口頭やチャットで、
「ここを直してください」
と伝えることがあります。
しかし、正式な申請データには何が不足していたのか残りません。
再提出後も、どこが変わったか分からなくなります。
差し戻す場合は、
・差し戻し理由
・修正が必要な項目
・再提出期限
・差し戻した担当者
・差し戻し日
を記録します。
差し戻し理由を定型化しておくと、入力も簡単です。
例:
・金額の根拠不足
・添付資料不足
・希望日の記載なし
・承認者が異なる
・利用目的が不明
・予算確認が必要
申請者への自動返信で問い合わせを減らす
Googleフォームで申請を受け付けても、申請者側には、
「正常に送信できたか」
「誰が確認するのか」
「いつ返事が来るのか」
が分からないことがあります。
そのため、
「申請は届いていますか?」
という問い合わせが発生します。
フォーム送信後に、
・受付完了
・受付番号
・申請日時
・申請内容の要約
・今後の流れ
・回答予定の目安
を自動返信すると、確認の問い合わせを減らせます。
ただし、
「申請を受け付けました」
と、
「申請が承認されました」
は明確に分けます。
GASでできる申請管理
Googleフォーム、Googleスプレッドシート、GASを組み合わせると、次のような仕組みを作れます。
・フォーム送信時に受付番号を発行
・申請者へ受付メールを自動送信
・内容に応じて承認者へ通知
・金額や部署ごとに承認者を振り分け
・承認、差し戻し、却下を記録
・期限が近い承認待ち案件を抽出
・申請者へ結果を自動通知
・承認後の処理担当者を設定
・未処理、対応中、完了を管理
・部署別、申請種別の件数を集計
申請者、承認者、処理担当者が、同じ状態を確認できる仕組みを作ります。
自動承認は慎重に考える
条件が決まっている申請なら、自動処理できる部分もあります。
例えば、
・一定金額以下
・指定された備品のみ
・必要項目がすべて入力済み
・予算内
・事前登録された担当者からの申請
などです。
ただし、条件に合えば自動で承認する仕組みは、誤申請や不正利用のリスクもあります。
最初は、
・必要項目の入力チェック
・承認者への自動通知
・期限超過アラート
までを自動化し、承認判断は人が行う方法が安全です。
申請管理に必要な項目
申請一覧には、最低限次の項目を用意します。
・受付番号
・申請者
・申請日時
・申請種別
・申請内容
・希望完了日
・承認者
・承認期限
・承認状態
・処理担当者
・処理状態
・最終更新日
・完了日
すべてを一画面に表示する必要はありません。
申請者には自分の申請状況だけを表示する。
承認者には承認待ちだけを表示する。
管理者には全体を表示する。
役割ごとに必要な情報を分ける方が使いやすくなります。
申請フローを増やしすぎない
仕組みを作り始めると、
「この人にも確認してほしい」
「念のため、さらに上司も承認する」
と承認段階が増えがちです。
承認者が増えるほど、安全になるように見えます。
しかし、処理時間は長くなります。
実際には、確認しても判断が変わらない承認者が含まれていることもあります。
承認フローを見直すときは、
・この人は何を判断するのか
・承認がないと何が困るのか
・金額や内容によって省略できないか
・共有だけでよく、承認は不要ではないか
を確認します。
「確認した人を増やす」ことと、「責任が明確になる」ことは別です。
ココナラで申請・承認業務を仕組み化しています
ココナラでは、Googleフォーム、Googleスプレッドシート、GASを使った業務改善サービスを出品しています。
申請後の自動返信と通知を設定したい方
Googleフォームの自動返信・通知を設定します
フォーム送信直後に、申請者へ受付メールを送り、管理者や担当者へ申請内容を通知します。
申請・承認・完了まで管理したい方
丸投げOK!GASで業務システムを構築します
受付番号、承認状態、差し戻し、期限通知、処理状況、完了管理などを、現在の業務に合わせて構築します。
複数店舗・拠点の依頼を管理したい方
複数拠点の連絡・依頼管理アプリを構築します
店舗、工場、営業所などの依頼を、送信・確認・回答・完了までWeb画面で管理します。
自動化できるか分からない方
その事務作業をGASで自動化できるか診断します
現在の申請方法や管理表を確認し、自動化できる部分、構成案、概算費用をご提案します。
詳しい仕様書は必要ありません。
現在使用している申請書、Excel、Googleフォームを、氏名や機密情報を架空データへ置き換えた状態で共有いただければ、改善方法を整理します。
まとめ
申請・承認が止まる原因は、承認者が忙しいからだけではありません。
・承認者が決まっていない
・判断に必要な情報が不足している
・承認期限がない
・現在の状態が分からない
・差し戻し理由が残らない
・承認後の処理担当者が決まっていない
・申請者へ結果が共有されない
といった仕組み上の問題があります。
申請管理の目的は、フォームを作ることではありません。
必要な判断と処理が、期限までに完了することです。
まずは現在の申請一覧へ、
・承認者
・承認期限
・承認状態
・処理担当者
・処理状態
の5項目を追加してみてください。
誰がどこで止めているのかが見えるだけでも、確認の電話やチャットを減らしやすくなります。
ユウタ|ひとり総務×AI業務改善
中小製造業で総務・管理業務に携わりながら、Googleスプレッドシート、Googleフォーム、GAS、生成AIを活用した業務改善に取り組んでいます。
高額なシステムを導入するほどではないけれど、申請・承認・処理状況が見えず、確認作業が増えている。
そんな中小企業の業務を、現場で無理なく使い続けられる仕組みに整えています。