「この契約書で、自分は守られる?」──WEB集客・制作の業務委託契約書を作りたい方へ

「この契約書で、自分は守られる?」──WEB集客・制作の業務委託契約書を作りたい方へ

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法律・税務・士業全般

LP制作、広告運用、SNSやLINEの集客支援。WEBの仕事を請け負うとき、「契約書、ちゃんとしたものがあったほうがいいよな」と感じたことはありませんか。でも、いざ作ろうとすると、何を書けばいいのか、自分の文章で大丈夫なのか、厳しすぎたり足りなかったりしないか──不安ばかりが先に立ちます。

ネットでひな形を拾ってはみたものの、自分のサービスに合っているのか分からない。そんな声をよくいただきます。WEB集客・制作の仕事は、成果が読めなかったり、修正が延々と続いたり、広告費の負担が曖昧だったりと、独特のトラブルが起きやすい分野。だからこそ、契約書はあなたを守る大事な道具になります。

この記事では、WEB集客・制作の業務委託契約書を「これから作りたい」「自作のものを見直したい」という方に向けて、依頼する前に知っておくと安心なことを、やさしくまとめました。書類を作るという、行政書士の仕事の範囲でお話しできる内容を中心にしています。

なお、本稿は一般的な解説です。出てくる金額や割合はすべて説明のための一例で、特定のご相談や事業者を取り上げたものではありません。最適な形はサービスの内容や個別の事情で変わりますので、考え方の参考としてお読みください。

こんな不安、ありませんか


よくいただくご相談


「業務委託契約書を作りたいのですが、何を入れればいいか分かりません」。「自分で作ってみたけれど、これで守られるのか不安です」。「クライアントから契約書を求められたけれど、急ぎで用意したい」。WEBの仕事をしている方から、こうしたご相談をよくいただきます。

共通しているのは、「相手に不利にされたくない」「トラブルになったときに困りたくない」という気持ちです。スキルひとつで仕事を受けている人ほど、契約書という後ろ盾の有無が、安心して働けるかどうかを左右します。とくに相手が法人だと、力関係でこちらが不利になりがち。だからこそ、最初に書面で約束を交わしておく意味があります。

「自分で作ってみたけど、これでいいの?」

最近は、ひな形やテンプレートが簡単に手に入ります。実際に、自分で一度作ってみた、という方も多いです。それ自体はとても良いことで、何を大事にしたいかが形になっている、立派な出発点です。

ただ、テンプレートは「誰かの事情に合わせて作られたもの」。あなたのサービス——広告運用の代行があるか、継続課金か、相手は事業者か個人か——に、そのまま当てはまるとは限りません。たとえば、広告費の扱いや、修正回数のルール、成果保証の有無といった、この業種に欠かせない部分が抜けていることもよくあります。「丸ごと作り直したほうがいいのか、手直しで済むのか」も含めて、一度プロの目で見てもらうと安心です。

なぜ、WEBの仕事は契約書でこじれやすいのか


成果が読めない

集客や売上は、こちらが誠実に働いても、市場や商品、相手の事情に左右されます。なのに相手が「成果が出ると思って頼んだ」と考えていると、「話が違う」という不満につながります。この成果の認識ずれは、同じ業種でいちばんクレームになりやすい部分です。

だからこそ、「何を約束していて、何を約束していないのか」を、契約書の言葉ではっきりさせておく必要があります。口頭の「がんばります」だけでは、後で受け取り方が分かれてしまいます。

作業の終わりが見えない

デザインや文章は、「もう少しこうしたい」が続きがちです。修正のルールを決めていないと、善意で対応するうちに、際限なく時間と労力を取られてしまいます。「どこまでが無料で、どこからが追加料金か」が決まっていないことが、トラブルのもとになります。

受ける側にとって、終わりの見えない修正は、利益を確実に削っていきます。最初に線を引いておくことが、自分の時間を守ることにつながります。

お金が複雑

WEBの仕事は、制作費のほかに、広告費、運用代行費、サーバー代と、いくつもの費用が絡みます。とくに広告費は金額が大きくなりがちで、「誰が負担するのか」が曖昧だと、後で大きな揉め事になります。

「自分の報酬」と「実費」がごちゃ混ぜになっていると、月末の請求で「えっ、これも別なの?」という事態になりかねません。お金の流れを項目ごとに整理して書いておくことが、安心につながります。

つくるとき・見直すときの、チェックどころ


ここからは、契約書を作る・見直すときに、とくに確認しておきたいポイントを挙げます。自作のものをお持ちの方は、点検リストとしてお使いください。

「成果は保証しない」と書けているか

WEB集客やコンサルの契約で、いちばん大切といってもいいのが、成果を保証しない旨を明記することです。「具体的な成果や売上の増加を確定的に保証するものではない」と、独立した項目としてはっきり書いておく。これは相手を突き放すためではなく、お互いの期待をそろえ、後の誤解を防ぐためです。

書くときは、「結果」ではなく「やること(役務)」を約束する表現に寄せるのがコツです。「集客を成功させる」ではなく「集客につながる活動を企画・助言する」。誠実に線引きするからこそ、長く付き合える相手が残ります。

業務範囲と「やらないこと」が明確か

「マーケティングのコンサル」とだけ書くと、相手は何でも頼めると受け取りかねません。やることを具体的に並べ、さらに「訪問はしない」「○○は別途費用」といった"やらないこと"も書いておく。

範囲がはっきりしていると、「それは契約の外です」と言える根拠になり、際限のない要求を防げます。SNSの初期構築なら「投稿○本まで」のように、数量で含む範囲を区切っておくと、さらに明確になります。

修正のルール(回数・追加費用)があるか

制作でいちばんもめるのが、修正です。「公開までの修正は何回まで無料か」「それを超えたら1回いくらか」「デザインの骨組みそのものの変更は含むのか」。こうしたルールを決めておかないと、「あと一回だけ」が永遠に続きます。

回数と、何を1回と数えるかを、最初に決めておきましょう。自分のミス(誤字脱字など)の修正は無料、と書いておくとフェアで、相手の信頼も得られます。

委託料と広告費は分けてあるか

自分の報酬(委託料)と、広告費のような実費を混同すると、「広告費もあなた持ちだと思っていた」という事故が起きます。広告費は相手が負担する、運用を代行するなら別途代行費をもらう、と分けて書く。

代行費を「広告費の○%」とするなら、広告費が少ない月のために「最低でも月いくら」という下限を決めておくと安心です。少額の月でも、手間に見合う報酬が確保できます。

分割・月額なら、必要な記載があるか

委託料を分割払いや毎月の継続課金にする場合は、注意が必要です。分割払いには割賦販売法という法律が関わることがあり、契約書や申込みページに所定の記載を求められる場合があります。クレジットカード会社や決済代行会社の規約で求められることも多い部分です。

「自社で分割にしているわけじゃないから関係ない」と思いがちですが、決済の仕組みによっては必要になります。分割・サブスク型にするなら、「必要な記載があるか」を一度確認しておきましょう。

「厳しすぎ?」と不安なときの考え方


一方的に厳しいと、かえって損

「自分を守りたい」と思うあまり、相手に一方的に厳しい内容にすると、かえって逆効果になることがあります。相手が契約を渋ったり、後で「無理がある」と揉めたり。守りたい点はしっかり守りつつ、相手も受け入れられる落としどころを探る。そのバランスが取れた契約書のほうが、結局はうまく機能します。

「守る」と「相手に納得してもらう」は、両立できます。むしろ、納得して結んだ契約書のほうが、いざというときに効きます。

相手に角を立てずに渡すコツ

しっかりした契約書も、出し方を間違えると相手に警戒されます。コツは順番です。いきなり「返金しません」「保証しません」から入らず、まず提供する業務やサポートの中身——相手のメリット——を伝え、次に進め方のルール、最後にもしものときの取り決め、という流れにする。

「お互いが安心して進めるために用意しました」「たたき台なので、気になる点は調整します」と添えるだけで、受け取られ方はずいぶん変わります。契約書は、相手と対立するための道具ではなく、安心して一緒に進めるための土台です。



あるある──こんな「困った」が起きています


実際にトラブルになりやすいのは、だいたい同じ場面です。一般的な例として、三つ挙げておきます。

「無料で直してくれると思っていた」

公開後に「ここも直して」「やっぱりこっちで」と要望が続く。善意で対応するうちに、気づけば何度目かの修正で利益が溶けている。相手は「無料の範囲」と思っている──。修正ルールがないと、必ずと言っていいほど起きる場面です。「無料は○回まで、それ以降は有料」と決めておけば、追加作業に堂々と対価を求められます。

「成果が出たら払うつもりだった」

「集客できたら払います」と相手が考え、こちらは「作業した分はもらえる」と思っている。この食い違いは、成果保証の有無と支払い条件を書いていないと起きます。成果は保証しない旨を明記し、支払いのタイミングと方法を決めておけば、土台の揉め事は防げます。

「広告費もコミコミだと思っていた」

運用代行を頼まれ、広告費まで自分が立て替えてしまう。月末に請求したら驚かれる──。委託料と実費を分けていないと起きる事故です。「広告費は相手が負担」「立て替えはしない、または事前に預かる」と書き分けておけば、毎月のお金の流れで揉めずに済みます。

契約書を整えると、何が変わるか


「契約書なんて、トラブルが起きなければ使わない」と思うかもしれません。でも、整った一通があると、ふだんの仕事のしかたそのものが変わります。

無理な要求に、落ち着いて線を引ける

範囲や修正回数が決まっていれば、「それは追加のご依頼になります」と、感情的にならずに伝えられます。契約書という共通のルールがあるから、断るのではなく「ルールに沿ってご案内する」形になり、関係を保ったまま線を引けます。毎回モヤモヤしながら無償対応する、という消耗から解放されます。

相手にも、信頼してもらえる

きちんとした契約書を出せること自体が、「この人は仕事の進め方がしっかりしている」という印象につながります。とくに法人が相手だと、契約書の質はそのまま信頼の質と受け取られがち。曖昧な口約束で進めるより、整った書面を用意できるほうが、結果的に良い仕事に恵まれます。

いざというとき、慌てない

万一トラブルになっても、「契約ではこうなっています」と示せる一通があれば、慌てずに対応できます。逆に、何も決めていないと、その場の力関係や勢いで押し切られかねません。契約書は、いざというときに自分の立場を支えてくれる、静かな味方です。

よくあるご質問


「成果は保証しない」と書いたら、契約してもらえないのでは?


誠実に説明すれば、むしろ信頼につながります。確実な保証はできない代わりに、何を、どこまで、どういう方針でやるのかを具体的に示す。プロほど、約束できることとできないことの線引きがはっきりしているものです。根拠のない「必ず成功します」より、誠実な説明のほうが、長く付き合えるお客さまを引き寄せます。

急ぎで作ってもらえますか?

内容の固まり具合によります。「どんなサービスで、何を守りたいか」が整理できていれば、比較的スムーズに進みます。逆に、そこがまだ漠然としている場合は、一緒に整理するところから始めます。お急ぎのご事情があれば、最初にお知らせいただければ、できる範囲で調整します。

相手が個人でも会社でも同じですか?

基本の考え方は同じですが、書き方に違いがあります。とくに、相手が一般の消費者か、事業者かで、消費者保護のルール(クーリングオフなど)への配慮が変わります。事業者どうしの取引なら、原則これらは適用されません。自分のサービスがどちら向けかで、入れる条項が変わってくるので、ここは見極めが大切です。

収入印紙は必要ですか?

業務委託契約書は、その性質によって、印紙税のかかる文書にあたる場合とそうでない場合があります。継続的な取引の基本契約にあたるケースなどでは必要になることもあります。要否や金額は契約の中身によって変わるため、迷ったら個別に確認するのが安心です。

着手金はもらったほうがいいですか?

人が動いて実費が発生する制作では、着手前に一部を受け取っておくと、立て替えや踏み倒しのリスクを減らせます。「入金を確認してから着手する」と決めておくのも有効です。分割払いの場合も、初回の決済が済んだ時点で作業を始める形にしておくと安心です。

契約書は紙と電子、どちらがいいですか?

どちらでも構いませんが、遠方の相手とやり取りすることが多いWEBの仕事では、オンラインで完結する電子契約が便利です。電子で結ぶ場合は、記録がきちんと残る仕組みを使います。紙でも電子でも、中身がしっかりしていることが前提なのは変わりません。

修正回数は、何回くらいが普通ですか?

決まりはありませんが、「公開までに2回まで無料、以降は有料」といった形がよく使われます。大事なのは回数そのものより、「無料の範囲を決めて、明記しておく」こと。自分の作業量と料金のバランスを見て、無理なく対応できる回数を設定しましょう。多すぎると利益を圧迫し、少なすぎると窮屈に見えるので、自分のサービスに合った落としどころを探ります。

一度作れば、ずっと使い回せますか?

基本的な枠組みは使い回せます。当事者名や金額など、案件ごとに変わる部分だけ差し替えれば、新しいクライアントにも使えます。ただし、サービスの内容を大きく変えたとき(たとえば新たに広告運用や継続課金を始めたとき)は、その都度、契約書も見直しておくと安心です。契約書は一度きりではなく、事業の変化に合わせて育てていくものと考えるとよいでしょう。



おわりに


WEB集客・制作の仕事は、成果が読めず、作業の終わりが見えにくく、お金も複雑です。だからこそ、自分を守る業務委託契約書が、安心して仕事を続けるための土台になります。難しく考えすぎる必要はありません。大切なのは、「どんなサービスを、どんな条件で提供するのか」をはっきりさせること。そこさえ定まれば、条項の組み立ては後からついてきます。

契約書づくりは、後回しにされがちです。仕事の依頼が来てうれしくて、つい契約書なしで走り出してしまう。その気持ちはよく分かります。けれど、いい関係でスタートを切れるときこそ、落ち着いて約束ごとを交わす好機です。トラブルが起きてから「あのとき決めておけば」と悔やむより、最初のひと手間に時間をかけるほうが、ずっと気持ちよく仕事を続けられます。

これから契約書を作りたい、自作のものを見直したい、急ぎで整えたい。そんなときは、書類作成の専門家にご相談ください。お話をうかがいながら、あなたのサービスの実態に合った一通に整えていきます。まずは「どんなサービスで、何が不安か」を教えていただくところから始めましょう。



ー この記事について ー
私たちアトラス行政書士法人には、行政書士法にもとづく守秘義務があり、実際のご相談・ご依頼の内容を公開することはありません。本記事は、契約書作成のご依頼でよく扱う論点を組み合わせた一般的な解説であり、特定の案件や依頼者を描いたものではありません。また、収入印紙の要否や金額、契約書の最適な形は、契約の種類や個別の事情によって変わります。実際の手続きにあたっては、個別の確認をおすすめします。



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