キャリアの捉え方|分かることと、身につくこと

キャリアの捉え方|分かることと、身につくこと

記事
学び
おはようございます。2級キャリアコンサルティング技能士|合同会社たお代表の工藤でございます。今日のテーマは、「分かることと、身につくこと」についてです。

「もう分かった!」と思った瞬間、実は一番危ないのかもしれません。簡単に分かった気がしたことほど、後になって忘れていたり、うまく説明できなかったりすることが、よくあります。それは、どうしてなのでしょうか。

「分かった」と思ったときほど、覚えていない?

アメリカの心理学者ロバート・ビョークさんは、UCLAという大学で、人がどうやって覚えたり忘れたりするのかを研究してきました。その研究で注目されたのが、「望ましい困難(desirable difficulties)」という考え方です。これは、覚えるときにあえて少し手間をかけたり、頭を使ったりするほうが、後からしっかり思い出せるようになる、というものです。反対に、「簡単に分かった」と感じるときほど、実はその感覚ほどには身についていないことが多いのです。

少し面倒なほうが、記憶に残る

さらに、「望ましい困難」は、資格の勉強だけでなく、日常のいろいろな場面で活かせそうです。例えば、本を読んだあとすぐに答えを見ず、自分で「これってどういうことだっけ?」と考えてみる。誰かに、自分の言葉で説明してみる。少し時間を空けて、もう一度同じ内容を見直してみる。どれも、最初は「え、ちょっと面倒だな」と感じることですが、その面倒さこそが、後の記憶を助けてくれるのだと思います。私が以前書いた「学びはデッサンに似ている」という考え方も、まさにこの、描いては消して、少しずつ肉付けしていく「望ましい困難」を表していたのかもしれません。

覚えることから、自分で使えることへ

面倒だな、大変だなと感じていたことも、続けていくうちに、だんだん慣れていきます。そうすると、いつの間にか、最初は面倒だと思っていたことが、当たり前のようにできることに変わっていきます。そうして身についたものは、やがて自分自身の知識や知恵になり、誰かに頼らなくても自分の力でできること(自力)へと変わっていくのだと思います。それは、覚えたことをただ持っているためではなく、必要なときに、自分の力で使えるようにするためなのかもしれません。そもそも、なぜ記憶しておくことが必要なのか。改めて問い直してみてもいいのかもしれません。

20261009_footer.png


出典
・Bjork, R. A. (1994). Memory and metamemory considerations in the training of human beings. In J. Metcalfe & A. P. Shimamura (Eds.), Metacognition: Knowing about knowing (pp. 185–205). MIT Press.
・Bjork, E. L., & Bjork, R. A. (2011). Making things hard on yourself, but in a good way: Creating desirable difficulties to enhance learning. In M. A. Gernsbacher, R. W. Pew, L. M. Hough, & J. R. Pomerantz (Eds.), Psychology and the real world: Essays illustrating fundamental contributions to society (2nd ed., pp. 59–68). Worth Publishers.
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す