ダンテ『神曲』地獄篇第1歌でボキャブラ・アップ:第37連句

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【C.H.Sisson英訳】
He will pursue that wolf in every city
And put her back in Hell where she belongs,
And from which envy first let her out.
【Mark Musa英訳】
And he will hunt for her through every city
 until he drives her back to Hell once more,
 whence Envy first unleashed her on mankind.
【野上素一和訳】
ヴェルトロはまた狼をあらゆる町から狩りだし
それをふたたび地獄へ追いこむであろう。
嫉妬が初めてそれを誘いだしたその場所へ。
【平川祐弘和訳】
ヴェルトロがあの獣を町々から駆逐して
 ついには元通り奴を地獄へ追いこむだろう、
 羨望が狼を地獄の外へ引き出したのだ。

【語句】
pursue=(獲物・犯人などをつかまえたり、殺したりする目的で)追う、追跡する。
 pursuit=追跡、追求。
hell=地獄(⇔heaven)。
envy=嫉妬、うらやみ。他人の持っているものを自分も持ちたいとうらやむ気持ち。悪魔が人間に嫉妬を教え、それによって地獄から狼が出て来たとしています。
 jealousy=envyより個人的感情で、優越者をねたみ、憎悪する感情。
hunt=狩りをする。~を捜し求める。
unleash=(犬の)革ひもを外す(解く)、~の束縛を解く、~を解放する、~を自由にする。
whence=(非制限的用法で)そして、そこから、その点から。
mankind=(集合的に)人類、人間。

【解説】
 ダンテの『神曲』執筆の意図の1つに、地獄から始まる詳細な霊界の諸相を描きつつ、煉獄から天国へ至る「真の救い」「真の信仰」を知らしめようとしたことがあると思われますが、これと軌を一にするのが、ダンテに先立つこと300年、詳細な地獄の様相を描いて人々を恐怖のどん底に落し入れ、阿弥陀如来のいる西方極楽浄土への往生に至る念仏信仰に導こうとした恵心僧都(えしんそうず)源信の『往生要集』(985年)があります。
 ここでは「六道(りくどう)」=天界・人間界・ 阿修羅(修羅)界・畜生界・餓鬼界・地獄界という世界構造になっており、地獄界は等活(とうかつ)地獄・黒縄(こくじょう)地獄・衆合(しゅごう)地獄・叫喚(きょうかん)地獄・大叫喚(だいきょうかん)地獄・焦熱(しょうねつ)地獄・大焦熱(だいしょうねつ)地獄・阿鼻(あび)地獄の「八大地獄」から構成されています。
等活地獄:殺生の罪を犯した者。お互いに傷つけあい、骨だけになります。あるいは鬼に八つ裂きにされます。
黒縄地獄:殺生、盗みの罪を犯した者。焼けた鉄の斧で切られます。あるいは鉄の釜に落とされ、グツグツ煮込まれます。
衆合地獄:殺生、盗み、不倫の罪を犯した者。焼けた鉄の獣達に喰われます。あるいは、美しい女性が現れますが、近づくと消えてしまいます。
叫喚地獄:殺生、盗み、不倫、飲酒の罪を犯した者。熱い鍋で焼かれて、釜で煮詰められます。あるいはドロドロの銅を口から流し込まれます。
大叫喚地獄:殺生、盗み、不倫、飲酒、嘘つきの罪を犯した者。叫喚地獄と同じですが、苦しみは10倍になります。
焦熱地獄:殺生、盗み、不倫、飲酒、嘘つき、裏切りの罪を犯した者。灼熱の棒で叩かれ、肉団子にされます。あるいは鉄の串に刺されて炎で焼かれます。
大焦熱地獄:殺生、盗み、不倫、飲酒、嘘つき、裏切り、戒律を守る尼僧を蹂躙する罪を犯した者。焦熱地獄と同じですが、苦しみは10倍になります。
阿鼻地獄:殺生、盗み、不倫、飲酒、嘘つき、裏切り、戒律を守る尼僧の蹂躙、強奪、親殺し、大乗仏教をそしるという罪を犯した者。すべての苦しみが集結し、鉄の鬼や大蛇や虫500億匹に攻められます。苦しみは大焦熱地獄の1000倍になります。
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