ダンテ『神曲』地獄篇第1歌でボキャブラ・アップ:第35連句

記事
学び
【C.H.Sisson英訳】
He will not feed on land nor yet on money,
But upon wisdom, love, and upon courage;
His nation will be between Feltro and Feltro.
【Mark Musa英訳】
He will not feed on either land or money:
 his wisdom, love, and virtue shall sustain him;
 he will be born between Feltro and Feltro.
【野上素一和訳】
ヴェルトロは土地も金銭(ペルトロ)も食べず
知恵と愛と徳を糧とし、その人民は
フェルトロとフェルトロのあいだに栄えるであろう。
【平川祐弘和訳】
ヴェルトロは大地の産物は食わず金銭は受け取らず、
 智恵と愛と徳とを糧とするだろう、ヴェルトロの国は
 フェルトロとフェルトロの間に位するはずだ、

【語句】
feed on=(動物が)~をえさとする。
courage=(危険・苦難・不幸にあっても恐れず、不安を抑えることが出来る)勇気、度胸(精神を強調)。
 bravery=勇敢(行動を強調)。
virtue=徳、美徳(⇔vice)。
 Virtue is its own reward.(徳はそれ自体が報いである。)
 the seven cardinal (principal) virtues=七元徳、七主徳。「古代哲学の道徳」(cardinal virtues)に「キリスト教の神学徳」(theological virtue)を加えたもので、justice(正義・公正)、prudence(用心深さ・慎重さ・思慮分別・賢明さ)、temperance(節制、自然徳)、fortitude(剛勇・堅忍不抜・不屈の精神、ここまでが「自然徳」)、faith(信仰)、hope(希望)、charity(慈愛・思いやり、ここまでが「キリスト教の三大徳」)の七徳。
フェルトロ=「天と地の間」という説、マルカ・デル・トレヴィジの町フェルトレとロマーニャのフェルトロ山の間という地理的な条件から「カングランデの領地」という説などがありますが、「フェルトロ」の元々の語義は「粗末な布」なので、イエスと聖徒達を意味するのかもしれません。
sustain=(生命・家族などを)維持する、養う、扶養する。

【解説】
 「ヴェルトロ」が「罪からの救い」をもたらす者であるなら、当然、「キリスト」ですが、「国」「人民」を治めるとなると、「地上での救い」をもたらす者であり、さらに「知恵」「愛」「徳」を糧にするというなら「キリストの地上における代理人」たる「教皇」(現実の教皇というより、本来あるべき「理想的教皇」)である可能性が出てきます。ダンテは最初のうちはローマ教皇によって世界平和が回復されると思い、後には神聖ローマ皇帝によってそれが実現すると考えましたが、結局、それも不可能と分かり、自分も政争のために追放されて財産も失い、イタリア各地を放浪する身となってしまいました。ちなみにダンテ在世時の教皇では、アドリアーノ5世(1276年)は煉獄界第5円に、ジョヴァンニ21世(1276~1277年)は天国界第4天(太陽天)に、ニッコロ3世(1277~1280年)は地獄界第8圏に、マルティーノ4世(1281~1285年)は煉獄界第6円に、チェレスティーノ5世(1294年)は地獄界の入口たるアケロンテ河の河原に、ボニファチオ8世(1294~1303)は地獄界第8圏に、クレメンテ5世(1305~1314年)を地獄界第8圏にそれぞれ位置付けられており、ジョヴァンニ21世を除いて、極めて辛口の採点がされていることが分かります。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら